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イバラツムリ 28歳 さたなはま

2017-03-08 08:26:30 | イバラツムリ


◆ 不自然


 ボクは失敗作です。
 ガンジガラメの古い箱の中にひとりで居ます。
 そう、ガラクタってとこですね。
 言っときますけど、ガラクタとゴミは違います。
 そうとう湿気てはいますが、立て直しは利きますよ。
 それにしても、ここは厄介な場所です。
 狭いし、暗いし、カビ臭いし、第一フタが開きません。
 おそらく、並みの性質の物は、暮らして行けないでしょうよ。
 ボクは変わってますから、どうにか、過ごして来てますけれども。
 出たいですね、ここを。
 毎日スキマから外を眺めるんです。
 外は、自由が散乱してます。
 いやあ、憧れます。

 そもそも、下地が問題点なんです。
 下地です、下地。
 ボクはこんな色じゃあないんですよ。
 上にどんな色を付けたって駄目です。
 つまり、全部こそげて妥当な色に塗り替えれば、きっと上出来が現われるはずだということです。
 ボクはネ、自力で、それをやっているところなんです。
 ただ、弱小なので、テンポは鈍いかもしれません。
 でも、いずれ、行き渡ったエネルギーで、この箱を無くすんです。
 まあ、オカルト行為ですよ。
 さっきも言ったように、ボクは、変わってますからね。
 表面の方の色は、かなり、はがしました。

 こうしてスキマから眺めていると、空の広大さが際立って見えます。
 晴れた夜に満月がクッキリと浮かんだアリサマなどは、絶景ですね。
 いつだったか、見とれましたよ。
 よく、空を、見詰めます。
 無い物ねだりなんですね。
 ここは、ひどい場所です。
 情けない閉所ですよ。
 ボクには似合いませんね。
 ボクは中途な失敗作なんですよ。
 神秘的ガラクタなんです。
 外で、瞬きたいですね。

 今夜も、月色が鮮かです。
 たいしたもんです。
 どうです、月の色ですよ。




◆ 3月2日


 懐妊は自分の人格にユトリを得てからにしてほしいという考えのオレ。
 天然記念物モノさ。




◆ 封書


 忍者ハッタリ・レガートは、ある時、E様が御結婚なされたらオカシナ手紙をオカシナ手紙を送るわけには行かぬぞえとザラな脅しをかけられました。
 [非行案内とかファシストしおりとか男遊びのすすめとかを書くような物好きじゃあないのさ。
 ウルトラ・矛盾まみれまくる社会ゲシュタルトに合わせて、せいぜい気取るよ。]
 軽く、笑みました。
 意味シンでした。




◆ 4月2日


 鳥用の水入れを持って自室へと歩いてるなどの[方向違い]が、相変わらず、たびたび。
 それと、たとえば、湯呑み茶碗を取ろうと思ったのにコップを取ったとか、皿を持ってるはずがロウソクを持ってたとか。
 思考が前ノメリになっているっつうようなオモムキで。
 しかも、淡白というか放心というか、早口には対応しきれず。
 そうね、ボーッとしている。

 色気に対する感受性の芽が生じ始めたのは、20才前後。
 ツボミは25才頃で、九分咲きは今年。
 Hello。
 このあいだ、フラストレーションNitchimo-Satchimoへの恐怖が走った。
 どっこい。
 ボクの正気は、ことのほかジョウブでした。




◆ 左巻きブルース


 シキタリの手ほどき書をパラパラと読んだけど。
 一般は、やっぱり、ヤヤコシイ。
 ありふれた個の大群は、恐ろしくワザトラシイ。
 人様形態は、いとも面倒臭い。
 うるさい。
 ヤミクモにウルサイ。
 Ah、ウソツキ劇の役者達。
 つくづく、わたしは不器用。
 浮き世に溶け込めない、災いを起こさなくたってヒンシュクをこうむってしまう、変種。

 あの派手な夢、あれは、いままでに体験した夢のどれよりも素晴らしいシーンだった。
 幻覚の無軌道ぶりが、喜ばしかったわね。
 夢見には、付き合いもヘッタクレもないのよ。

 わたしって、処世術という芝居を身につけたら、どんなふうかしら。
 手ゴワイ奇人。

 遠吠えとは、おのずとワビシイものだわ。

 眠い。




◆ 5月30日


 写真で見た机には、書物が80冊ぐらいあったな。
 アタシの所有文学の、ざっと80倍さ。




◆ 6月11日


 スカートを作る目的で住民のひとりが薄手のジャージーの安いのを買ったんですが、なんだか柄がヤボッタイみたいだというわけで、使わずにいました。
 それを、譲り受けました。
 ズボンをこしらえました。
 スカートを作るはずだった住民は、まるでモンペだと、ショックをムキダシにしました。
 なにしろ黒地にアズキ色とネズミ色という模様自体が見るからにモンペモンペしているので、まさにモンペなんでした。
 好きです。




◆ 手段


 錠前が引っ掛かると、ドアは開かない。
 そういう状態が、無人の便所に生じた。

 ある夜中、開けようとしてスカを食った者が 、わたしを誘いに来た。

 裁縫箱から蒲団針を取り出し、懐中電燈も持ち、わたしは階段を降りた。

 針の先で錠を動かせるかどうか試みたが、早々に、あきらめた。
 そばで、開けようとしてスカを食った者とヘタクソに閉めた者とが、立っていた。
 3名も要らないので、後者には部屋へ戻ってもらった。

