「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

人生最晩年の福祉と独り暮らし老人

2013-09-27 06:22:13 | Weblog
秋は人恋しくなる季節である。64年来の独り暮らしの旧友(93)が、どうしているか心配になって入院中の病院に電話してみたところ、すでに退院したという。しかし、自宅に戻っていないので、現在どこにいるのか教えてくれと頼むと”案の定”個人の秘密だから教えられないという。旧友は昨年から地元の地域包括支援センターの支援を受けて「成年後見人」制度を申請中だったが、体調をこわして入院していた。

都会のマンションでの独り暮らしを心配して、地元の区の老人福祉課に支援を依頼したのは僕ら夫婦であった。しかし、今、僕らはこの”おせっかい”が、果たして旧友にとってよかったのかどうか反省している。NHKラジオの深夜便の「明日への言葉」の中で精神神経医の大塚宣夫先生が,独り暮らしのお年寄りは,独り暮らしの気概をもって生活されており、それだけに元気であるといった意味の発言をされていた。

僕らは旧友の独り暮らしをみていて大変だと思い、折角、介護制度があるのだからと、お願いしたわけだが、支援を受けてから急に旧友のボケが深まってきたようだ。彼は毎年、自分の誕生日に友人を新宿のレストランに呼び会食するのを楽しみにしていたが、支援センターは彼の「認知症」度からみて無理だと判断したようだ。どうも、これが逆に老化を早めたようにも見える。大塚先生は、独り暮らしの老人の中にはは、一日一回の入浴に縛られず、週に一回、自分の好きな時に入浴している人もいると語っていた。

僕の周囲の長寿の先輩方をみると、皆、ある意味では老後の自由な生活を楽しまれている。大塚先生は老後の人生を三期に分け、最後の2,3年を最晩年と呼び、この方たちの医療看護の病院を経営されている。その豊富な体験からの独り暮らし老人についての発言だろう。色々問題はあるが、僕ら夫婦は旧友には悪いことをしてしまったと思っている。

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4 コメント

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Unknown (chobimame)
2013-09-27 15:52:53
悪いことをしたとは思いません。やはり認知症のある方が、一人で生活費するのは限界があります。
認知症は、刺激や緊張感では治りません。脳の病気ですからいつしか大変な事になります。
知人のおばあさんが、やはり1人暮らしをしていたのですが、悪い老人仲間に引っ掛かり、通帳や年金手帳を渡してしまいお金を使い込まれ裁判になりました。家族が心配をして、1日に数度回は見に行くようにしていても、ガスが付けたままで空のヤカンがかかっていたり、大変だったそうです。今は施設に入れて落ち着いているそうです。
なんとなく心情的に迷う話ですが、仕方ないと思います。
人間の暖かさ (kakek )
2013-09-27 16:32:26
chobimame さん
孤独死の問題があり、後で判ったのですが、マンションの隣近所からも区の方に連絡もあったそうです。仕方がないのかもしれませんが、本人は福祉の支援を受けてから認知も進み、身体も弱まったことも事実です。支援センターに連絡をとり、いまどこにいるのか聞き、見舞に行こうと思っています。九州出身で首都圏には親類がおらず、故郷の親類も遠くなっているようです。
最晩期の医療福祉は難しいです。問題は人間同士の暖かさです。
認知症は、もっとも困難な課題 (lordyupa)
2013-09-28 12:44:47
配偶者を失い一人暮らしの高齢者はどんどん増えて行くと思います。また、認知症の高齢者が、家族と同居している場合にも、暴言を吐く、介護の手を抜く、高齢者の財産を勝手に処分するなど、家族内の高齢者虐待で一番多いのは、なんと息子と夫であることとが調査統計で示されています。家族・親族が海外勤務など老親から離れた遠隔地に住んで、認知症の両親を介護するのが、実際には不可能なことも増えていると思います。
地方の一軒家に一人暮らしをしていた軽度の認知症の老親を大都会のマンションに呼び寄せた親孝行な子供の家で、老親が移住したとたんに生活環境が激変したことで、一気に認知症が悪化した事例も多いようです。
逆に、認知症の高齢者が家族を見分けることもできなくなった上、介護する妻を殴ったり、近隣を徘徊して自宅に戻れなくなったり、スーパーで金を払っていない食品を棚から取って食べだしたり、調理の際に火を消し忘れて火事を起こしたり、それはそれは大きな社会問題です。

数十年前に、米軍の掃討作戦で、南方の密林の中を逃げまどって、マラリヤや飢餓に倒れた多くの戦友に比べれば、帰国船で日本に戻れただけでも、恵まれた人生だったのだと思います。最後の晩年をブロガーのような方に見守られる従軍世代の方は、幸運の極みだと思います。
施設に入れない認知症の待機老人の激増 (lordyupa)
2013-09-28 13:23:47
chobimameさん
言われる通り、親族・家族では、特に老老介護では、、認知症の家族内介護負担が無理であり、施設が不可欠だと思います。
ただ、
認知症をもつ高齢者を受け入れる施設は、現在でも、まだまだ不足気味ですが、今後、団塊世代の認知症高齢者が急増しても、施設の数も介護者の人材も圧倒的に不足すると思います。十年先、二十年先には、一部の福祉行政にコネをもつ人々や富裕層だけが老人施設に入所できまさうが、多くの認知症老人が放置されてしまうという曽野綾子さんの「姥捨て山」予測は、当たっていると思います。
保育所待ちの待機児童数よりも、認知症老人の施設待機の方が、深刻だと感じます。

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