孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ナイジェリア  イスラム過激派「ボコ・ハラム」に対する大規模掃討作戦が進行

2013-05-24 23:02:46 | アフリカ

(4月30日 ナイジェリア北東部ボルノ州バガの町中を巡回する同国軍の兵士 【5月19日 AFP】)

【「奴らのテロ行為を終わらせるために必要な軍事的措置をすべて動員する」】
西アフリカの地域大国ナイジェリアの光と影については、比較的最近の5月13日ブログ「ナイジェリア  拡大する消費 一方で、国民の7割が貧困層 増大するストリートチルドレン」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20130513)で取り上げたところですが、そこでも触れたように、南部にキリスト教徒、北部にイスラム教徒が暮らすナイジェリアではイスラム過激派「ボコ・ハラム」の対キリスト教徒・外国人に対するテロが頻発しています。

“ボコ・ハラム(Boko Haram )とは「西洋の教育は罪」という意味となる。ナイジェリア北部の各州にシャリーアの導入を目指して武装闘争を展開している。「ナイジェリアのターリバーン」と呼ばれる。ボコ・ハラムは西洋式教育だけでなく西洋文明、現代科学、特にダーウィン主義を攻撃している。”【ウィキペディア】

凶悪なテロ活動を繰り返す「ボコ・ハラム」に対する政府・治安当局の対応はどうなっているのか疑問にも感じていたのですが、グッドラック・ジョンソン大統領は5月14日夜のTV演説で、北東部のアダマワ、ヨベ、ボルノの3州に非常事態を宣言すると共に、ボルノ州の一部が「ボコ・ハラム」に占拠されていることを明らかにしました。そして、ナイジェリア政府はこれまでにない大規模な掃討作戦に乗り出し、激しい戦闘が行われています。

****ナイジェリアが泥沼の内戦に****
「奴らのテロ行為を終わらせるために必要な軍事的措置をすべて動員する」--ナイジェリアのジョナサン大統領は先週、イスラム武装組織ボコ・ハラムの掃討を目的として、非常事態宣言を発令。ボコ・ハラムの拠点となっている北東部3州に、約8000人から成る前例のない規模の軍隊の増派を命じた。

ポルノ州では、ボコ・ハラムの巣窟となっているサンビサ動物保護区で急襲作戦が展開された。軍は「国家の領土と治安を守るために総力戦で戦う」としており、戦闘機や武装ヘリコプターが投入される可能性も高い。

キリスト教徒が多い南部とイスラム教徒が多い北部が対立するこの国で、ボコ・ハラムがイスラム国家の建設を目指して反政府闘争を始めたのは09年頃。
以来、政府機関を狙ったテロ攻撃や外国人の誘拐などを繰り返し、北部の一部を実効支配するまでに勢力を拡大してきた。

ボコ・ハラムの暴力行為は、特にこの1年で激しさを増している。今月初めにもポルノ州で警察署などが組織的に襲撃される事件が起き、55入が死亡した。
人権団体によれば、09年以降の犠牲者数は約3600人に上る。

軍がボコ・ハラムつぶしに失敗すれば、待っているのはもっと悲惨な内戦だ。【5月13日 Newsweek】
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ただ、ナイジェリア政府軍について懸念する向きもあります。
“今回の軍事作戦をめぐっては、多数の民間人死者が出る可能性があるとの懸念が広く広がっている。ナイジェリア軍はこれまでにも、民間人への無差別攻撃を含む重大な人権侵害を行ったとして非難されている。”【5月18日 AFP】


アメリカもナイジェリア軍の行動にはくぎを刺しています。
  
****ナイジェリアの戦闘に「深い懸念」=米****
ケリー米国務長官は17日声明を出し、ナイジェリア北東部で続く同国軍とイスラム過激派の戦闘に「深い懸念」を表明した。
声明は同国北東部を制圧したイスラム過激派「ボコ・ハラム」のテロ攻撃を非難するとともに、ナイジェリア軍に対しても人権と法の支配を順守するよう促した。【5月18日 時事】 
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“パリの開発調査研究所のナイジェリア専門家であるマルク・アントニー・ペルーズ・デ・モントクロ氏は「鞭だけで(ボコハラムの)動きを止められるとは思わない。人参との併用であれば何かを達成できよう」(AFP通信 2013年5月19日)と論評している。”【5月21日 「最近の中東・エネルギー情勢から」】というように、大規模掃討作戦の効果に懐疑的な見方もあります。

