ビター☆チョコ

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嫌われ松子の一生

2006-06-09 | 邦画


タイトルがすごいと思う。
どんな人?松子って。と、まず思う。

川尻松子(中谷美紀)は中学の教師。
幼い頃から父の愛情がほしくて父の望むとおりの人生を歩もうとしてきた。

しかし修学旅行での事件がきっかけで松子は教師をクビになり、勢いで家を出てしまう。
その後は、風俗嬢、殺人犯と転落の人生を送る。
物語は、松子の死後、はじめて松子の存在を知った甥のショウ(瑛太)の目線で語られる。


「下妻物語」の中島監督の作品。
下妻~をもっとポップにスピードアップして、時々ミュージカルみたいに、明るく明るく観せてくれるけど、ほんとはかなり暗い話なのだ。
それに気がついたとき、笑えなくなってしまってちょっと自分の感情をどこに持っていたらいいのか戸惑ってしまう。

目まぐるしく変わる場面や強烈な色彩。
そうでもしなければ、暗くて悲惨なだけになってしまう。
時に過剰にも感じる演出は、そんな松子の人生を語る上で必要なものだったのかもしれない。
何度男に捨てられても、同じことを繰り返す愚かさ。
いい加減、学習してもいいはずなんだけど、人生はちょっとしたきっかけで、悪いほうへと転がっていく。
たぶん、松子はいつだって一生懸命すぎるのだ。
不器用で見てるとイライラするけど、嫌いになれない女。
嫌いになれないのは、松子がいつも人のせいにしないから。
自分の人生の悪いところも全て自分で背負って歩いていこうとしてるから。

「嫌われ松子」というよりは「嫌われたくない松子」の一生なのだと思う。

子供って親の愛情を疑うことなく、全身にシャワーのように愛を浴びて育つ。
それを得られなかった時、愛が伝わらなかった時、
松子のように異性により強い愛情を求めようと思うのかもしれない。
愛されたいからより強く愛す。
強く愛しすぎると、重くなる。辛くなる。
壊れて、落ち込んで、また歩き出そうとしたとき松子の人生は終わってしまうのだけど、
「前向き」な気持ちの時、突然に終わった人生は、人が思うほど悲惨なものではなかったのかもしれないね。

ところで、見終わって丸一日たった今も、頭の中で
「ま~げて~、のばして~ お星様をつかもう・・・」の歌が頭をぐるぐる回っていて、つい口ずさんでしまうんだけど、あれはなんという歌なのだろう?





間宮兄弟

2006-05-17 | 邦画


ビール会社の研究員、間宮明信(佐々木蔵之介)と小学校の校務員、間宮徹信(塚地武雄)は仲の良い兄弟。
30歳を過ぎても二人で同じマンションの部屋で暮らし、子供の頃と同じように二人で仲良く遊ぶ。
恋人もいない二人がある日小学校の依子先生(常盤貴子)とレンタルビデオ屋さんの店員直美(沢尻エリカ)を部屋に招いてカレーパーティーを開くことにした。


最近観た「かもめ食堂」や「ブロークン・フラワーズ」と同じように「空気感」と「微妙な間」を楽しむ映画だと思った。
で、絶対気をつけなきゃいけないのが「こんな兄弟いるわけないじゃん」という所から入ってはいけない事。

スコアをつけながらベイスターズの帽子をかぶって野球のテレビ観戦。
じゃんけんをしながら(グリコじゃんけんだったかな?)商店街を歩く。
寝る前に布団の中で1日の反省会をする。
30過ぎのおぢさんが、こんな毎日を送ってたらちょっと問題かもしれない。
でも、そこのところをぐっとこらえて(笑)全て肯定する方向で入ると楽しめます。

