「四面体」の「内心I」と「傍心E_A」の関係など 2009.6.18(木)
1.「四面体ABCD」の「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」の復習
mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)などで表す。
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。
「四面体ABCD」の4つの側面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ S_A,S_B,S_C,S_D …(1.1.1)とし、
2F=S_A+S_B+S_C+S_D…(1.1.2) とおくと、「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」は
E^m 内の任意の点Pにたいし、
(→PI)=[1/(S_A+S_B+S_C+S_D)][(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.3)
=[1/2F][(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.4)
であった。
つまり、一般の点T∈E^3の「ベクトルによる重心座標表現」を、
(→PT)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD) …(1.1.5) かつ
κ+λ+μ+ν=1 …(1.1.6)
としたときに、
κ=(S_A)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,λ=(S_B)/[S_A+S_B+S_C+S_D]
μ=(S_C)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,ν=(S_D)/[S_A+S_B+S_C+S_D] …(1.1.7) になると
いうことである。 そして κ≠1 …(1.1.8)である。
そこで、頂点Aに着目して直線AIを考え、△BCDとの交点をI_Aとすれば、
前回の「2009.05.28(木)のBlog」の [命題1.1]および、[命題1.3]から、
AI:I(I_A)=(1-κ):κ=(λ+μ+ν):κ=(S_B+S_C+S_D):S_A …(1.1.9) かつ
λ+μ+ν=1-κ≠0 ( ∵(1.1.8) )だから、△BCD上の点(I_A)の「△BCD」に関する
「ベクトルによる重心座標表現」はE^m 内の任意の点Pにたいし、
(→PI_A)=[1/(λ+μ+ν)][λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)]
=[1/(S_B+S_C+S_D)][(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.10)
また、
点(I_A)の「四面体ABCD」に関する「ベクトルによる重心座標表現」は
(→PI_A)=[1/(λ+μ+ν)][λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)]
=[1/(S_B+S_C+S_D)][0×(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.11)である。
(1.1.9)式により、△BCD上の点I_Aは次のようにして決まる。すなわち
△BCDの辺 CB,BD,DCをS_B:S_C,S_D:S_B,S_C:S_Dの比に内分する点をそれぞれN,M ,Lとすれば
「Ceva(チェバ)の定理」から3線分BL,CM,DNは1点で交わる。これが 点 I_Aなのである。
また頂点Aと「上のように3つの比S_B:S_C,S_D:S_B,S_C:S_D」で「Cevaの定理」から決まる△BCD上の点I_Aとを
結ぶ「直線」を以下 「頂点Aから引いた『内心線』」 とよぶことにする。
すると「四面体ABCD」の4つの頂点A,B,C,Dからの「4本の『内心線』」は唯一つの点で交わる。その点が「内心I]である。
以上のことなどから次のことがいえる。
2.
