孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国・新疆ウイグル自治区  当局は大規模軍事パレード IS参加戦闘員は「川のように血を流す」

2017-03-02 22:59:36 | 中国

(中国の新疆ウイグル自治区ホータンで、反テロリズムの決起集会に参加する武装警察官ら(2017年2月27日撮影)。【2月27日 AFP】 国防費より大きい資金を国内治安に投入しているだけに、夥しい人数の武装警官(ほとんど兵士)です。

写真中央、“団結広場”に立つ銅像は、右の大きい男性は毛沢東、左の小柄な男性はウイグル族老人です。

この老人は新疆ウイグル自治区のケリヤ(ホータン地区内の県)のウイグル人で、ケリヤが人民解放軍により解放されたことを感謝し、ウルムチまでロバに乗っていき、さらには政府のはからいで北京まで飛行機に乗せてもらい、1958年6月27日に毛沢東との面会を果たしたクルバン・トゥルムというおじさんを描いているものだそうです。【「地球の覗き方」http://globe.blog.jp/archives/515.htmlより】

上記ブログでも指摘しているように、“解放”なのか“制圧”なのかは、立場によって見解が分かれるところです。)

当局の厳しい弾圧で、拡散・増加するウイグル族過激派
中国が“核心的利益”(自国の本質的な利益に直結すると見なし、自国を維持するために必要と見なす譲ることの出来ない最重要の事柄)とみなす問題の一つが、新疆ウイグル自治区における東トルキスタン独立運動問題です。

近年で最も大きな衝突は2009年に起きています。

****2009年ウイグル騒乱*****
2009年6月には、広東省韶関市の玩具工場で漢民族従業員とウイグル人従業員の間で衝突が起き、死者2名、負傷者120名を出したと報じられ、翌7月には、事件に抗議する約3,000名のウイグル人と武装警察が、ウルムチ市内で衝突し、140名が死亡、800名以上が負傷した。

2009年7月5日ウルムチ事件では、中国当局は死者は197人でありほとんどが漢民族としているが、一方、亡命したラビア(・カーディル)によれば、事件後ウイグル人1万人が行方不明となっているとされる。(中略)

亡命ウイグル人組織の世界ウイグル会議の発表によれば、7月5日、ウルムチでは事前に情報をつかみデモに備えていた武装警察隊によってデモは包囲され無差別に一斉射撃が行われ、事件当日だけでも1,500人のウイグル人男女が射殺されて、遺体は軍のトラックで運び出されたとしている。【ウィキペディア】
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天安門事件同様、衝突・犠牲者の実態はよくわかりません。

その後もテロ・衝突は頻発していますが、組織だった分離独立運動というより、中国政府の漢民族優先の強圧的統治に対する地元住民の不満が爆発したようなケースも多いように思われます。

そうした民衆の民族的不満や、中国統治の枠内での民族自治の拡大、人権状況の改善を目指す活動なども含めて、中国政府は“独立運動”として厳しい対応をとっています。

最近の事件としては、先月中旬のホータンでの事件が報じられています。

****新疆でまた襲撃、10人死傷=「暴徒」3人を射殺―中国****
中国メディアによると、新疆ウイグル自治区ホータン地区グマ県で14日夜、刃物を持った3人の「暴徒」が群衆を襲撃し、5人が死亡、5人が負傷した。警察当局は襲撃した3人を射殺したという。当局は捜査を進めている。
 
3人の身元など詳細な状況は伝えられていないが、民族対立を背景とした事件の可能性がある。新疆では襲撃事件が相次いでおり、ホータン地区では昨年12月にもカラカシュ県の共産党委員会施設が襲撃され、2人が死亡し、容疑者3人が射殺される事件が起きた。【2月15日 時事】 
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玉(ぎょく)で有名なホータンは、シルクロードの風情が漂うオアシス都市で、昔NHKの番組「シルクロード」で観て以来、いつか行ってみたいと思っているところですが、治安が懸念される場所になってしまいました。

中国政府は、チベットと同様に、経済開発と厳しい弾圧の両面から地域の安定化を図ろうとしています。
“中国政府は、 西部大開発に象徴される大規模な経済的梃入れを新疆に実施し、住民の生活水準を向上させることで独立機運の沈静化を図る一方、分離主義に結びつくものとして、民族主義を鼓吹する動向に対しては過剰ともとれる厳しい取締りを実施している”【ウィキペディア】

****中国、新疆で大規模軍事パレード イスラム過激派対策で****
中国の新疆ウイグル自治区ウルムチで27日、1万人以上の武装警官が大規模な軍事パレードを行った。同自治区の政府系ニュースサイト「天山網」が28日、報じた。当局は、イスラム過激派による暴動の鎮圧に迅速に対応するとしている。

