11月20日北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定、翌21日には中朝企業などを対象にした追加制裁を発表した米国トランプ政権。北朝鮮の反発が予想されますが、「再指定で最も追い詰められるのは韓国」とするのは台湾出身の評論家・黄文雄さん。今回、黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の中で、今日に至るまでの韓国の対北姿勢や旗幟を鮮明にしてこなかった外交等を振り返りながら、「韓国が追い詰められる根拠」を記しています。

【韓国】アメリカの北朝鮮「テロ支援国家」再指定で最も追い詰められるのは韓国

● 米、北朝鮮をテロ支援国家に再指定へ トランプ大統領が発表

今月20日、トランプ大統領は北朝鮮をテロ支援国家に再指定することを発表しました。以前、核施設の凍結を条件に北朝鮮のテロ支援国家指定解除に踏み切ったのは2008年のブッシュ政権時ですから、再指定は9年ぶりです。

11月のアジア歴訪において、トランプ大統領は各国で北朝鮮に対する圧力強化を訴えてきましたが、武器を売りつけるために北朝鮮情勢を煽っているだけだという見方もありました。ただ、6者協議の当事国のうち、日本以外の韓国と中国では、「対話路線」を強調し、実質的に成果がありませんでした。そうしたことも踏まえての、テロ支援国家の再指定なのでしょう。

とくに韓国では、トランプももともと期待していなかったこともあり、文在寅大統領との首脳会談は30分も満たずに終了してしまいました。通訳の時間を除くと、十数分に過ぎないとのことです。

● 商談で終わった26分間 事実上のコリア・パッシング、文在寅大統領のサプライズは空回り

文在寅大統領はトランプ大統領の歓心を買おうと、トランプが到着した在韓米軍基地(平沢基地)に突然現れて、サプライズの出迎えを演出しましたが、その様子を携帯電話で撮影していた韓国の報道官は、米国側に「やめろ」と制止されてしまいました。

しかも、そのような演出のためにさまざまな予定時間が押してしまい、その後の晩餐会は2時間の予定が50分で終了、さらには文在寅が提案した南北軍事境界線がある板門店の非武装地帯(DMZ)への早朝サプライズ視察も、文在寅が先に行って待っているなか、トランプ大統領は「天候が悪くてヘリコプターが飛べない」という理由でキャンセルしました。

こうした結果を受けて、韓国のメディアは一斉に「トランプ訪韓は韓国にとって大失敗」だと論じました。その理由として、上記以外にも、文在寅大統領が手を差し出して握手を求めたのにトランプ大統領は無視した、日本に到着したメラニア夫人は手を振ったのに韓国では振らなかった、メラニア夫人は日本の横田基地には来たのに、韓国の平沢基地には来なかった、などといったことが報じられています。

● 文在寅大統領とトランプ大統領の会談 韓国国内で広がる「失敗」論調

せっかく晩餐会で「元慰安婦の出席」「独島エビでおもてなし」という反日メニューを揃えていたのに、思うような効果が得られないどころか、文在寅大統領の対応のまずさと存在感のなさがクローズアップされる結果となってしまいました。

 

そして、今回のアメリカによる北朝鮮のテロ支援国家再指定は、北朝鮮以上に文在寅政権にとって大きな衝撃となると見ています。

たしかに北朝鮮はテロ支援国家に指定されたことで、アメリカからの技術輸出や対北支援、金融取引はもちろん、国際機関を通じた北朝鮮への資金援助なども不可能になります。とはいえ、もともとアメリカは北朝鮮へ強い制裁を行っていますから、今回の再指定では北朝鮮に直接のダメージはほとんどないでしょう。それよりも、北朝鮮との経済活動や経済支援を行っている国に対する圧力のほうが大きいと思われます。

北朝鮮との経済活動、あるいは経済支援を行っている国といえば、中国とロシアです。習近平は訪中したトランプに対して、国連の制裁決議を超える制裁は行わないと明言しました。また、ロシアも国連制裁決議には賛成しましたが、裏で北朝鮮に対する経済支援を拡大しているとも言われています。

● プーチンの危険な「綱渡り」、北朝鮮支援をひそかに加速

こうした国々への圧力を強めるためのテロ支援国家再指定であることは間違いありません。とはいえ、中ロはもともと北朝鮮との「盟友関係」があるだけに、対北制裁には及び腰で、今回の再指定での効果も限定的であることは、アメリカもある程度は理解しているでしょう。中ロに対しては、アメリカの断固たる姿勢を示して、少しでも譲歩を引き出せればいいという感覚なのだと思います。