[定理2.1]
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。「四面体ABCD」の「内心I」を作図する(求める)には
次の3つの方法が考えられる。
(1)まず、「四面体ABCD」の側面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積 S_A,S_B,S_C,S_Dを計量しておく。
次に たとえば、△ABCの3辺を時計回りに見て,BA,AC,CBを「S_A:S_B,S_C:S_A,S_B:S_C」の比に内分する点を
それぞれN,M,Lとし、線分AL,BM,CNのただ一つの交点として決まる△ABC上の点をI_Dとする。
そのとき、「内心I」は「線分D(I_D」を(S_A+S_B+S_C):S_Dの比に「内分する点」として求まる。…(2.1.1)
(2) (1)と同様に、
まず、「四面体ABCD」の側面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積 S_A,S_B,S_C,S_Dを計量しておく。
(1)のように比と「Cevaの定理」で決まる△BCD,△ACD,△ABD,△ABC上の点をI_A,I_B,I_C,I_Dとして、
4本の『内心線』
AI_A,BI_B,CI_C,DI_Dの交点が「内心I」になる。 …(2.1.2)
(3)
6つの二等分面から求める方法
今「四面体ABCD」がボール紙でできていて△BCDが底面で、頂点Aが上方にあり、それを外から見て
△ABCが左側、△ABDが右側に、その共通な辺ABが目の前にある状況を想像して欲しい。
この2つの面によってできた図形、いわゆる「二面角」を次のように2等分する。「山折りになった」辺ABの部分を
「四面体ABCD」の「外部から内部」へ向かって点AからBへ包丁で切って行くのだが、
この2面角の作る「内部の角」(角度<180°)を「2等分する」ように切って行くのである。
このとき「包丁の動いた部分を拡大して」1つの「平面」ができる。これが
△ABCと△ABDが作る「二面角」の「二等分面」である。この「二等分面」は今は辺ABに沿って切って
いったのである。そこでこの「二等分面」を単に、「辺ABでの二等分面」と呼ぶことにする。
「四面体ABCD」の1つの辺ABに対して丁度1つ「二等分面」ができる。「四面体」には辺が6つ
あるから、計6枚の「二等分面」ができる。この「6枚の『二等分面』の交点」が「内心I」である。
実際には、おそらくは、辺ABでの「二等分面」、辺ACでの「二等分面」、辺ADでの「二等分面」と、
もう一つ例えば、辺BCでの「二等分面」の計4面の交点などとして「内心I」は決まるであろう。
「証明」
(1)(2)については、[定理2.1]の上で説明した。
(3)については、初等幾何の方法で証明しよう。「三垂線の定理」を用いる。頭のなかに図を浮かべながら読んで下さい。
まず、「内心I」があるとする。点Iから△ABCへ引いた垂線の足をI_D,△ABDへ引いた垂線の足をI_Cとする。
I(I_D)=I(I_C)=内接球面の半径 …(2.1.3) である。点Iから辺ABに垂線を引き、…(2.1.4)(ここがポイント)
その交点をLとしよう。(L∈AB) 点Lと点I_D,I_Cをそれぞれ結び、△IL(I_D)と△IL(I_C)を考える。II_D,II_Cは
それぞれ△ABC,△ABDへの垂線であるから、△IL(I_D)と△IL(I_C)は∠I(I_D)L=∠I(I_C)L=90°…(2.1.5)の
直角三角形である。そして、斜辺のILは共通で II_D=II_Cだから、△IL(I_D)≡△IL(I_C) …(2.1.6) となる。
ゆえにL(I_D)=L(I_C) …(2.1.7) ここで、△ABCを底面と考えてその上に垂直に立っている直角三角形IL(I_D)と、
辺ABとの状態を見てみると I(I_D)⊥△ABCだから AB⊥I(I_D) またAB⊥IL (∵(2.1.4)) よってAB⊥[平面IL(I_D)]
ゆえに (I_D)L⊥ABとなる。 同様にして(I_C)L⊥AB となる。よって 3点(I_C),(I_D),Lを結んで△(I_C)L(I_D)を
作れば∠(I_C)L(I_D) は「△ABCと△ABDの造る二面角のなす角」 …(2.1.8) になる。よって線分(I_C)(I_D)の中点を
Mとすれば、 △I(I_D)(I_C)はI_D=I_Cの二等辺三角形だから、(I_D)(I_C)⊥IM また△L(I_D)(I_C)はL(I_D)=L(I_C)の
二等辺三角形より(I_D)(I_C)⊥LM かつ ∠(I_D)LM=∠(I_C)LM 。ゆえに辺ABと線分MLの造る平面は
「辺ABでの二等分面」であり、(I_D)(I_C)⊥「辺ABでの二等分面」、また(I_D)(I_C)⊥[平面ILM]となるから
その「二等分面」は「内心I」を通る。
( [定理2.1]の「証明」終わり )
3.
