坂野民枝・インテリアコーディネーターの目線:    心地よい空間作りのヒント探し:四方山話

  

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2016 あいちトリエンナーレ 復習

2016-10-25 | アート

作品を見ることとは別に 視点を変えて・・・最終日もう一度。

今回、私が刺さった作品
①雑多なインテリアとも仕掛けとも言えない中で見つけた物

近づいたら!
セミナーを開催した時、このフレーズ、時々聞いています。普遍的なテーマ?


②床材の考察
・グリーンの樹脂・木質系・タイルカーペット・・・壁までの距離感は吊るされたオブジェが教えてくれます。


・人が歩くことで、床の変化がわかります。
柱にあるような状態で床に製作、10月に解禁になり床を鑑賞者が自由に歩けるように。

一辺が15m以上ある450㎡の部屋、大巻伸継さんの作品です。
白いフェルトにステンシルの方法で日本画の顔料で製作されたデリケートなもの。以前は端を歩くだけでしたので絵のリアルさに圧倒されました。10月に歩くことが解禁され、その結果、彩色部分が潰れて顔料がフェルトに込み滲んでいます。
今回は歩くことで滲んだ絵の柔らかさが、足元から伝わります。
 床材メーカーの耐摩耗試験を思い出します。リアル版?


③構造用合板 厚さ12mm
・休憩用ベンチ

人が多かった時には気になりませんでしたが、空席が多く ちょっと座って見て・・・
背のトップは・・・断面を見たらクッション材付きの配管カバーです。後ろの黒い袋は移動しないようにでしょう、持った感覚は砂のようです。
SH(シートハイ:床から座面まで)は300ぐらいなので、長時間座らせないように?

・ベンチとテーブルの区別
天板にラインが描かれています。これにより、人は座るものではないと判断します。
デザインするということの原点かも。


④会場を出て、ベロタクシ―のデザイン画をもう一度見ると、顔料で製作された床の絵が記憶から蘇ります。

閉会後、絵は消されてしまうなら もったいないような・・・

ポールスミス展

2016-10-16 | アート
サブタイトルが『わずか3メートル四方の店舗から世界70ヵ国の人気ブランドに』
【夢を叶えたい全ての人に見てほしいポールスミスの世界】
松坂屋美術館です。買い物のついでに駆け足で見ます。

入口すぐ、アートのコレクションがすごい。
ジャンルを問わずコレクションされたもの全体がアートになっています。
世界各地にある ポールスミスの店舗は、その街のイメージを持って作られています。
画一には、造らない発想が、これらのアートから理解できます。








それにしても、集めたポールスミスも凄いけど、展示作業をした人も凄い。
展示の解説に、
[アイデアはどこからでも湧いてきます。
どんなのものからでもインスピレーションは得られるのです]
 
私の部屋の 脈絡のない、でも、全部好きなアートに安心する言葉です。

6枚のシャツと2枚のセーターと2着のジャケットが最初のコレクションの発表。



再現方法が、シャンデリアまで白黒の立体模型で、デザイナーのスタート感の演出を感じます。

ボタンの壁


これを見て、持っているブラウスのボタンを確認、赤でした。

2,3年前に買った・・・三越で・・・

2,3時間はゆっくり見ていたい松坂屋美術館です。



『日本の絵画に見えるインテリアの変遷』

2016-10-14 | アート


8世紀の絵巻から18世紀の美人画や屏風絵の中。
建築、室礼の変化の過程を歴史の変遷に沿って解説していただきました。

日本インテリアデザイナー協会主催のセミナーです。
講師は名古屋造形大学教授の 池田洋子先生。

頭の中で古典と日本史、美術の教科書を繋ぎ合わせました。
インテリアを学んだ時に几帳、襖、障子などの過程は大体は覚えていますが、絵で見るとリアルです。

帰宅してちょっと復習。
以前、徳川のお茶会で戴いた源氏物語絵巻の図録を出してきました。



中央男性は夕霧(光源氏の嫡男)その右は妻の雲井の雁 
夜更けにこっそり帰ってきた夫、驚いて泣いている子をあやす妻に『格子を開けたから物の怪が入ってきた』と責められている様子を描いています。
左の襖が少し開いているのが、他の女性のところからこっそり帰って、妻の様子が気になったことを示唆。

先生からの伝授:左の襖の絵は通常『山』を描きます。『崖』は無い・実際の住まいで崖を描いていたら失礼なこと と。この夫婦が『崖っぷち』の状態を絵巻の絵師が入れたのではないか。

・・・絵巻の見方が変わります。
図録を見始めると時間が無くなってしまいます。

建築様式、室礼、インテリア 私が仕事を始めてからも変わっています。
快適に、安全に、変わる方向に進んでいます。
何より、 住む方の気持ち大切にしたいです。

モザイクタイル:中日ビルの天井

2016-10-09 | アート
この天井はエレベーターを昇ると、モザイクタイル貼りが間近に見られます。

子供のころには 小さい一つづつ、触ったら落ちるのでは?と見上げていました。デザインは 泳いでいるのか 浮遊しているのか いまだに不明。


月に数回は訪れる場所です。1階の郵便局、3階の銀行、地下の八百屋さん、4階の文化センター。
日常、よく行く場所や通るところで、写真をあらためて写すことはあまりないけど・・・

『中日新聞社は中部日本ビルディングを老朽化などを理由に2019年3月末で閉館、解体後に新ビルを20年代半ばをめどに建設する計画。』と、発表されました。ビルの寿命が50年前後というのは、名古屋の街の立替ラッシュ。順番がここに来た、感です。
で、今更のノスタルジー、写しました。まだ2年半ありますが・・・

大名古屋ビルの建て替えには 壁画タイルが再度、貼られているけど、中日ビルの天井タイルはどうなるのでしょう。

ここが、私が身近に出会った 最初のモザイクタイルです。
現在の仕事の一端、既製品のタイルでも お客様にそれぞれ、すべて組み合わせを替えています。
私のタイルへのこだわりの原点が、 ここにあることを 再確認です。

4方向からと上下方向にも人が往来し、天地左右の無い絵は子供心に見上げて見回して不思議でした。不特定多数の人の目に不自然のない デザインと色使い、いつの間にか刷り込まれているような気がします。