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ぶつかり合う「幸福とは何か」――イギリスのEU離脱から

2017-03-31 00:58:59 | 日記

理想国家日本の条件 さんより転載です。

2017年3月30日木曜日
ぶつかり合う「幸福とは何か」――イギリスのEU離脱から
 
 昨年の国民投票で、欧州連合(EU)からの離脱を決めたイギリスの交渉の前途は多難である。

EUに対して、29日に正式に離脱を通告したイギリスは、ここから、2年間の交渉期間に入る。新しい貿易協定の内容はどうなるのか、EUにいる英国民とイギリスにいるEU圏の人々の権利はどうなるのか、イギリスが払うはずだったEU分担金の清算はどうなるのか。

交渉の行方しだいでは、EUに残ることを希望するスコットランドが独立を問う住民投票に、ふたたび動くかもしれない。そうなれば、同地にあるイギリスの核戦力はどうなるのか。先の見えない未来に向かって、メイ首相は、複雑な方程式を解かなければならない。

それにつけても、国や社会にとっての「幸福」とは何かを定義することが、とても難しい時代に入った。
EU離脱を危険な「孤立」と呼ぶ人たちは、イギリス経済の先行きを心配している。離脱すれば、イギリスにとって最大の貿易相手であるEUと、商売がしづらくなる。ロンドンのシティがもっていた、国際的な金融センターとしての地位は、損なわれるかもしれない。ヨーロッパの制度への発言権を失えば、イギリスの国際的な影響力は、低下してしまう。こうした点を心配する彼らは、数字のうえでの経済成長や、国家の対外的な地位を高めることを、「国益」と呼ぶ。

しかし、イギリスがEU離脱を決めたのは、多くの人々が、そうした「国家としての従来の立場」とは違うものが、より重要だと思ったからである。それは、EUという遠くの官僚組織がつくった決まりごとよりも、自分たちが選んだ身近な代表者が決めたルールに従う仕組みのほうが、より幸せだということである。そのことの方が、これまで大事だと言われてきた国家の体面上の利益よりも大切だと、多くの人が考えたということである。自分たちに関わりがある物事を自分たちで決めることが幸福であり、国益だと、彼らが考えたということである。

ここには、物事をどこから考え始めるかという、視点のぶつかり合いがある。大きな、国や社会みたいな、人々の集まりにとっての幸福がまずあって、その中で人々が暮らしているという見方が一つ。もう一つは、一人ひとりが懸命に働いて、自分や家族の生活を守り、自分の頭で考えて政治に参加するという、それぞれの暮らしが最初で、その集まりが、幸せな国や社会をつくるという見方。全体から始めるか、個人から始めるか。出発点が違うから、二つの見方はぶつかり合う。

そう考えると、よく分からなくなることがひとつある。ニュースの世界では、EU離脱を言うような人たちは、ポピュリストだとか呼ばれて、民主主義の敵のように扱われる。アメリカでトランプ大統領を支持した人たちもそうだし、世界中の新聞やテレビで、ポピュリストという言葉が踊っている。
でも、個人の視点から、国や社会の幸福を考える人たちと、全体の幸福から個人の暮らしを考える人たちと、”民主的”なのはどちらなのだろう。
イギリスのEU離脱、トランプ大統領の当選、ヨーロッパで続く大きな選挙。マスメディアは、「ポピュリストや”極右勢力”からいかに社会を守るか」が大事だと伝え、人々に考えるように促している。けれど、そういう難しい専門用語の後ろには、国や社会の幸福とは何か、民主的な政治とは何かという、もっともっと本質的な議論と、立場のぶつかり合いが隠れている。

私たちが真剣に見つめないといけないのは、きっと、こっちの方だ。

 

作家、翻訳家。米ボストン大学・国際関係学部を卒業後、雑誌編集者を経て独立。 「第8回 真の近現代史観懸賞論文」(アパ日本再興財団主催)にて佳作受賞。著書に『「親日の在日」として』(LUFTメディアコミュニケーション)。在日韓国人三世(2016年12月に日本国籍取得)。横浜市出身。好きなものは、ミスチルと寅さんとベイスターズ。

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