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。
「定理3.1]
頂点Aから引いた「内心線 A(I_A)」上の任意の点Tをとる。このとき、点Tから△ACD、△ABD △ABC,△BCDに
下した垂線の足を例によってそれぞれT_B,T_C,T_D,T_Aとすれば ⇒ TT_B=TT_C=TT_D である。
すなわち「内心線 A(I_A)」上の任意の点Tから面△ACD、△ABD △ABCまでの「距離は等しい」。
厳密には「符号も考えて」点Tの四線座標を(α(4),β(4),γ(4),δ(4))とすれば、⇒ β(4)=γ(4)=δ(4)
「証明」
「内心I」及び点Tの「四面体ABCD」に関する「重心座標」をそれぞれ (p,q,s,t)、(κ,λ,μ,ν)とする。
すなわち 任意の点P∈E^mに対して
(→PI)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD ) … (3.1.1)
かつ κ+λ+μ+ν=1 … (3.1.2) また
(→PT)=p(→PA)+q(→PB)+s(→PC)+t(→PD ) … (3.1.3)
かつ p+q+s+t=1 … (3.1.4) とする。
ここに κ=(S_A)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,λ=(S_B)/[S_A+S_B+S_C+S_D]
μ=(S_C)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,ν=(S_D)/[S_A+S_B+S_C+S_D] …(3.1.5) である。
また 1-κ=(S_B+S_C+S_D)/[S_A+S_B+S_C+S_D] …(3.1.6)となる。
点Tは「内心線 A(I_A)」上にあるから、(→AT)=u(→AI) …(3.1.7) となる実数uがある。
これは(3.1.1), (3.1.3)から
q(→AB)+s(→AC)+t(→AD)=u×[λ(→AB)+μ(→AC)+ν(→AD)] …(3.1.8) となる。
(→AB),(→AC),(→AD)は一次独立だから、
q=uλ,s=uμ,t=uν …(3.1.9) となり、2F=S_A+S_B+S_C+S_D …(3.1.10)とおけば
(3.1.5) から q=u(S_B)/(2F) ,s=u(S_C)/(2F),t=u(S_D)/(2F) …(3.1.11) となる。
よって また p=1-(q+s+t)=1-u(λ+μ+ν)=1-u(1-κ) すなわち
p=1-u(1-κ)=1-u(S_B+S_C+S_D)/(2F) …(3.1.12)
ここで 点Tの「四線座標」(α(4),β(4),γ(4),δ(4))と「重心座標」(p,q,s,t)の間には
α(4)=p(3V)/(S_A) ,β(4)=q(3V)/(S_B),γ(4)=s(3V)/(S_C),δ(4)=t(3V)/(S_A) …(3.1.13)の関係がある。
(3.1.11)を(3.1.13)に代入して
α(4)=[1-u(1-κ)](3V)/(S_A)=[1-u(S_B+S_C+S_D)]/(2F)×[(3V)/(S_A)] …(3.1.14)
また
β(4)=q(3V)/(S_B)=u(S_B)/(2F)×[(3V)/(S_B)]=u(3V)/(2F)となる。同様にして γ(4)=u(3V)/(2F)
δ(4)=u(3V)/(2F) こうして
α(4)=[1-u(1-κ)](3V)/(S_A)=[1-u(S_B+S_C+S_D)]/(2F)×[(3V)/(S_A)] …(3.1.14) かつ
β(4)=u(3V)/(2F) ,γ(4)=u(3V)/(2F) ,δ(4)=u(3V)/(2F) …(3.1.15)
ゆえに β(4)=γ(4)=δ(4)=u(3V)/(2F) …(3.1.15) ここで 内接球面の半径を rとすれば
r=(3V)/(2F)だから β(4)=γ(4)=δ(4)=ur …(3.1.16) と書くこともできる。
([定理3.1]の「証明」終わり )
[命題3.2]
記号は上の通りとする。「頂点Aからの『内心線』A(I_A)」(注: 直線である ),I_A∈△BCDについて
点 I_Aの「四面体ABCD」に関する「四線座標」は
(0,3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D) )である。
