どんぽのばぶさん61~

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女神登場

2016-05-26 22:06:34 | ばぶさん童話

保育園内にある一時保育室でのある日のことです。
保育園のクラスに毎日通ってくるお子さんと違い、週に一回とか二回とかの通園です。そして体調を崩したりだとかご家庭の都合などによりお休みが入ったりすると二週間ぶりの登園などといったケースもあります。

朝の登園時から午前中のあらかたを泣き通していたAちゃん。
大すきなだいすきなママと別れて『ママ~』と泣き続けています。 

泣きたい気持ちも大事に表出&発散させてやりたいのですが、その『泣き』があまりに長い時間に渡って泣き続け、ともかく登園はしたものの約一時間経過して、9時半過ぎの水分補給の麦茶も、お昼ご飯の給食も、泣いて、泣いて飲食拒否となると正直申しまして担任としては若干ですが内心焦るのです。

泣き止んで遊びだして欲しい、少しでも気が紛れてご機嫌を取り戻せるようなきっかけは用意できないものだろうかと祈る気持ちを込めて、あやしたり遊びに誘ってみたりを手を変え品を変えして断続的に試みます。
そうこうしているうちに大概は何とか活路を見いだせるものなのですが、たまたまその日のその子にとっては的を射た試みが成り立ちません。

私がこんなに心砕いて関わっているのに、その子が泣き止まないで長泣きするのは担当の職務の怠慢で放置しているのではないだろうかと周囲からいぶかられやしないだろうか…などという気持ちもふっとよぎります。

しかもこの日は真夏日のような陽気です。脱水症状など起こさぬよう、せめて一口でも水分を取らせてあげたい…。
食後の(午睡前の)ちょっとしたとき、部屋の前を通り過ぎた、栄養士さんが、遠慮がちにドアを開け彼を抱っこして連れ出してくれました。

麦茶も給食もほとんど食べていないという情報は既に聞き及んでいたものか、また、あまりに長いこと泣き続けているその子の泣き声にこころ動かされての誘い出しでした。

やや暫くして、泣き止んで抱っこされている彼が部屋に戻ってきました。
私にはその時彼を抱っこしている栄養士さんが女神様のように見えました。
保育園の全園児を職員全体が心通わせて保育に当たっている…なんて素晴らしい
保育園でしょう。私はこの職場で今年の4月からスタッフの一人として勤務していますが、ますますこの職場が大好きになりました。

とかく、同じ職場内でも職種が違うとその子どもがどんなに長泣きしていようが、職員同士お互いに心に垣根を張って問題状況を抱え込んだり、要らぬお世話と関わりを遠慮したり拒んだりというものがあるものです。『子供中心の保育』という視点のぼやけた狭い料簡と小さなプライドが生み出す淋しい状況です。 

けれども私たちの保育園はここがよその園とちょびっと違うのです。

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