孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタン  支援国際会議でタリバンとの政治的和解を進める方針

2010-02-01 20:17:52 | 国際情勢

(ロンドンで開催されたアフガニスタン支援国際会議で、アフガニスタンからの女性と語るフリントン米国務長官 “flickr”より By U.S. Department of State
http://www.flickr.com/photos/statephotos/4311622077/)

【投降したタリバン下級兵士に社会復帰を促す】
アフガニスタンでの対策を協議するアフガニスタン支援国際会議が1月28日までの2日間、ロンドンで開かれました。

****タリバン社会復帰推進 アフガン会議 治安権限移譲も*****
米欧などが大規模増派を決定したのを受け、アフガンのカルザイ大統領はイスラム原理主義勢力タリバンの社会復帰と政治的和解に取り組む考えを表明した。会議は、一部の州について今年後半に、国際治安支援部隊(ISAF)がアフガン側に治安権限移譲を開始することを盛り込んだ声明を採択して閉幕した。

カルザイ大統領は28日の演説で、投降したタリバン下級兵士に金銭と仕事を与え、社会復帰を促す「平和と社会復帰事業信託基金」の設立を明らかにした。期間は3年で規模は2億〜10億ドルを想定。日本の福山哲郎外務副大臣は拠出金50億ドルから、設立時に約5千万ドルを負担する考えを示した。
国連は26日、カルザイ大統領の要請で旧タリバン政権の元高官5人を制裁対象者リストから削除。大統領はタリバン幹部がアルカーイダと絶縁することを条件に政治的和解を進める。
タリバンの最高指導者オマル師は米中枢同時テロを指揮したアルカーイダ指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者をかくまったため、米国内にはオマル師との対話に反発が残る。しかし、オマル師は昨年、「米欧の脅威とはならない」との声明を出しており、タリバンとの政治的和解は「時間の問題」との観測もある。

ISAFを主導する北大西洋条約機構(NATO)は米国が3万人、その他が7千人を増派することを決定。タリバンの攻勢を抑え、アフガン軍17万1600人と警察13万4千人の養成を進める。34州のうち治安が安定している少なくとも5州について今年後半に治安権限を移譲、戦闘が続く南部でも5年以内の移譲を目指すが、カルザイ大統領は英BBC放送に10〜15年間の援助が必要と語った。【1月29日 産経】
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戦闘をタリバン側が優位に進めている状況にあって、下級兵士への投降の働きかけ、政治的和解の促進、あるいは、治安権限委譲にしても、かなり楽観的な方針です。

タリバンはアフガニスタン政府が国軍兵士に支払うより高額の報酬を支払っていると言われています。
アメリカや日本など主要国が必要な財政的支援を行うことで、投降したタリバン下級兵士に金銭と仕事を与え、社会復帰を促す計画ですが、その実現を危ぶむ見方もあります。

【「金銭で投降ない」】
****タリバン和解、疑問 アフガン「金銭で投降ない」*****
アフガニスタンのカルザイ大統領は、ロンドンで開かれたアフガニスタン支援国際会議で、イスラム原理主義勢力タリバンの穏健派の社会復帰を促し、政治的和解を図ることで国家再建を目指す方針を表明した。しかし、国内ではその実効性を疑問視する見方が少なくない。
下級タリバン兵などに、投降の見返りに金銭や仕事を与えるというカルザイ氏の構想について、政治アナリストのワヒード・ムジュダ氏は「9割のタリバン兵は宗教的義務感から、残りは家族を米国などの攻撃で失ったことへの義憤から戦っているのであり、金銭などの提供で投降することはありえない」と指摘する。
旧北部同盟系の政治アナリスト、アフマド・サイーディ氏も「金銭による懐柔策は成功しない。仕事がない人たちがタリバンに偽装し、金を受け取りにくるだけだ」と一蹴する。別のアナリストは「偽タリバン兵は金を受け取った後、役人にリベートを渡す構図になっている」と語る。
実際、アフガン政府はこれまで複数回にわたって、金銭と仕事を提供する計画を実施してきた。だが、地元記者によると、その度に、一時金を複数回受け取ったり、使用していない古い武器だけを放棄したりするケースが相次いだ。

それでもアフガン政府は昨年末、約8千人のタリバン兵が武器を放棄したとして成果を強調した。ただ、投降したタリバン兵の扱いをめぐっては「政府内でもさまざまな議論がある」(外交筋)。例えば、読み書きの能力が低い者の雇用先を確保するのは容易ではない。雇用創出を含むシステムが確立されなければ、投降しても職に就けず、再びタリバン兵に戻る可能性も高い。
また、「タリバンが、駐留外国部隊との戦闘で優勢に立っている状況のもとで、対話に乗り出してくるとは考えにくい」(ムジュダ氏)との見方が大勢だ。ある地元筋は「カルザイ氏とタリバン最高指導者オマル師のような人物との対話が実現しない限り、下級兵士を取り込んでも成果は限定的だ」と語る。【1月31日 産経】
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“9割のタリバン兵は宗教的義務感から”については、金銭的報酬を期待してタリバンに参加している者も多いとする異論もあります。
そうであったとしても、“読み書きの能力が低い者の雇用先を確保するのは容易ではない”というのは事実でしょう。

今後については、今春カブールで予定される次回支援国会合の前に、伝統的な最高意思決定機関「ロヤ・ジルガ(国民大会議)」を開き、旧支配勢力タリバンにも参加を呼び掛ける方針です。
“これに対し、クリントン米国務長官は会見で「(平和の達成には)敵に関与しなければならない」と語り、政治プロセスへのタリバン取り込みを容認する姿勢を示した。米国も最終的な紛争終結には軍事行動だけでなく、「政治解決」が不可欠と判断していると見られる。”【1月29日 毎日】

また、国際的批判を浴びているアフガニスタン政府の汚職問題では、独立監査組織を設置して取り組む姿勢が示されていますが、こちらもかなり楽観的方針です。



ジャンル:
アジア
キーワード
最高指導者 アルカーイダ ロヤ・ジルガ 国民大会議 クリントン 北大西洋条約機構 米中枢同時テロ 外務副大臣 国際治安支援部隊 ウサマ・ビンラーディン
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