つまり 点I_Aから △BCD,△ACD,△ABD,△BCDまでの距離は それぞれ
0,3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D) である。
また 点I_Aは△BCD上にあるからI_Aの「△BCD」に関する「三線座標」も考えられる。それを(β(3),γ(3),δ(3))
とすれば、
β(3)=2(S_B)(S_A)/[f(S_A+S_B+S_C+S_D)],γ(3)=2(S_C)(S_A)/[a(S_A+S_B+S_C+S_D)],
δ(3)=2(S_D)(S_A)/[e(S_A+S_B+S_C+S_D)] となる。
ここに△BCDの3辺は BC=a,CD=f,DB=e としてある。
「証明」
「頂点Aからの『内心線』A(I_A)」上の点Tが I_Aとなるのは(1.1.9)の式より、(→AT)=u(→AI)において
u=1/(1-κ)のときである。そこで「定理3.1]の(3.1.14)(3.1.15)及び(3.1.6)から、
α(4)=[1-u(1-κ)](3V)/(S_A)=0,
β(4)=u(3V)/(2F)=[1/(1-κ)](3V)/(2F)=[S_A+S_B+S_C+S_D]/(S_B+S_C+S_D)×(3V)/(2F)
=(3V)/(S_B+S_C+S_D) ( ∵ 2F=S_A+S_B+S_C+S_D としてあるから )
同様に γ(4)=(3V)/(S_B+S_C+S_D) ,δ(4)=(3V)/(S_B+S_C+S_D)
次にI_Aの「△BCD」に関する「重心座標」は
(S_B/(S_B+S_C+S_D),(S_C)/(S_B+S_C+S_D),(S_D)/(S_B+S_C+S_D))
ゆえにI_Aの「△BCD」に関する「三線座標」(β(3),γ(3),δ(3))は,△BCDの面積=S_A だから
β(3)=(2S_A)/f×(S_B)/(S_B+S_C+S_D),γ(3)=(2S_A)/e×(S_C)/(S_B+S_C+S_D),
δ(3)=(2S_A)/a×(S_D)/(S_B+S_C+S_D) となり、証明された。
([命題3.2]の「証明」終わり)
4.
「四面体ABCD」の「内心I」と「傍心E_A」の位置関係
(1) 「角A内で△BCDで『傍接する』傍接球面」の「中心」を「E_A」で表わすことにする。
「2F=S_A+S_B+S_C+S_D」・・・(4.1.2)とおけば,
-S_A+S_B+S_C+S_D=2F-2(S_A)=2(F-S_A)・・(4.1.3)と なるので,
「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」は次の通りであった。
「角A内で△BCDで『傍接する』傍接球面」の「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」は
任意の点P∈E^m(ただし m≧3)に対して、
(→PE_A)=[1/2(F-S_A)]×[-(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)]・・・(4.1.1)
また[傍接球面E_A]の半径r_Aは
r_A=(3V)[(2(F-S_A)]=[√{detJ(3)}]/4(F-S_A) ・・(4.1.2)であった。
そこで次の[定理4.1]を示す。
[定理4.1]
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。「四面体ABCD」の「内接球面」の半径をr,
[傍接球面E_A]の半径r_Aとする。
このとき、頂点A、「内心I],I_A,「傍心E_A」は この順に「Aから引いた『内心線』」上にあり、
AI:A(E_A) =(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_A+S_B+S_C+S_D)=r : r_A ・・・(4.1.3)
AI:I(E_A) =(-S_A+S_B+S_C+S_D):2(S_A) ・・・(4.1.4)
A(I_A):A(E_A)=(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_B+S_C+S_D) ・・・(4.1.5)
「証明」
「内心I]の[ベクトルによる重心座標表現」はE^m 内の任意の点Pにたいし、
