孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ニジェール  イスラム過激派が仏ウラン加工施設攻撃 拡散するテロ組織の背景に砂漠化進行と食糧難

2013-05-26 22:11:30 | アフリカ

(国際人道支援機関Acción contra el Hambre によるニジェールでの砂漠緑化事業 “flickr”より By Acción contra el Hambre http://www.flickr.com/photos/accioncontraelhambre/7499862928/)

マリ:都市部からはイスラム過激派を駆逐
西アフリカのマリでは、北部を制圧して南進の動きを見せたアルカイダ系イスラム過激派「アンサル・ディーン」などの反政府勢力に対し、25年1月、西アフリカ一帯に大きな権益を有する旧宗主国フランスがマリ政府を支援して軍事介入、都市部からイスラム過激派を駆逐し、すでに4月からは撤収を始めています。

今後については、7月には大統領選挙が予定されており、国連安全保障理事会は4月25日、マリの安定化を目指し、平和維持活動(PKO)部隊を創設する決議案を全会一致で採択しています。

しかし、“国内外への避難民・難民は40万人以上とみられる上、北部の都市部で過激派の攻撃が散発的に発生しており、選挙時の混乱も予想される。また、イスラム過激派が放逐された後、北部キダルを事実上管理下に置いた遊牧民トゥアレグ人の世俗主義反政府組織「アザワド解放民族運動(MNLA)」は、選挙前の武装解除というフランスの要請を拒否した。”【4月26日 毎日】という不透明な情勢が続いています。

フランスの戦争にニジェールが協力したことへの報復
そのマリの隣国、ニジェールで、フランスの重要ウラン加工施設がテロ攻撃を受けています。
犯行声明では、マリにおけるフランス軍にニジェールが協力したことへの報復とされています。

*****ニジェールの仏ウラン加工施設などに爆弾攻撃、マリ武装勢力が犯行声明****
西アフリカのニジェール北部で23日、仏原子力大手アレバのウラン加工施設とニジェール軍の基地がほぼ同時刻に相次いで車爆弾攻撃を受け、同国内務省の発表によると兵士18人と民間人1人、自爆犯4人が死亡した。また、容疑者の1人が訓練兵数人を人質に取って施設内に立てこもっているという。

この攻撃について、隣国マリのイスラム武装勢力「西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)」が犯行声明を出した。MUJAO報道官はAFPに対し、攻撃は「シャリーア(イスラム法)に反したフランスの戦争にニジェールが協力したことへの報復」だと述べた。ニジェール軍はマリ北部でのフランス主導のイスラム勢力掃討作戦に部隊を派遣している。

これより先、西側情報筋はAFPの取材に、北部の主要都市アガデスにある軍基地を狙った攻撃で少なくとも10人が死亡したと明かしていた。また、カリジョ・マハマドゥ国防相は、攻撃してきたのは遊牧民族トゥアレグ人かアラブ系の勢力で「既に無力化された」と語っていた。

一方、アガデスから北に250キロメートルほど離れたアルリットにあるアレバのウラン鉱山と加工施設を狙った攻撃は、同社によると4輪駆動車による自爆攻撃で、自爆犯が死亡したほかニジェール人作業員13人が負傷したという。【5月23日 AFP】
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「西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)」のほか、アルジェリアで1月に起きた人質死亡事件を起こしたイスラム武装勢力「覆面旅団」司令官のモフタル・ベルモフタル最高幹部も犯行声明を出しており、MUJAOとの共同作戦だったとも言われています。

****アルジェリア事件首謀の司令官、生存説も 別のテロで声明****
アルジェリアで1月に起きた人質死亡事件を首謀したとされるイスラム武装勢力「覆面旅団」司令官のモフタル・ベルモフタル最高幹部は生きているのか。3月にマリ北部で死亡したとされてきたが、同幹部を名乗る新たなテロの犯行声明が24日に出されたからだ。

声明が出たのは、23日にニジェール北部のウラン鉱山施設などで20人以上が死亡した連続爆破テロ。「ニジェールの大統領が、マリでの聖戦兵士を駆逐したと宣言したことへの我々の反応だ。(仏など)十字軍が成功したのは軍事作戦ではなくメディア作戦だ」と主張。「我々はさらなる作戦を続ける」とし、テロの継続を宣言した。