最初はちょっと入り方を間違えて(爆)あわてて軌道修正したら、「こんな兄弟もいいかも知れない」と思えるようになった。
年を取るにつれて兄弟って疎遠になったりするものだけど、同じ家で一緒に育って同じ思い出を共有してるわけだから、気が合えば誰よりも頼もしくて安心できる味方になるはずだ。
「同性の年の近い兄弟」を持ってない私としては、うらやましく感じてしまったりした。
別にグリコじゃんけんをしながら商店街を歩きたいわけじゃないけど、年を取ってから子供の頃の思い出なんか話しながら、ご飯を食べに行ったり温泉につかったりするのは楽しいだろうなぁ~と思う。

それから~あの間宮兄弟の部屋には「お呼ばれ」してみたい。
たくさんの本や趣味の模型なんかでいっぱいなんだけど、すごく清潔感があって居心地がよさそうだ。
料理も出来る。
洗濯も掃除もきちんとする。
雑学に詳しい。
母親に優しすぎるのさえ気にしなきゃ、娘の婿によさそうだわ~。





かもめ食堂

2006-04-30 | 邦画
               

サチエ(小林聡美)はヘルシンキに小さな食堂を開いた。
地元の人がふらっと寄れる気軽な食堂にしたくて、メインメニューはおにぎりにした。
毎日お皿を磨いてお客を待つが開店からしばらく経ってもお客はゼロ。
それでもサチエは朝には買出しをし店を開け、お皿を磨いて客をゆったりと待つ。そんなかもめ食堂に初めての客が来た。
客は日本かぶれの青年でサチエにガッチャマンの歌を教えて欲しいと頼むのだった。
出だしは歌えるものの後が続かないサチエは歌の続きが気になって仕方ない。
街の本屋で偶然出会った日本人観光客のミドリ(片桐はいり)にいきなりガッチャマンの歌詞を尋ねてしまう。


小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ。
この配役だけで観にいく価値はあるでしょう。

大きな事件は何も起こらない。毎日は小さな出来事はあるけれど水のようにサラサラと流れていく。
その流れの中で、凛として立っているには自分の中に決してぶれない芯のようなものが必要なのだろう。

サチエは強くて優しい。
その強さは硬い鉄のような強さじゃなくて、柳のようにしなやかな強さだ。
「毎日ちゃんとやっていればなんとかなる。それでも駄目だったら、そのとき考えましょう。」
まさしくその通り。
ずっと先のことを思い悩むよりも今を大事にしたい。
今が積み重なって、未来になるんだろうからね。

土曜のレイトショー。
客層はガッチャマンの歌が無理なく歌えそうな年代のご婦人が多い。
もちろん私も歌える。完璧だ。
終始クスクス笑いが絶えなかった。
その笑いの中心にいるのが「もたいまさこ」。
独特の存在感と「間」が観てる者の期待を裏切らない。
そして目を奪われるのが北欧のインテリアや食器の数々。
洋服もすごく素朴なのにモダンな感じがして、役柄にぴったりだった。
サチエが使っていたマグカップ。
iitalaのORIGOというシリーズらしいのだが、これはかなり
お茶を飲んでもよさそうだし、ちょっと欲しいなぁと思っている。
忘れてはいけないのが、出てくる食べ物のおいしそうなこと
絶対、空腹で観にいってはいけない映画だと思う。

映画でほのぼのした後は「かもめ食堂占い」を。

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本名でやってみたら、私は「梅おにぎり」で、好奇心が強く、熱しやすく冷めやすいのだそうで。
なにやら心当たりがある。。。かな?