パレードには、ヘリコプターや装甲車両も登場。同地域でこうした大規模パレードが行われるのは、今年に入り少なくとも4回目となる。

新疆ウイグル自治区の共産党書記は、ウルムチの国際会議場の外に整列した武装警官らを前に、同地区が直面する治安の「厳しい状態」を認識する必要があると指摘。「テロリストやテロ集団を、人民戦争の巨大な海に葬る」と述べた。

新疆では過去2、3年、多数を占めるイスラム教徒のウイグル族と漢民族との衝突で、数百人が死亡している。【2月28日 ロイター】
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しかし、中国政府の厳しい統治が、不満を抱えるウイグル族住民を過激な抵抗運動の方向へ走らせているような側面もあり、今後事態はさらに危険な状況になることも予想されます。

シリア・イラクで戦うイスラム過激派ISにもウイグルから多くの戦闘員が参加していると言われています。
“「中国政府との武装闘争のため、実戦訓練の場を求めている」(専門家)ウイグル人を、ISが勢力拡大に利用している形”【1月13日 毎日】とも。

ISに参加したウイグル族戦闘員が、インドネシアなど東南アジアの過激派組織とネットワーク構築を進めているとも言われています。

****<東南アジア>IS網にウイグル人 テロ組織に参加相次ぐ*****
過激派組織「イスラム国」(IS)を支持する東南アジアのテロ組織に、中国系ウイグル人の参加が相次いでいることが分かった。

本拠地シリアからISが仲介しテロ組織に送り込んでいる。「中国政府との武装闘争のため、実戦訓練の場を求めている」(専門家)ウイグル人を、ISが勢力拡大に利用している形だ。

ISはシリアやイラクでは弱体化も指摘されるが、中東や東南アジアを結ぶ新たな過激派ネットワーク構築を進めているとみられ、現地治安当局はテロの脅威へ警戒を強めている。
 
治安当局や専門家の話によると、2014年以降、東南アジアで過激派組織に参加を試みたり参加したりしたウイグル人は、少なくとも十数人いた。
 
中国の新疆ウイグル自治区に集住するウイグル族は、中国政府からイスラム信仰を巡り長年抑圧を受けてきた。09年7月、ウルムチで漢族とウイグル族の衝突により197人(当局発表)が死亡する暴動が起きて以降、当局はウイグル族への締め付けを強化し亡命が相次いでいる。

自治区では16年11月、保護者が未成年の子供に宗教活動への参加を促すことや学校での宗教活動を禁止する条例を施行するなど宗教的抑圧を強めている。亡命ウイグル人の一部には、中国政府との武装闘争に備えてシリアなどで軍事訓練を受け、過激思想に感化された者もいる。
 
インドネシアでの裁判資料によると、15年10月に密入国したウイグル人2人のうち1人は、IS支持者とジャカルタ郊外に潜伏し、警察庁長官襲撃や外国人の無差別殺傷の計画(いずれも未遂)に関与した。

他にスラウェシ島のIS系過激派に約10人のウイグル人が参加を試み、うち6人が治安当局と交戦し死亡。フィリピンでも南部ミンダナオでウイグル人が過激派に接触しているとされる。
 
シリアには世界中から過激派が集まったため、周辺国は国境管理を厳しくしており、シリア渡航は難しくなっている。このため、東南アジアでテロが活発化している可能性がある。

テロ対策専門家のリドルワン・ハビブ氏によると、シリアのISで共闘するインドネシア人とウイグル人が協力し、ウイグル人希望者のインドネシア渡航を仲介しているという。【1月13日 毎日】
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トルコ司法当局も1月13日、新年に最大都市イスタンブールのナイトクラブが襲撃され39人が死亡した乱射事件をほう助した疑いなどで、中国籍のウイグル人2人を拘束したことを発表しています。
また、トルコのカイナク副首相は逃走中の容疑者について、ウイグル人の可能性があると言及しています。

【“実戦経験”をつんだ戦闘員が中国へ戻る
シリア・イラクで、また、東南アジア・トルコなどで“実戦経験”をつんだ彼らの最終的な標的は、やはり中国です。

****ウイグル人のIS戦闘員、中国に対して脅し 「川のように血を流す****
中国出身のウイグル人で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に参加する戦闘員らが、自国に戻り「川のように血を流してやる」と脅す動画が公開された。米テロ組織監視団体が明らかにした。専門家らはISが標的として中国に言及したのは初めてとみている。
 
動画を分析したテロ組織監視団体SITEインテリジェンス・グループによると、今回の動画はイラク西部に展開するISの一部門によって先月27日に公開されたもので、中国出身のウイグル人戦闘員らが映っていた。
 
