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イバラツムリ 26歳 いきしちに

2017-03-06 17:34:15 | イバラツムリ


◆ 10月10日


 その時わたしは、ベストの前身頃を編んでいた。
 水色Tシャツと、水色・アクリル・セーターと、赤色ネルシャツと、ハイミドリ色・毛糸・ベストと、青色・トレーニング・ズボンと、をまとい、しゃがんで前身頃を編んでいた。
 盛り上がるハートで急いで前身頃の一段にきりをつけ、一気に階段を降りて昇った。

 しゃがんで[Sちゃん郵便]を開けた。
 おもむろに、フタを開けた。
 紙の板に、目を奪うシールが貼ってあった。
 もっと見ると、フウトウにもビンセンにも貼ってあった。
 思わず箱のウラを調べるのだった。

 ムシ歯菌のシールを使える場所が、あるのだった。
 そこは、車会社のカレンダーなのだった。
 その写真のオッパイに貼るんだ。
 2ヵ月間も役に立つのよ。




◆ 1月20日


 ホンコンから[Sちゃん便り]が飛んで来た。

 Sちゃんは、ホンコンに、予想からはみ出したリンジョーカンを覚えたみたいだ。
 テレビ放送は、楽しめたろうか。
 ともあれ、望みを実現させ、いちおう、落ち着いたことだろう。




◆ 2月13日


 12日午前10時45分、あわただしい呼び鈴の音がワタシを玄関へダッシュさせた。
 [Sちゃん小包]の到来だった。

 ホンコンのカードが、ホンコンっぽい。
 見たところ、学びの様子があり、どこか可愛く、なんだかわからないが、カベ付近に飾ろう。

 Sちゃんが選んで来てくれた香りを、さっそく、左手首に吹き付け、右手首でこすった。
 美しい匂いよ。
 暮らしの折り折りに、両手首のイイ匂いをかいだ。
 あきらかに、不慣れなコトガラだった。

 なつかしい調味料じゃあないか。
 ショウユも、食べ物として使えるようね。

 あなたへの想いとどきますよう!と印刷されたバレンタインカードと、バレンタインデイ用のイキなチョコレートを、もらった。
 じゅうぶんオモシロがられている。
 そう、ボク達、清い関係でいましょうね。




◆ 7月5日


 6月29日、あんまり、眠たかった。
 モウロウ&脱力。
 眠たかった。
 疲労感のにじみ出す午後、郵便受けを開けた。
 ハワイから[Sちゃん便り]が飛んで来ていた。
 頭のシンから、ウレシかった。
 台所のイスに腰をすえて、熱心に楽しんだ。
 第2便。
 スタンプが、勇ましく押されてある。
 クッキリと出っぱっている。
 Sちゃんも、とっても元気だ。
 ハワイのトイレの水も、とても、元気だ。
 Sちゃんの身になり、じっくりと、好き勝手に想像した。
 そして、ヒトゴトのように笑った。
 さて、生気が伝わる第2便だった。

 第1便のおいでを楽しみにしていたところ、7月2日に、○○区からの[Sちゃん郵便]到来。

 帰国した翌日から、はやくも旅行準備へと動き出すSちゃんである。
 燃えている。

 地平線までの色の変化を図にしてくれた。
 せっかくだから、字を見詰めてイッショーケンメイ想像した。

 コンセツテイネイである。
 米粒描写にまでおよんでいる。




◆ 7月27日


 7月21日の、午後3時頃、[Sちゃん Air Mail]が、ハワイから飛んで来たぞ。
 ハガキ写真も、紙自体も、とても、元気である。
 第1便。
 どうも、品が良い。
 なにか、さわやかだ。
 文から感じられるものは、たおやかな落ち着きだった。
 手がかりが見えない。
 調査はサッソク行き詰まり、プンタタ氏の頭は、楽しそうだった。




◆ 事情


 16日の朝のことを、正直に、話します。

 目が覚めたのは、10時近くだったと思います。
 はい、寝坊です。
 このようなシマラナイ年月を送る予定は、夢にも浮かびませんでした。
 まあ、希望を失わずに、だらしない青春を生きていられるのも、自制心がカゲで糸をひいているからであると評価してます。
 起きる時刻は、毎日違います。
 わたしが使っている時計には、目覚ましの仕組みがありません。
 皿時計です。

 起き抜けに、煙草を吸ったかもしれません。

 あの時には、トイレに居ました。
 立証は出来ませんが、確かです。
 トイレの中で、あの呼び鈴の音を聞きました。
 呼び鈴は、立て続けに鳴りました。
 聞き覚えのある鳴らし方でした。
 それで、すぐに、見当がつきました。

 もし、10分後だったら、それとも、わたしが10分早く起きていたとしたら、急いで出ていたでしょう。
 でも、あの時は、出られませんでした。

 残念なことに、都合が入り組みました。
 わたしは、パジャマ姿だったんです。
 パジャマ姿のまま他人と対面しようという気力が、生じませんでした。

 そっと、トイレのドアを開けて、半透明のガラスを通して外をうかがいました。
 大きく、赤い色が見えたので、小包が来たのだと確信しました。

 まもなく、赤い車は、走り去りました。

 ……不覚でした。

ジャンル:
小説
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