 針に、粘着テープを中表に附けた。
 そして、再びコマゴマしく試みた。
 開けようとしてスカを食ってヒザを抱えて待ち焦がれる者が、手ミジカに嘆いた。
 わたしは現実的な気休めを述べた。
 「Oshikkoなら風呂場でも出来る。」

 完全な方法へ切り換えることに決めた。
 ドアに、10センチ四方程のハメ込み窓がある。
 「外そう。」

 窓枠の内側左右に打たれた少し出っ張りぎみの釘2本を、ヤットコペンチで、ねじりつつ引いた。

 枠と半透明ガラスを右横の収納小空間の扉前に置き、「なんでも屋の○○○さん。」と呟いた。
 収納小空間内に、ヤットコペンチを向けた。
 懐中電燈のつもりだった。
 錠ズラシ成功への確信が、ちょっとした興奮を招いていた。

 懐中電燈のスポットライトを浴びたハタキを、逆さに持って、窓穴から差し入れた。
 ノブの左側を、左から右へと、何度もこすった。
 そう、こすった。
 位置の関係を見ようと、鏡を求めた。
 開けようとしてスカを食って懐中電燈係をさせられたりしながらヒタスラ待ち焦がれる者は、単に、窓穴より大きな鏡を手にした。

 ハタキの先端のヒモの輪が、ノブにハマった。
 だが、これは、かなり短時間で外れた。

 手鏡に、便所の中側から、ドアを映した。
 錠の取っ手は、ノブの、右側だった。

 「開いた。」




◆ 仕掛時報


 このあいだ、皿時計から目覚まし時計へ交替。
 小さい。
 軽い。
 夜光。
 連続ショック音だがナンタッテ目覚まし内蔵。
 おはよう。
 ところで、ボクはデリケートゆえ、たいてい、鳴る前にチョイチョイ目が覚めちゃう。
 だけど、スイッチはそのまま。
 眠る。
 あるいは、待つ。
 鳴り始めてから、押す。
 そうして、起き上がる。
 予定時刻は、徐々に早めている。
 イッキに早めれば、ムリヤリ直立を保つ密かな意地っ張り情態で暮らさなければならず、しきりにナンセンス。
 ただいまのところ、ベルは8時付近に鳴動。




◆ 7月28日


 静かな無頓着ゾーンを守るには、発狂じみた正気の踏ん張り放心が必要となります。
 わたしの自閉は、条件反射のタマモノです。

 ホースの先をつまんでフン水みたいに上を向けて植木に水をまいていたら、スズメが、水の落下地点に来て、滝に打たれるごとく水浴びをしました。




◆ 8月8日


 カレーライスやマーボー豆腐やコロッケなどに、肉を入れなかったりします。
 民衆は、悲嘆に暮れます。
 ヒトといっしょに食事をすることが、楽しくないです。
 気味の悪い女だな。
 いいえ。

 遠隔地帯から、明星を、惚れて眺める。
 失恋はない。
 ただの憧れ。
 だけど、ワタシの女性本能を伸ばしてくれたのは、遙かなキラ星の発する透き通った光さ。
 ゆうべも、眺めた。
 惚れ惚れと。

 モンペが、寸詰まりました。
 股上が5センチぐらい、股下が20センチぐらい、寸詰まりました。
 過激でした。
 ていねいに継ぎ足して、薄情な酷評に耐えて穿いています。




◆ Slacks


 目が詰んだので厚くなった、継ぎ足しの明白な、自作のズボン。
 夢のような外観に見兼ねた国民が、難物クン好みの既製ズボンをあてがいました。
 でも、それでは短かったのでした。
 難物クンの、脚が長いというよりも、背丈が長かったのでした。
 やはり、自分で作ったズボンがなによりなのです。
 型紙も自作です。
 だから、当人にとっては、だから、なによりなのです。
 あの変転いちじるしいズボンだって、寸詰まる前は、しいたげられてはいませんでした。
 笑われていました。




◆ 不自然と本能


  ボクは、ガンジガラメの古い箱の中にひとりで居る、ただのガラクタではない中途な失敗作です。
 外の気配はスキマから見えるし聞こえ過ぎるくらい聞こえて来るんですが、しょせんは箱の中のガラクタ世間を知らずという弱い立場でしかありませんから、なにかと、対応に事欠いてます。
 息苦しいです。
 有り余るわびしさを胸に、もがいてます。
 性格崩壊的情緒不安定には、我ながら、てこずってます。
 なにしろ、複雑怪奇な気マグレなんです。
 フラストレーションが浮遊してます。
 名月や、蛙飛び込む置きゴタツ。
 豊満に浮遊してます。

 ところで、天は、本当に広いですね。
 本当に。
 あああ、美しい○星が輝いてます。
 エキゾチック○星も。
 ○星の瞬きを眺める時、感覚が、おとなしく女性になるんです。
 高い星と、高い星。
 淫らなようでいて、みやびで、いかついようでいて、みやびで、たっぷり安らかです。
 ボクの魂は、あの光を仰ぎ見ているあいだ、やるせないほどの刺激を吸い込むんです。

 この箱、みだりに窮屈です。




◆ 8月24日


 [スグレMadnessおとぎばなし]は、闇で拾った私事を種に、いみじくも、入り乱れるアワタダシイ感性を惜しげもなく酷使し、捨て身の自己満足で綴ってございます。




◆ 8月27日


 わざわざハワイで挙式。
 荒々しい。
 途方もない祭りだ。
 ところが、Sちゃんにとっては大チャンス。

ジャンル:
小説
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