これまで中国政府は、同国西部の新疆ウイグル自治区で起きている一連の攻撃について、国外に逃れた「分離派」のウイグル人によるものと非難し、過激派が国際的なジハーディスト(イスラム聖戦士)の諸組織と連携する可能性について警鐘を鳴らしていた。
 
ウイグル人の戦闘員らは30分間の動画の中で、中国政府を脅迫するメッセージを残している。
 
SITEの翻訳によると戦闘員らは「人々が言っていることを理解できない中国人ども!われわれはカリフ制国家の兵士だ。お前らの元に行き、われわれの武器を使いはっきりさせてやる。川のように血を流し、虐げられた人たちの復讐(ふくしゅう)をする」と述べているという。
 
新疆ウイグル自治区について詳しい、オーストラリア国立大学のマイケル・クラーク氏はAFPに対し、今回はISが中国に対して「初めて直接的な脅し」に言及したとみられると指摘。「ウイグル語を話す戦闘員がISに忠誠を誓ったのは初めてだ」と述べた。
 
クラーク氏はまた、これまで国際的なイスラム過激派組織から言及されることがほとんどなかった状況から、「イスラム聖戦士の言及対象」へと中国が変化したことは、公開された動画から明らかだと述べた。【3月1日 AFP】
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【「世界ウイグル会議」の代表ラビア・カーディル氏は、暴力的なテロを非難、チベットとの連携も
世界各地の亡命ウイグル人らを束ねる「世界ウイグル会議」の代表を務めるラビア・カーディル氏も、ウイグル族の中からISに参加している者がいることは認めていますが、“だまされて”“洗脳”されているとして、暴力的なテロ行為を批判しています。

****ウイグル人がシリアでISに参加」、亡命組織のカーディル代****
世界各地の亡命ウイグル人らを束ねる「世界ウイグル会議(WUC)」のラビア・カーディル代表(70)は13日、一部のウイグル人がだまされてイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」などのメンバーとしてシリアで戦闘に加わり、死亡していると述べた。
 
訪日に合わせて行われた記者会見でカーディル代表は、ここ数年で東南アジアやトルコなど世界各地に逃れた数千人のウイグル人のごく一部が、戦火にまみれたシリアに行きついて過激派組織に合流していると説明した。同代表は「一部のウイグル人はロシア軍が彼らを空爆した後、シリアで死亡した」と述べた。
 
世界各地に約1000万人いるウイグル人のルーツは、中央アジアと国境を接する中国西部・新疆ウイグル自治区。その大半はイスラム教徒で、チュルク語を話す。ウイグル人は長年にわたり中国政府による宗教的・文化的差別に抗議している。
 
中国政府は外部の過激な勢力が新疆ウイグル自治区や他の中国国内でのテロを誘発していると頻繁に警告し、厳しい取り締まりを行っている。
 
裕福で著名な女性実業家だったカーディル氏は中国政府と対立し収監されていたが、2005年に釈放された後、米国に亡命し、WUCの代表を務めている。
 
同氏はシリアに行きついたウイグル人は弱い立場にあり、「洗脳」されやすいため戦闘に加わっているとの見方を示した。しかし「彼らはわれわれの社会では犯罪集団だ」と非難している。【2月14日 AFP】
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また、ラビア・カーディル氏は、ウイグルと似たような境遇にあるチベット亡命政府との連携の考えも表明しています。

****ウイグル民族運動リーダー、チベット亡命政府と連携方針****
・・・・中国政府によるウイグル族への締め付けが強まり、国内で不満が高まっていると指摘。チベット自治区の民主化を求めて中国当局との対話を探るチベット亡命政府(インド・ダラムサラ)と連携する考えも示した。
 
ラビア氏はタイ・バンコクの「エラワン廟(びょう)」や、キルギスの中国大使館の爆発テロなどで、ウイグル人の関与が指摘されていることについて、「私は平和的な対話路線を取っており、犯罪者とは関係がない」とした。
 
また、「中国政府は経済力を武器に、東南アジア諸国やトルコなどに圧力をかけ、中国から逃れたウイグル族を送還させようとしている」と批判。「生死の境に人々を追い込むべきではない」と訴えた。

ラビア氏は米国在住だが、中国には子供や親族が残り、当局の監視下にあるという。「何げない国際電話をした後も、すぐに当局が内容を聞き取りに来る。少数民族への同化政策や宗教施設の破壊、弾圧も強化されている」と憤った。(後略)【2月12日 朝日】
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過激な行動でも、チベットでは焼身自殺に向かい、ウイグルではテロに向かうというのは宗教・文化の違いでしょうか。現実にイスラム過激派が多く存在しており、参加・合流が容易で、組織からの働きかけもあるという違いもあるのかも。
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