「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

お辞儀をする奈良公園の鹿 最敬礼しなくなった日本人

2017-02-28 07:03:16 | 2012・1・1
昨日NHKテレビの「おはよう日本」の再放送で”お辞儀をする奈良公園の鹿”の特集を見た。最近、奈良公園に出没する鹿たちの中に観光客が差し出す、鹿センベイに対して、頭をさげる仕草が多くなってきたそうで、これが外国人の観光客や、動画で”日本では鹿まで礼儀正しい”と話題になっているという。

戦前から何回か奈良を訪れたことがあるが気が付かなかった。いつごろから始まったのだろうか。同じように鹿が放し飼いにされている安芸の宮島では廿日市市が、給餌を禁止しているので頭をさげる鹿はいない。インドネシアのボゴール大統領宮殿の庭にも鹿がおり、センベイではならぬ、ニンジンを与えてもまったく知らん顔だ。

古い話で恐縮だが昭和18年10月、当時のインドネシア独立運動の指導者、スカルノ、ハッタ(後の正副大統領)が天皇陛下に拝謁するに当たって、事前に何回も最敬礼する練習をさせられたが、実際は陛下が手を差しのべて握手して来た、とスカルノが自叙伝に書いてる。数年前、米国のオバマ大統領が初来日して天皇陛下にお会いした時のギコチない、頭の下げ方が話題になったことがあるが、わが国の最敬礼は独特なものだ。

その最敬礼は戦後、皇室行事ぐらいしか見られなくなった。最敬礼どころか日常初対面同士の挨拶にもお辞儀に代わって握手が多くなり、中には外国風に握手した手を胸にあてる人もいる。それどころか、若い世代の中には、ごく自然にハグして挨拶する日本人も出てきた。挨拶の仕方のグル―バル化が始まってきた。奈良公園の鹿も人間に頬を突き付け挨拶する方法を学習しないとセンベイを貰えなくなるかもしれない。