「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

行き場所のない老人たちの悲劇 札幌の生活支援ハウスの火災

2018-02-02 05:54:22 | 2012・1・1
札幌市東区のNPO法人の経営する「生活支援ハウス」が31日深夜の火災で木造モルタル二階建ての家屋が全焼、住人16人のうち11人(男性8人、女性3人)死亡した。犠牲者の大半は生活保護受給の高齢者であった。正直いって、また同じような悲劇かと思った人が多いに違いない。僕がとっさに想い出すだけでも2015年の川崎市日進町の簡易宿泊所の火災(11人死亡)06年の台風10号による岩手県岩泉町のグループホーム流失の事故(9人死亡)がある。いずれも今回の火災と同じように、老人施設に入居できない予備軍的な高齢者であった。

しかし、今回の札幌の「生活支援ハウス」は川崎、岩泉と違って厚労省の通達によって全国の自治体が認可した施設であることだ。厚労省の平成18年通達によれば「高齢者生活福祉センター」(生活福祉センター)設立の目的は”高齢者に対して介護支援機能、居住機能及び交流機能を総合的に推進し高齢者が安心して健康な生活を送れるよう支援する”とある。確かに「生活支援ハウス」は、特養老人施設に入居の資格を満たさない高齢者や生活保護受給者の”生活支援”の場としては機能してきたようではあるが。

NHKは意識してか「生活支援ハウス」という言葉を避け”集団住宅”を使用しているが、たんなる”集団住宅”の火災ではない。”高齢者が安心して生活できるよう”にと政府が自治体に通達して出来た施設である。今回火災のあった建物は50年以上前の旅館を改造したもので、入居者は各部屋ごとで灯油ストーブを使っていた。しかし、消防署の事前の査察に違反するものはなかったという。
法律的にはそうかもしれないが、10年以上札幌に住んだ僕の体験からいっても、高齢者だけで16人も夜間寝泊りさせるのは危険極まることだ。たんなる集団住宅の火災ではない。国は「生活支援ハウス」の実態を調べ、再発防止に勉むべきだ。