環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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対照的な日本とスウェーデンの「債務残高」、今後はどうなる?

2007-03-19 08:24:58 | 政治/行政/地方分権


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昨日のブログで、日本とスウェーデンの「2007年の債務残高」が極めて対照的だというデータを示しました。現職の尾身幸次財務大臣が「平成19年度予算」との関連で、データを示し、コメントしているのですから、このデータは議論をするときのデータとして信頼できるものでしょう。

それでは、このような日本の厳しい財政状況がこのまま推移していくと将来どのような状況になるのでしょうか。私はこの分野のまったくの素人ですので、この分野で社会的にも、そして、専門的にも信頼できそうな方が公表されたご自分の論文のなかで引用されているデータを紹介します。

月刊誌「中央公論」(2004年11月号)が「特集 国家破綻の足音」で、榊原英資さん(元大蔵相財務官)が「日本の財政悪化は政治の砕片を招くか」と題する論文を寄稿しておられます。その論文の中に「各国の累積財政赤字の予想」と題する格好のデータがあります。

榊原さんのコメントはつぎのとおりです:「中央公論」(p125から)
双子の赤字はアメリカの問題というだけではなく、いずれ日本の問題になる。特に第二次ブッシュ政権、あるいはケリー新政権が財政赤字削減に本格的に取り組み出せば、双子の赤字はアメリカの問題というよりは、ここ2~3年の間に日本の問題になってしまう可能性すら低くないだろう。

さらに悪いことに日本の人口減少・老齢化のスピードは先進国で一番速い。すでに歳出の半分以上が年金、医療、介護などの社会福祉関連であることを考えると、財政赤字に与える老齢化社会の影響はきわめて大きい。

上の図は半年ほど前、格付け機関S&Pが、現状のままの財政制度が維持されたときの、老齢化社会が財政赤字に与える影響を試算したものである。すでに、165%(小澤注 昨日の尾身財務大臣のデータでは148%となっていた)まで上昇している日本の財務残高GDP比は2020年で287%、2050年では718%に達する。つまり、20年から30~40年の間に日本は財政破綻から国家破産の道をたどるというわけなのだ。

素人の私には何とも大変な状況だと思うのですが、エコノミストも政治家も、そして国民も、マスコミもあまりに目の前の身近な問題にばかり気をとられすぎているのではないでしょうか。榊原さんの掲げた表で日本のように右肩上がりの傾向を示しているのはチェコだけです。この表の数値を用いて、主な国の傾向を私がグラフ化しましたら、つぎのようになりました。


ちなみに、榊原さんのお考えでは、スウェーデンや他の先進工業国は現状のままでもそれほど問題はない、ということになるのでしょうか。



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2 コメント

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Unknown (うずら)
2007-03-20 21:10:29
日本の借金は無駄な公共投資による累積のツケでしょう
日本は環境問題以前に産業移転(土建屋さんが多いのでそれらを福祉や林業や農業に移行させる)をするべきでしょう
日本はヨーロッパみたいに自然に逆らわないような環境作りと食糧自給率を高めることをするべきでしょう(都会に木を植える、田畑をつくる)
それをしなければ、日本は破産の道を歩むことになるでしょう

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判断基準の相違 (小澤)
2007-03-21 21:12:29
エコノミストをはじめ、多くの人が「お金の流れ」で世の中の出来事を判断しています。私の環境論では世の中の流れを「資源・エネルギー・環境の視点」で見ています。日本はお金の流れで見ても、問題ですが、
「資源・エネルギー・環境の視点」で見ると、大変な状態にあると思います。
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