5月16日にブリュッセルで開かれたナイジェリア・EU閣僚会合で、EU側は「大規模軍事作戦は非生産的」との警告を行っています。

5月19日には、ナイジェリア軍のクリス・オルコラデ准将・報道官が記者会見で、拠点を追われた「ボコハラム」がバラバラになっていると説明、掃討作戦の成果をアピールしていますが、実際のところはまだよくわかりません。
ネット情報によれば、政府軍は更に増員して攻撃を継続しているようです。

****ナイジェリア:ボコ・ハラムに対して攻撃を継続****
ナイジェリア軍は20日月曜日、Borno州にあるイスラム主義者の5つの拠点を奪還し、1000人の援軍を派兵することを決定したと発表した。
この地域でイスラム過激派ボコ・ハラムへの攻撃を開始して6日目のことだ。

ナイジェリア軍は「New Marte、Hausari、Krenoa、Wulgo、そしてChikun Ngualoにあるテロリスト拠点をすべて破壊し、これらの地域の安全を確保した。現在は住民の保護し自由を保障している」と軍スポークスマンのOlukolade将軍は話している。これらの地域はすべてカメルーンの国境付近にあり、イスラム過激集団の勢力範囲と見なされていた。(後略)【5月21日 「フランス語ニュース」http://novellefrancaise.blog.fc2.com/blog-entry-118.html
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犯行理由は英国兵士によるイスラム教徒殺害
一方、ナイジェリア関連のテロ事件が思わぬところ、ロンドンで発生しています。
「ボコ・ハラム」との直接の関連は報じられていませんが、激しい欧米への憎悪という点では共通の土壌に根差しているように見えます。

****英国:新たなテロ、衝撃大きく 英兵殺害****
ロンドン南東部ウーリッチの路上で22日、英兵が男2人に殺害された事件で、容疑者の1人はキリスト教から改宗したイスラム教徒で、イスラム過激派団体と交流があったと英メディアが23日報じた。

英当局は事件前から両容疑者の存在を知っていたが、テロ関与の可能性を察知していたかは不明だという。英国は2001年の米同時多発テロ後、国内のイスラム過激派組織の壊滅作戦で一定の成果を収めていただけに、今回の事件の社会への衝撃は大きい。

BBC(電子版)によると、警官に撃たれ入院中の容疑者2人のうち、1人はナイジェリア系英国人で28歳。01年以降に改宗した。英軍兵士を殺害した後、犯行理由は英国兵士によるイスラム教徒殺害だと語ったという。
英国はイスラム国であるアフガニスタンに派兵している。ロイター通信によると、別の1人もナイジェリアとの関連が疑われている。
ナイジェリアではイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」のキリスト教徒や欧米人への攻撃が激化している。

事件から一夜明けた23日、キャメロン英首相は緊急治安対策会議を招集。ロンドン警視庁のホーガンホウ警視総監や国内情報機関MI5幹部も出席し対応を協議した。会議後、首相は「英国はテロに屈しない」と語った。
ホーガンホウ警視総監は対テロ特殊班が捜査を始めたことを明らかにし、「人々が平穏な生活を送る大通りで衝撃的でおぞましい事件が発生することを理解するのは難しい」とその衝撃の大きさを語った。事件を受け、英警察はロンドン市内で警官1200人を増員するなどして警備態勢を強化した。

一方、英国イスラム評議会は「イスラムの考えとは相いれない野蛮な行為だ」と事件への非難声明を出した。【5月23日 毎日】
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今回の大規模掃討作戦の成果はまだよくわかりませんが、基本的には、5月13日ブログで取り上げたようなナイジェリアの影の部分、石油を牽引とする成長から取り残された多くの国民が貧困のなかでの暮らしを余儀なくされている現状の改善が必要なのでしょう。軍事作戦だけでは“もぐら叩き”に終わることが懸念されます。
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