問題は韓国です。今年9月、国際社会が北朝鮮への制裁を検討している最中、文在寅政権は人道支援を理由に、ユニセフや世界食糧計画などの国連機関を通じて北朝鮮に800万ドルの支援を決定しました(国際的な対北姿勢を気にして、まだ実施はしていないようですが)。加えて、トランプ訪韓直前に、THAADの追加配備の中止、アメリカのミサイル防衛システムに参加しない、日米韓の軍事同盟には発展させないという「三不約束」を中国との間で合意してしまいました(韓国側は「約束ではない」と主張していますが)。

● 「THAAD葛藤中断」の手形を切り、「三不約束」の巨額小切手を手に入れた中国

韓国はアメリカの同盟国であり、しかも、朝鮮戦争時にはほとんど壊滅状態だった韓国軍を助け、多くのアメリカ兵が血を流して北朝鮮軍を押し返して韓国を守りました。にもかかわらず、アメリカの脅威となった北朝鮮の核開発に対して制裁をかけようとしても、韓国は歩調をあわせようとしないのですから、トランプも怒り心頭でしょう。

文在寅もそれがわかっているから、トランプ訪韓でやたらとサプライズを演出して迎合しようとしたのでしょうが、空回りに終わって、逆効果だったようです。

 

今回のテロ支援国家再指定は、中国と「三不約束」を交わした韓国に踏み絵を踏ませる目的もあると思われます。これにより、文在寅政権は対北融和姿勢を見せづらくなったことは確かです。

とくに文在寅大統領は3カ月後に迫った平昌オリンピックに北朝鮮の参加を呼びかけてきましたから、このタイミングでのテロ支援国家指定は最悪です。

しかも、国際的な緊張が一気に高まることで、オリンピック不参加国が出てくる可能性も高まっています。すでにフランスやオーストリアなどは、状況が悪化して安全確保ができなくなれば、平昌オリンピックに参加しないと発言しています。ただでさえ入場券がさばけずに盛り上がらない平昌オリンピックが、さらに貧相なものになってしまう恐れがあります。

● 北情勢だけじゃない! ボイコット危機の平昌五輪、韓国が恐れる本当の「敵」

文在寅は習近平やトランプを平昌オリンピックに招待していますが、緊迫する朝鮮半島に両首脳が揃うことがあるのでしょうか。いずれにせよ、アメリカ・中国・北朝鮮と、どこにもいい顔をしようとして旗幟鮮明にしてこなかった「コウモリ外交」のツケが、一気に表面化してきた形です。

文在寅大統領については「韓国の鳩山由紀夫」だという論評がありますが、私はこれは絶妙な喩えだと思っています。先日のベトナムでのAPECでも、文在寅大統領が誰からも話しかけられなかった様子が、インターネットで話題となりました。

また、文在寅はベトナム滞在で、「韓国はベトナムに『心の借り』を負っている」と述べ、ベトナム戦争時の韓国軍による民間人虐殺などを暗に謝罪したそうですが、それを報じたベトナムのメディアはゼロだったそうです。それほど存在感がなかったということなのでしょうか。

● 韓国・文在寅大統領の「謝罪」をベトナム国民はスルー? 現地報道ゼロ=韓国ネット「無視された?」「でも謝罪したのは正しい」

一方、安倍首相については有名な台湾の評論家・林保華氏が「戦後日本で最大の首相」と讃え、安倍ファンはアジアの国々でも多くいます。APECでも2国間会談した相手国・地域は15にのぼり、過去10年で最多となっています。

トランプ大統領は、近日中に北朝鮮に対してさらに強力な追加制裁を行うと宣言しています。いまそれを恐れているのは、北朝鮮や中国、ロシア以上に、じつは韓国であるといえるでしょう。

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>せっかく晩餐会で「元慰安婦の出席」「独島エビでおもてなし」という反日メニューを揃えていたのに、思うような効果が得られないどころか、文在寅大統領の対応のまずさと存在感のなさがクローズアップされる結果となってしまいました。

 

失敗の原因にもなってることが判んないw??( ̄▽ ̄;)