環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

民主党の原発政策に再考を促す投書

2009-09-27 21:00:15 | 原発/エネルギー/資源
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今日の朝日新聞朝刊の投書欄「声」に著名なフォトジャーナリストの投書が掲載されました。民主党の原発政策に対する姿勢を問うています。 



この機会に広河さんの投書をお読みになって、皆さんご自身の原発に対するお考えを確立していただきたいと思います。



ご参考までに、2009年7月27日に発行された民主党マニフェストに書かれた「エネルギー政策」の部分を抜き書きしておきます。

46.エネルギーの安定供給体制を確立する

【政策目的】
○国民生活の安定、経済の安定成長のため、エネルギー安定供給体制を確立する。

【具体策】
○エネルギーの安定確保、新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に一元的に取り組む。

○レアメタル(希少金属)などの安定確保に向けた体制を確立し、再利用システムの構築や資源国との外交を進める。

○安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について着実に取り組む。



私はこのブログで幾度となく日本とスウェーデンの原発政策の相違に触れてきました。それらの記事は画面の左に表示されている「カテゴリー」の原発/エネルギー/資源にすべて収録されています。


私自身の「原発に対する基本的な考え」は、2007年に4月10日から4月23日にかけて12回のシリーズ「原発を考える」でお伝えしました。

●原発を考える① まずは皆さんへの質問(2007-04-10)

     ●原発を考える⑪ CO2削減効果はない「原発」(2007-04-22)

●原発を考える⑫(最終回) 私の素朴な疑問(2007-04-23)


私自身が分析したスウェーデンの「脱原発政策」(私は「エネルギー体系の修正だ」と理解していますが)については、2007年10月30日から11月19日まで21回のシリーズ「スウェーデンの脱原発の歩み」で紹介しました。

●スウェーデンの「脱原発政策の歩み」① 原発に関する考え方の相違(2007-10-30)

●スウェーデンの「脱原発政策の歩み」㉑(最終回)国会の決議、国会の承認(2007-11-29)



最近の関連記事

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●判断基準の相違②「将来の電源」としての原発(2009-08-12)

●21世紀の低炭素社会をめざして 原発依存を強化する日本 vs 原発依存を抑制するスウェーデン(2009-07-27)  



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2 コメント

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原発は環境対策の柱である (石井陽一郎)
2009-10-09 22:13:15
原発は重要な供給電源であると同時に積極的にCO2を抑制します。電力供給は火力(石炭、石油、天然ガス)発電、水力発電、それに自然エネルギーが加わりました。試算すると電力需要のトータルは大体今と同じ全日本で1兆KWHとすると、2020年に原発の供給が80%利用率で4200億KWHにふえます。その分火力発電を削減します。すべてのCO2は火力発電からでるのでKWH増分に火力だけのCO2原単位をかけた分が減るのです。火力発電も逐年熱効率が上がり、CO2原単位は数価的ニ1.5%ほど下がります。以上の相乗効果でCO2は05年に十電力で3,73億トン出していたものが2020年には2,7億トン[自家用車の電化で石油消費が減りCO2も0.2億トンへったのを織り込み済み)二なります。821万KWで80%利用率として全日本のCO2を3%増やす結果になりました。自然エネルギーたとえば太陽光発電でも効果は同じですが出力が不安定なので電池または火力発電によるアイドリング運転が必要で、こ
の運転だとせっかく減らしたCO2をまた一部は増やすことになります。でなければ相当割高な電気となります。
認識が同じでも、考え方、立場によって判断基準は異なる (小澤)
2009-10-11 08:20:48
コメントありがとうございます。

私のブログの目的は、私の関心分野(カテゴリーを参照)に次々に登場するさまざまな現象や事象を私なりに分析し、解説し、皆さんにもう一つの視点を提供していこうとする試みです。

ですから、私の「環境・エネルギー問題の議論」の前提は次のようにまとめることができます。

①資源とエネルギーの利用拡大が「人為的な環境負荷」を高める。

②20世紀後半に顕在化した「環境問題」の大半は、私たちが豊かになるという目的を達成するために行ってきた「企業(生産者)による生産活動」と「市民(消費者)による消費活動」が相まってつくりだした経済活動の「目的外の結果(目的はもちろん経済成長)」が蓄積したものである。

③エネルギー・環境問題の本質は、「供給サイドの資源の量的な不足や枯渇」よりも「需要サイドの経済活動の拡大(資源とエネルギーの利用拡大)」により生ずる
    ●排ガスの大気圏への放出
    ●排水の水圏への放出
    ●固形廃棄物の土壌処分
    ●廃熱の大気圏・水圏への放出
が「人の許容限度」および「環境(生態系)の許容限度」に近づき、経済活動の拡大が制約されることである。

この私の議論の前提を共有していただけますでしょうか。

この前提を石井さんと私が共有できれば、石井さんのお立場は③の「供給サイド」ですし、私の立場は「需要サイド」にあり、それぞれ異なる立場から共通の問題(CO2削減に対する原発の有効性)の議論を展開していることになります。供給サイド(エネルギーサイド)のお立場からは「原発は環境対策の柱である」となるのでしょうが、需要サイド(環境サイド)の立場からはそうとは判断できないのです。

「環境」という言葉の意味は、公害とは違って、上述したように大変幅広い概念ですので、石井さんが現実社会の現状を考えたときに「原発は大気中のCO2濃度の削減の柱である」と限定的におっしゃるのであれば、私もそれなりに賛同します。「原発の利用率が80%に高まれば原発による電力量が増えるので、その分火力発電を削減します。すべてのCO2は火力発電からでるので」というしっかりした技術論をお持ちだからです。

ここで重要なことは、石井さんもおっしゃるように、CO2の排出量削減のためには原発の利用率が向上したときに「火力発電を削減する」という行動を実際に実施することです。原発を新設したが、電力需要が以前より増えたので、火力発電所は稼働させたままというケースではCO2が削減されない事は明らかです。これまでの日本の状況は増大する電力需要に対応するために、火力も、原子力も、水力を含めた自然エネルギーもすべて増加させてきたことはエネ研や電事連の統計資料でも明らかです。

需要サイド(環境サイド)に立つ私の視点から考えますと、出来るか出来ないかという議論ではなくて、21世紀にめざすべきエコロジカルに持続可能な社会(日本の低炭素社会とは概念が異なる)ではエネルギー消費(電力消費を含めた)の総量を削減することが必須だと思います。いかがでしょうか。

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