(→PI)=[1/2F][(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] ・・・(1.1.4)
そして「内接球面」の半径をrとすれば
r=(3V)/(2F)=[√{detJ(3)}]/(4F) ・・・(4.1.6)
一方, 「傍心E_A」のそれは
(→PE_A)=[1/2(F-S_A)]×[-(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)]・・・(4.1.1)
(1.1.3),(4.1.1)でPの代わりにAとおけば、(1.1.3),(4.1.1)はそれぞれ
(→AI) =[1/(2F)]×[(S_B)(→AB)+(S_C)(→AC)+(S_D)(→AD)] ・・・(4.1.7)
(→AE_A)=[1/2(F-S_A)]×[(S_B)(→AB)+(S_C)(→AC)+(S_D)(→AD)] ・・・(4.1.8)
(4.1.7),(4.1.8)より
(→AE_A)=[2F/2(F-S_A)]×(→AI) ・・・(4.1.9)を得る。(2F)/2(F-S_A)>1だから
三点 A,I,E_Aはこの順に一直線上にある。
AI:A(E_A)=1 :(2F)/2(F-S_A)=2(F-S_A):2F=(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_A+S_B+S_C+S_D)
=(3V)/2F:(3V)/[2(F-S_A)]=r :r_A
これより
AI:I(E_A)=(-S_A+S_B+S_C+S_D):2S_A がでる。
また AI:I(I_A)=(1-κ):κ=(λ+μ+ν):κ=(S_B+S_C+S_D):S_A …(1.1.10)から
(→AI)=(S_B+S_C+S_D)/(S_A+S_B+S_C+S_D)×(→AI_A) ・・・(4.1.10) これを
(4.1.9)に代入し
(→A(E_A))=[2F/2(F-S_A)]×(S_B+S_C+S_D)/(2F)×(→AI_A)
=(S_B+S_C+S_D)/[2(F-S_A)]×(→AI_A)
A(I_A):A(E_A)=[2(F-S_A)]:(S_B+S_C+S_D)=(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_B+S_C+S_D)
を得て、頂点A、「内心I],I_A,「傍心E_A」は この順に「Aから引いた『内心線』」上にある
ことが証明された。
([命題3.2]の「証明」終わり)
5.
(1)「四面体ABCD」の「角A内の『傍接球面E_A』」のイメージをここで説明しておこう。
「四面体ABCD」を△BCDが底面にきて頂点Aが上方にくるように平面上に置く。
「四面体ABCD」を上方に持ち上げて、面△ABCをAを始点としてAから辺BCの方向に例えばAB,ACの長さが3倍になるように
し、面△ABCを下方に引っ張り△AB'C'を作ろう。同様に△ACDも下方に3倍に引っ張り△AC'D'、△ABDも下方に3倍に引っ張って
△AB'D'として、できた図形を考えよう。この図形を頂点Aを上方になるように平面上に置く。すると辺B'C',C'D',D'B'が地面に
触れて「床」が△BCDの「家みたいな」ものができる。そこで小さなゴムボールを膨らましながらこの家の床下から入れてゆき、
このボールが台形B'BCC'、台形C'CDD',台形D'DBB'に「内側」から接して、かつ「床△BCD」に「下から接する」まで膨らませれば
「角A内での△BCDで傍接する『傍接球面』が出来上がる」というわけである。
(2) 3.で「内心I」の「初等幾何学的」な求め方を述べたので「傍心E_A」の場合のそれを述べておく。
3.の[定理3.1]の(3)のように、「辺ACでの『二等分面』」,「辺ADでの『二等分面』」、「辺ADでの『二等分面』」と
△BCDと台形B'BCC'の造る「二面角」を「四面体ABCD」の「外部から外部」へ「二等分」する
「辺BCでの『二等分面』」と、△BCDと台形C'CDD'の造る「二面角」を「四面体ABCD」の「外部から外部」へ
「二等分」する「辺CDでの『二等分面』」と、△BCDと台形D'DBB'の造る「二面角」を「四面体ABCD」の
「外部から外部」へ「二等分」する「辺CDでの『二等分面』」の6枚の「平面の交点」はただ一つでそれが、
「傍心E_A」になる。