「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”降る雪や昭和は遠くなりにけり”

2015-01-30 06:40:51 | Weblog
「イスラム国」に拘束中の後藤健二さんがどうなったか心配で朝早く新聞を取りに行ったら、雪が舞っている。昨年2月の大雪にはならない予想だが、首都圏では1月の降雪は珍しい。ネット情報によれば戦後昭和21年から63年までで13回しかない。

降る雪や明治は遠くなりにけりーは俳人、中村草田男(明治34年-昭和58年)が、昭和6年の雪の日、母校の東京青山の青南小学校を久しぶりに訪れた際詠んだ句である。今、思うと明治の御代からまだ20年しかたっていなかったが、草田男は、降る雪から子供時代を想い出し句にしたのであろう。またそれだけ東京の変化は激しかったのかもしれない。

草田男にならって僕も、降り始めた雪に”昭和も遠くなりにけり”を感じた。70年前の昭和20年の冬は雪が多かった。気象庁の記録はないが、亡父の残した日記によれば、2月には2日、7日、22日、28日と4回、3月6日にも降雪があり、それも大雪だった。僕の記憶の中にも、勤労動員先の多摩川近くの六郷まで蒲田駅から2キロの雪道を行進したこと、またB-29の空襲警報下、消火活動の妨げになると、隣組総出で道路に積もった雪かきした思い出がある。

草田男の詠んだ明治の句には、詩情があり、暖かさがあるが、昭和の雪にはない。戒厳令下の2.26事件(昭和11年2月26日)の日の大雪といい、戦争のきな臭さが、付きまとっている。平成になってから、すでに27年、確かに昭和も遠くなってきたが、昭和の雪にはよい想い出はない。

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2 コメント

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 (chobimame)
2015-01-30 09:22:41
この季節になると、まだ夏の方がマシかもしれないと毎年思います。
雪は会社員にとっては敵です。
降らないで欲しいものです。
雪が嬉しいのは子供だけです。
雨と同様、雪も予想外の変な降り方をしそうで恐怖を感じます。
長靴がなかった (kakek)
2015-01-30 10:31:18
chobimame さん
現役時代、長野、郡山、北海道と延べ13年、雪国に勤務しました。、若かったので、それほど苦には感じませんでしたが、老後は大変ですね。戦中戦後のものの無い時代は長靴などなく、雪の日が冷たく苦痛でした。
しかし、子供時代は雪だるまを作った想い出もあります。やはり雪を喜ぶのは子供と子犬だけです。

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