声明に加え、覆面旅団の下部組織「血盟団」もモーリタニアの通信社に、「(ニジェールの爆破は)ベルモフタル幹部自身が指揮した」と健在ぶりをアピールした。覆面旅団の声明とは別に、「MUJAO(西アフリカ統一聖戦運動)」がテロ当日に犯行声明を出していたが、血盟団は、MUJAOとの共同作戦だったとしている。

ただ、一連の声明にはベルモフタル幹部の映像や肉声などはない。声明に付けられた署名の真偽も不明だ。マリでの拠点を奪われた武装勢力が、求心力を高めるためにカリスマ的な存在の同幹部の名前を使っている可能性もある。

ベルモフタル幹部はマリ北部を拠点とし、幾たびも各国の諜報(ちょうほう)機関を翻弄(ほんろう)。「アンタッチャブル」と言われたが、チャド政府が3月、同幹部の殺害を確認したと発表した。遺体は現地に埋葬されたとの情報はあるが見つかっていない。

ただ、今回のテロはベルモフタル幹部の生死を別にしても、武装勢力側に国境を超えて大きな作戦遂行能力があることを示した。ニジェールでは国内で無数の軍の検問所を設置するなど厳戒態勢にあり、外国人の自由な移動を制限していた。
特にウラン鉱山は、仏の原発燃料の一大供給地で仏のアフリカにおける最重要利権であり、厳重な警備下にあった。広大な砂漠地帯でテロを防ぐことの限界が露呈された。【5月26日 朝日】
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仏のアフリカにおける最重要利権
今回のニジェールでのテロ攻撃は、マリでフランス軍がイスラム過激派を都市部からは放逐したものの、追われたイスラム武装勢力は国境を越えて勢力を温存していることも窺わせます。
また、攻撃対象となったウラン加工施設は、原発大国フランスにとっては重要権益にあたると見られています。

*****ニジェール:自爆テロは隣国マリの報復 イスラム過激派****
西アフリカ・ニジェールのウラン鉱山などで23日に相次いだ自爆テロで、犯行声明を出したイスラム過激派は、隣国マリでのフランス軍などによる過激派掃討作戦への報復であることを明らかにした。

マリでは都市部から放逐された過激派が、国境を越えて各国政府の支配の及びにくい地域に移動し、勢力を温存している可能性がある。マリから波及した過激派が周辺国でテロ攻撃を本格化させる恐れが出てきた。

自爆テロが起きたのはニジェール中部アガデスの政府軍基地と、北部アーリットにある仏原子力大手アレバ社などのウラン鉱山。鉱山では1人が死亡し、爆発による損傷で操業が停止している。(中略)

標的となったニジェールは世界第4位のウラン産出国。電力の75%を原子力に依存するフランスにとって、ウラン鉱山は極めて大きな権益だ。マリへの仏軍介入の遠因にも、フランスが権益を持つニジェールへの過激派拡大を阻止したい思惑があったとみられる。

一方、過激派は2010年にもアーリットでフランス人らウラン鉱山関係者を誘拐。今回のテロも仏権益に打撃を与える狙いがあったと考えられる。

ニジェールのバズーム外相は今月、マリから逃げ出した過激派がリビア南部に根拠地を作っていると懸念を表明。今回のテロ実行犯はリビア南部から入国したとの報道もあり、事実なら、カダフィ政権崩壊後のリビアの混乱に乗じて過激派がこの地域一帯で勢力圏を形成している懸念を裏付けたことになる。

ニジェール軍は仏軍とともにマリに軍事介入。また、ニジェールには軍事介入後、過激派の情報収集などの目的で米軍が無人機の基地を設置し、「テロとの戦い」の新たな拠点となっている。【5月25日 毎日】
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フランスは重要権益が攻撃されたことで、特殊部隊を投入しています。

****仏、ニジェールに特殊部隊投入=武装組織は攻撃継続を警告****
フランスのルドリアン国防相は24日の仏テレビで、西アフリカ・ニジェールで23日起きた連続爆弾テロに関し、標的となった同国軍基地がある北部の主要都市アガデズに仏軍特殊部隊を投入したと明らかにした。これに関連して仏国防省筋はAFP通信に対し、24日未明に仏部隊がテロリスト2人を殺害したと述べた。

