日本の各地にちなんだ「御当地ソング」というのがある。
いちいち例をあげ始めたらきりがないぐらいだ。
演歌、歌謡曲、フォークなどなど、ジャンルも多岐にわたる。
御当地ソングを売りにした水森かおりさんのような歌手もいる。
御当地ソングは日本だけのものではなく、海外にもたくさんの御当地ソングはある。
ビーチボーイズのマイク・ラブにいたっては、ポール・マッカートニーに「ヒットソング作りの秘訣は何だと思う?」と聞かれた時に、「そりゃポール、歌詞に地名を入れることさ」とこたえた・・というエピソードもあるぐらいだ。
言われてみれば、例えばビーチボーイズの「ココモ」という曲には、これでもかとばかりに地名が出てくるし、ポールの曲でも「夢の旅人」などは立派な御当地ソングと言える。ビートルズの「ペニーレーン」だってそうだろう。もちろん他にもある。
御当地ソングは、その歌の舞台になった場所でライブなどをする時は、強力なレパートリーになるだろう。
はばかりながら、私の曲にもけっこうある。「風の礼文島」「心静かに屋久島で」「岩瀬の湯」「古道にて」など。
高校時代には「さいはての町」なんていう曲を作ったこともあったし(稚内の曲だった)、中には架空の地名を作った「架空の御当地ソング」を作ったこともあった。
なので、もともと御当地ソングは私は好きだったのだと思う。
旅に出たりすると、それがきっかけで歌を作る時、その旅先のことを題材にした歌を作るのも好きだった。いいネタにもなったし。
一時、自分の曲作りのひとつの方向性として、御当地ソングを掲げることも考えてた。
だが、水森かおりさんのような、決定版的な歌手が出てきて、それはやめた(笑)。
でも、積極的に御当地ソングを作っていた時、旅に出ることは大きなきっかけにはなっていた。
完成した曲もあるが、中途で終わってしまって完成しなかった曲も多い。
完成しなかった曲は、たいがい断片だけで終わってしまったりしてきた。
たとえば、恐山の御当地ソングなども、その中の1曲。
恐山に行った時、ついでに「仏ケ浦」という場所にも行ったのだが、「仏ケ浦」に向かう船の甲板で、前日に訪れた恐山の風景を思い浮かべながら、ふと出だしの部分が浮かんだ。
考えてみれば、恐山の御当地ソングって・・・なかなかないように思えた。
場所が場所だけに、またイメージがイメージだけに、恐山の御当地ソングを作る人なんて、いないのではないか・・とも思えた。
ならば、自分が作ってみようかな・・・と思ったのだ。
で、浮かんだ断片を、人に聴かせてもみた。
すると・・
縁起が悪いからやめてくれ・・とか、不気味だからやめてくれ・・とか、散々の意見を言われた(笑)。
・・・確かに、決して明るい歌ではなかった。というか、実際に恐山に行った私としては、明るい曲にする気にはなれなかった。
ただ・・・その断片・・・けっこうインパクトだけはあったみたいで、いまだにその人は、私が作りかけた恐山の御当地ソングの断片を覚えていたりする。
ほんの1節しかないのに。
ちなみにどんな断片だったかというと・・・
恐山を思い浮かべて聞いて(というか、読んで)ほしいのだが・・
こんな感じ。
♪ まわる~ まわる~ 風車~~
極楽浜に~・・・・・・
もちろん、調は短調。で、、重たく引きずるような感じ。
「まわる~まわる~風車~」の部分のメロディは、普通の暗い歌という感じなのだが、その後に続く「極楽浜に~」の部分のメロディは、地を這うように・・いや、地に潜るように一気に低くなる。
聞いてる人は、そこが気持ち悪いらしい。
その意見を聞いて・・・
私は作るのをやめた・・・。
恐山は場所が場所だけに、確かに歌にするのは難しいと思う。
きっと、恐山の御当地ソングなんてないんだろうな・・と思い検索してみた。
すると・・
あれ??
あった・・。
だが、演歌系、歌謡曲系の曲ではないみたいだ。
もしも、演歌系や歌謡曲系の作風で恐山の御当地ソングを作ったら、いったいどんな曲になるだろう。
そういう曲があれば、歌詞を読んでみたい気がする。
演歌・・・恐山・・・・恋・・・・男女・・・残留思念・・・極楽浜・・・カラス・・・湖・・・三途の川・・・地蔵・・・遺品・・・。
もしや、そこに死者や、冥界、霊などの概念や言葉も加わるのだろうか。
一般的には上記のような言葉が浮かぶが、そういうのから離れて、演歌や歌謡曲で斬新な恐山の御当地ソングを作れたら、面白いかもしれない。でも、難しいのは確かだろうなあ。
でも、一体どんな御当地ソングになるのだろう。
例えば・・・報われぬ恋に苦しんで命をたった恋人を偲んで、恐山を訪れた人の歌・・・とか?
なお、写真は、かつて私がHPに発表した恐山旅行記の中から引用した1枚。恐山の極楽浜の風景。