「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「昭和天皇実録」にみる靖国参拝へのお考え

2014-09-09 07:27:07 | Weblog
今朝(9月9日)の新聞各紙に宮内庁から発表された「昭和天皇実録」が一面トップで数ページを使って掲載さていた。昭和天皇時代の58年間(昭和6年~64年)、この世に生を受けた僕は、一入関心を持って読ませて貰った。戦前、天皇陛下は”生き神様”であり、新聞に載った陛下の写真を神棚に祀った時代をしっている世代にとっては、戦前の陛下の私生活や戦中空襲下でのご生活は初めて接するものばかりであり、興味深く読ませて頂いた。

ただ戦後の陛下の言動の中には、この「実録」では判らないものもあった。その一つは、いわゆる「富田メモ」である。「富田メモ」とは昭和63年、当時の宮内庁長官、富田朝彦氏が昭和天皇に謁見したさい、天皇陛下がいわゆるA級戦犯の靖国神社への合祀に反対され、それを理由に靖国神社を参拝していない、と述べたとされるメモで、平成18年になってこのメモが日本経済新聞に特ダネの形で掲載された。

「昭和天皇実録」はこの問題について「昭和63年4月28日、天皇陛下が富田長官に対して靖国神社のA級戦犯合祀、御参拝について述べられる」と触れているだけで、天皇陛下の言辞はない。一方、平成18年、富田メモが発見され、この中で昭和天皇がA級戦犯合祀に不快感を示し、それ以降陛下が靖国神社に参拝されなくなった、というメモを紹介している。宮内庁は「富田メモは断片的でいくつもの解釈ができるため、陛下の正確の気持ちが判らなかった」と説明している。

毎日新聞は「昭和天皇実録」は天皇陛下の靖国不参拝を追従したものだと解釈している。しかし「実録」には直接「富田メモ」に書いてあるような記述はない。実録といっても「謎」はまだ残されいる感じだ。それにしても昭和天皇のご一生(1901~1989)は、波瀾万丈大変な時代であった。