孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パキスタン  イランからの天然ガス輸送パイプラインの起工式

2013-03-13 02:10:37 | アフガン・パキスタン
【「パイプラインは両国の平和と安全保障、発展を担うだろう」】
現在、ネパールを観光旅行中です。今日はカトマンズ市内と古都バクタプルの定番観光スポットをまわっていました。
ネパールはいいところですが、昨日も書いたように、道路・交通事情の悪さと電気不足には困ります。

首都カトマンズは、道路などのインフラ整備がないまま、車・バイクが急増するとどうなるかという見本のような街です。大勢が歩いている細い道に、次々に車やバイクが突っ込んできて、歩くのも大変です。

電気に関しては計画停電が行われており、今日の通電時間は9時から午後3時までと、午後の8時以降です。
旅行者もネット利用の時間やPC・デジカメ電池の充電など、通電時間に合わせる必要があります。

逆に言えば、カオス状態の道路事情でも、12時間の計画停電でも、そんなものだと馴れてしまえばそこそこに生活は出来る・・・ということでしょうか。

おそらくパキスタンも似たような状況でしょう。
パキスタンが不足しているもののひとつが、エネルギー・天然ガス。その天然ガスを隣国イランからパイプラインで持ってこようという計画がありますが、イラン側の建設はすでに終了しており、パキスタン側の工事の起工式が行われています。

****イラン、パキスタンに天然ガス輸出パイプライン****
イランのアフマディネジャド大統領とパキスタンのザルダリ大統領は11日、イラン南東部チャバハールで、天然ガスをパキスタンに輸出するパイプラインの起工式に参加した。

両大統領は「パイプラインは両国の平和と安全保障、発展を担うだろう」との共同声明を出し、連携強化をアピールした。パイプライン計画は、イラン南部アサルエとパキスタン南部ナワーブシャーを結ぶ全長1880キロ・メートルで、イラン側の建設はすでに終了している。

11日からパキスタン側の建設を始め、2014年末までの完成を見込む。ただ、パキスタンでは、イスラム教シーア派のイランとの接近を嫌うスンニ派過激派の妨害も懸念されている。【3月12日 読売】
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アメリカの圧力
このイラン・パキスタンを結ぶ天然ガス・パイプラインの構想は随分昔から、恐らく二十数年前からあります。
ようやく実現に向けて動き出した・・・というところです。
当初の計画では、パキスタンから更にインドに輸送するというものでしたが、経済制裁で外資不足に苦しむイランを助けるものとして、イランを敵視するアメリカの圧力でインドは計画から離脱した経緯があります。

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・・・・インドが切望するのは原子力だけでない。イランの天然ガスをパキスタン経由でインドへ輸送する、3国の頭文字を取った「IPI」パイプライン計画。構想19年を経た計画は4月下旬、イランのアフマディネジャド大統領がパキスタン、インドを歴訪し、にわかに実現への可能性が高まった。

だが、イラン敵視政策を取る米国は、一気に逆襲を図った。インド石油・天然ガス省の高官は「米国の圧力はすさまじかった」と証言する。米外交官らは「ブッシュ大統領の顔に泥を塗る気か」「IPIを先に合意したら、米議会は原子力協定を承認しない」とインド政府に働きかけたという。

さらに今月4日、米議員団はシン首相を訪れ、国際原子力機関(IAEA)との査察協定締結を条件に、9月の米議会で原子力協定を承認することを確約。その際、「イランの核開発に対する国連制裁に同意してほしい」と迫った。・・・・【2008年7月24日 毎日】
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もし、インドが参加した形で計画が実現すれば、かねてより紛争の火種が絶えないインド・パキスタン関係の改善にも資するものだったはずですが・・・・。

当然にパキスタンにもアメリカの圧力はありますが、“パキスタンは対テロ戦の長期化を背景に、深刻なエネルギー不足に陥った。この2年間は、首都を除く全国各地で1日の半分は停電し、相次ぐ工場の閉鎖で失業者が増加。家庭用ガスや自動車燃料も不足し、物価の高騰で市民生活は破綻(はたん)寸前だ。このため反政府感情は高まり、内政を不安定化させている。”【2010年6月23日 毎日】という逼迫した実情があります。

また、インドは、同国を特例扱いにした米印民生用原子力協定によってアメリカから見返りを得ているのに対し、パキスタンには認められていません。

更に、もともとパキスタンとアメリカの関係は、対イスラム武装勢力の作戦への協力を求めるアメリカに対し、アメリカの無人機攻撃で民間人犠牲が出ているパキスタン世論には強い反米感情があるということで、同盟関係とは言いつつも微妙なものがあります。

そうした事情でパキスタンは、「パキスタンは国連安保理の対イラン追加制裁決議は考慮するだろうが、米の独自制裁に従ういわれはない」(ギラニ前首相)と計画を進め、2010年6月、イラン・パキスタンの間で建設合意調印式が行われました。

資金・治安の問題も
計画が遅れていた理由としては、アメリカの圧力のほか、資金的な問題もあります。
当初はインドから年約10億ドルの通過料収入を当て込んでいたパキスタンにとって、09年当時で12億ドルといわれる建設費の負担は重いものがあります。

もうひとつの問題として、治安の問題が以前から指摘されています。

****イラン-パキスタン パイプライン計画多難 テロの影と米の圧力と****
・・・・まずは、パイプラインが通過するバルチスタン情勢だ。イランと国境を接するパキスタン南西部バルチスタン州には、両政府に抵抗する武装組織が複数あり、既存の別のガスパイプラインや送電設備などへの攻撃を繰り返している。

武装組織のうち、パキスタンを拠点にイラン国内でテロ活動を行うイスラム武装組織「ジュンドュラ」(神の兵士)は、最近もイスラム教礼拝所で自爆テロを起こした。イランは、同組織のネットワークを一掃しなければパイプライン計画にも影響を及ぼすと、パキスタンに警告している。・・・・【2009年7月1日 産経】
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冒頭記事にもあるように、パキスタンでは、イスラム教シーア派のイランとの接近を嫌うスンニ派過激派の妨害も懸念されています。パキスタン国内ではスンニ派過激派によるシーア派を標的にたテロが相次いでおり、今回パイプラインも格好の標的となります。

中国も関心
なお、この計画には中国も強い関心を寄せています。パキスタンとしては、インドの代わりに中国に延伸させて、通過料を得たいところでしょう。
パイプライン延伸以外にも、“パイプラインのルートの周辺にあるグワダルでは、中国の資金援助で大規模な港湾施設が建設されており、中国へのガスの海上輸送も可能となる。”【09年7月1日 産経】といった方法もあるようです。
ジャンル:
経済
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