日々の日本舞踊

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清元「文屋」天保2年 江戸中村座にて初演

2017-04-21 22:36:50 | 歌舞伎舞踊 坂東流 坂東扇菊 日本舞踊

 

〽️烏帽子きた鷹の羽おとしきょろきょろと 小鳥めがけてひとのしに 
その人柄も康秀が 裳裾にじゃれる猫の恋

__この部分は置浄瑠璃といい、文屋康秀を鷹、小野小町を小鳥にたとえ、高嶺の花を狙っている全体の状況を説明しています。「人柄も康秀」というのは、「安っぽい」という掛詞〔かけことば〕です。__

〽️届かぬながら狙い来て 行くをやらじと コレ待った 
憎らしいなんじゃいな 御清所の暗まぎれ 晩にやいのと耳に口 
むべ山風の嵐ほど どっと身にしむ嬉しさも 秋の草木かしおしおと 
一人寝よとは男づら 鮑の貝の片便り 情けないではあるまいか

__康秀と官女の出の部分です。百人一首にも出ている文屋康秀の和歌「吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ」から一部引用しています。この部分は、官女が康秀に文句を言っている詩章になっています。

〽️寄るを突き退け コリャどうじゃ 鼻の障子へたまさかに ねぶかの香るあだつきは 時候違いの河豚汁で 一人ばかりか盛り替えを 強いつけられぬ御馳走は そもそも御辞儀は仕らぬ

__「想う人には想われず、想わぬ人から想われて」「好きじゃない人であっても、言い寄ってくるなら拒みはしないよ」という内容です。

〽️これを思えば少将が 九十九夜くよ思いつめ 傘をかたげて丸木橋ゃ おっと危ねえ すでの事 鼻緒は切れて片足は ちんがちがちがオオ冷た その通い路も君ゆえに 衣は泥に暁の すごすご帰る憂き思い ならぬながらも我が恋は 末摘花の名代を 突きつけられて恥かしい

__康秀が、深草少将の百夜通いを再現してみせます。「ならぬながらも」以降は再び康秀の心理描写です。末摘花は、『源氏物語』の登場人物で、あんまり美しくない女。やっぱり「想う人には想われず、想わぬ人から想われて」という内容です。

 〽️地下の女子の口癖に 田町は昔今戸橋 法印さんのお守りも 寝かして猪牙に柏餅 夢を流して隅田川 男除けならそっちから 逢えばいつもの口車 乗せる手ごとはお断り 逃げんとするを恋知らず 引き留むるのを振り払い イヤイヤイヤ

__ここは吉原の描写だそうです。文屋康秀に吉原の風俗を踊らせてしまう江戸の洒落です。「猪牙」というのは、小型の船のことで、吉原からの朝帰り、猪牙に乗ると、狭いので1枚の布団を2つに折って、はさまって寝るものだったそうで、そのさまが柏餅みたいという描写です。昨夜の夢は隅田川に流して。

 〽️逢う恋 待つ恋 忍ぶ恋 駕籠はシテこい 萌黄の蚊帳呼んでこい

__ここから「恋づくし」になります。「萌黄の蚊帳呼んでこい」というのは、昔は「呼び売り」と言い「もえぎのかや~」という売り声の特徴を取っているそうです。

〽️ぎっちり詰ったやに煙管 えくぼの息の浮くばかり これじゃゆかぬと康秀が

〽️富士や浅間の煙はおろか 衛士の焚く火は沢辺の蛍 焼くや藻塩で身を焦がす そうじゃえ

__ここが康秀の踊りの1番いいところです。官女との「恋づくし」で返事に詰まって、詰まる→やにが詰まった煙管→煙管と言えば煙→富士山と浅間山の煙比べ→煙と言えば炎→衛士の焚く火→点いたり消えたり→蛍→身を焦がす→藻塩…というように、火に関する縁語で詞章がつながっていきます。

〽️合縁奇縁は味なもの 片時忘るる暇もなく 一切からだもやる気になったわいな そうかいな

〽️花に嵐の色の邪魔 寄るをこなたへ遣戸口 中殿さしてぞ走り行く

__人の縁というものは分からないもの、小町を落とせる可能性がないわけじゃない、中殿には小町がいるはずなので、小町目指して駆けて行ってしまう康秀さんでした。 

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