THE有頂天ホテル

2006-01-16 | 邦画
                          
大晦日のホテルアバンティ。
副支配人の新堂(役所広司)はホテルの威信をかけたカウントダウンパーティの準備に大忙し。
しかし、訳ありの客たちが次々と騒動を起こし、総支配人(伊東四朗)は行方不明になり、新堂の別れた妻(原田美枝子)が客として現れる。
よせばいいのに別れた妻に見栄を張った新堂は、客の騒動と自分のついた嘘のために大混乱に陥る。

カウントダウンパーティまであとわずか。果たして無事にパーティは始まるのか。。。


ホテルアバンティには泊まりたくないなぁ。
だってスイートルームなのに隣の部屋の音が筒抜けなんだもん。
でもそのおかげで命拾いした人がいたわけだから、壁の薄さも悪いことじゃない。

三谷監督はすることに無駄がない。小さなエピソードがつながってつながってフィナーレを迎える。
フィナーレを迎えるまでに小さい爆弾がたくさん仕掛けてあって映画館の中は爆弾が破裂するたびにくすくす笑いが起きる。
で、伊東四朗扮する総支配人がスクリーンに登場すると笑いは大爆発する。
こんなに大勢の知らない人と大笑いしたことってないからそのことが嬉しかったりもする。


とにかく豪華キャストだ。佐藤浩市・西田敏行・松たか子・篠原涼子・香取慎吾。
唐沢寿明・オダギリジョー、この二人はヘンなヘアスタイルを競い合ってるのか?
二枚目のオーラは完全に消し去っている。オダジョーなんか誰だかわかんなかった。すごいよ!オダジョー(←えこひいき)
そしてこの豪華キャストの登場人物それぞれが、自分の人生を一生懸命生きようとしているのがわかるから、皆が主役!っていう感じがする。

大晦日って特別な日だ。
ほとんどの人は、過ぎようとしている1年を振り返って無事に過ごせたことに感謝し、ちょっと反省もしたりして
新しい年を気持ちよく迎えようと準備する。
人生、いろいろあってあたり前。自分の人生は自分が主役なんだから、しっかり胸張って行かなきゃね。。。。って新年早々、大晦日みたいなことを思ってしまった。



蝉しぐれ後遺症

2005-10-06 | 邦画
昨日観てきた「蝉しぐれ」に感動しつつも
山田洋次監督だったら,どういう映画になっていたのだろうか
という思いを抱いていたら,こんなニュースが。。。
キムタク、山田洋次作品で主演! (日刊スポーツ) - goo ニュース
ちょっとこれには軽くショック。
キムタクファンを敵に回すつもりは全くないのです。
ただ私に想像力がないだけ。。。
来年の秋?がある意味楽しみかもしれない。。。

浅野忠信なんてちょっとイメージなんだけどなぁ

蝉しぐれ

2005-10-05 | 邦画
好きな小説が映画化されたものは,あまり観たくないのだが
藤沢周平原作に限っては,ついつい足を運んでしまう。

江戸時代,東北の小藩「海坂藩」が舞台。
牧文四郎(市川染五郎)が15の年に
下級武士の養父(緒方拳)が謀反の濡れ衣で切腹させられてしまう。
貧しさと謀反人の子としての周囲の白い目に耐えながら
文四郎は,親友や淡い恋心を抱く隣家の娘ふく(木村佳乃)に支えられて成長していく。
数年後,ふくは藩主の側室として藩主の子を生み,お家騒動に巻き込まれていく。
そんな時,文四郎にふくの生んだ子供をさらってくるようにとの命令が下る。
という展開になってくるのですが。。。

同じ藤沢周平原作の「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」は
2つの短編小説を組み合わせて作られた映画だった。
山田洋次監督が新たに作った藤沢周平の世界だから,原作のファンである私もすんなりと受け入れることができた。
今回は黒土三男監督に変わって,とにかく原作にこだわって作ったのだと思う。
そうなると,悲しいことに原作のファンはあら捜しをしてしまうんですね。
(登場人物がけずられてるとか,あの場面がないとか)
話の展開にちょっと無理があるような気がした。

とはいえ,映し出される風景はほんとに美しいし,
文四郎が,切腹する前の養父と対面するシーンでは号泣してしまった。
ちょっと辛口は藤沢周平作品を愛するあまり。。。ということだと思う。