ルドリアン国防相はテレビで「情勢は落ち着いている。とりわけ仏特殊部隊がニジェール軍支援のため介入したアガデズではそうだ」と語った。

一方、連続テロの犯行を認めた1月のアルジェリア人質事件の首謀者、ベルモフタール司令官が率いる武装組織「血盟旅団」は24日、イスラム系サイトを通じ声明を発表。ニジェールが隣接するマリでのイスラム武装勢力掃討のため投入した部隊を撤収させない限り、ニジェールで「さらなる攻撃を実行する」と警告した。【5月24日 時事】
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【「食べるものがなくて、戦えばくれると言われれば、死ぬかもしれなくても参加するだろう」】
テロとの戦いは、大規模軍事作戦で短期間に収束させることは困難です。テロを生む背景にメスが入らない限りモグラ叩き状態が続くことが考えられます。
犯行の舞台となったニジェールに関しては、深刻な食糧難が報じられたばかりです。

****ニジェールで深刻な食料危機 80万人に影響****
国連人道問題調整事務所(OCHA)は12日、アフリカ中部ニジェールで80万人が食料危機に直面しており、うち約8万4000人が緊急支援を必要としていると発表した。

干ばつの影響で収穫量が激減したことから備蓄食料が底をつきつつあり、9月の収穫期までの6~8月に深刻な食料不足に陥る恐れがあると警告している。
OCHAによると、食糧難は、東部ティラベリ州とタウア州、中南部ザンデール州で特に深刻で、木や草の葉や野イチゴを食べて飢えをしのいだり、家畜の牛や農具を売却する人も出ているという。

欧州連合(EU)によれば、ニジェールのあるアフリカ・サヘル(Sahel)地域では今年、1030万人が食料危機に直面している。【5月13日 AFP】
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サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域「サヘル」では、砂漠化が進行しており、食糧難・貧困を深刻化させています。
そして、食糧難・貧困が、“食べるために”テロに加わる若者を供給しているという実態があります。

****砂漠化がテロを生む 消える村、流れる若者****
うすい黄色の砂地が地平線まで続く。風に乗った細かい砂粒が、目や鼻に入り込み、息苦しくなる。気温は45度。点在する木々の多くが立ち枯れている。枝に触ると簡単に折れ、白い粉が舞った。

西アフリカ・ニジェール南東部のメイネ・ソロア県。一帯はサハラ砂漠からやってくる砂に埋もれそうになっていた。以前はゾウなどの野生動物も生息していたというが、今は想像するのさえ難しい。
ヤシの林が数キロごとに点在する。元々はアカシアなども生い茂り、緑地がつながっていたという。サハラ砂漠の南縁に延びる「サヘル(アラビア語で岸辺の意味)」だ。

「ここも今年中になくなるだろう」。ニジェール政府のゲロ・ママンさん(49)が、数百メートル四方に広がるヤシの林の前で、つぶやいた。周囲にあったという池や井戸は砂に埋もれ、跡形もない。
1975年にこの県を調査した際、一帯で70ヘクタールに過ぎなかった砂漠は2003年に18万5千ヘクタールに膨らみ、32%以上を占めるようになった。今も毎年1万2千ヘクタールずつ増えている。

四方を砂の丘に囲まれた小さな村グーデラムを訪ねた。農家のスーレさん(65)は飼っていた牛とヤギの9割を干ばつでなくした。残るのは牛2頭とヤギ10頭。「生活しているのではなく、生き残っているんだ。井戸が枯れたら村を去るほかない」。スーレさんはそう話した。

砂漠の拡大は、ニジェールにとどまらない。周辺各国共通の問題だ。干ばつは30年前には10年に1回だったが、5年に1回、2年に1回と頻度を増してきた。昨年は8カ国で1500万人以上が食糧難に陥った。
この一帯で、武装勢力が生活に困った若者たちをリクルートしている。そんな話を聞いた。(中略)

 ■信仰じゃない、食べるために
サヘルの若者が武装勢力に加わっているというのは、本当なのか。取材を重ねていると、国際テロ組織アルカイダ系のイスラム武装組織「MUJAO(西アフリカ統一聖戦運動)」の元メンバーら2人に会うことができた。

MUJAOは、ニジェールに隣接するマリ北部のガオに拠点を置いていた。同国北部は昨春、無政府状態となり、複数の武装組織が入り込んだ。アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス生産施設で、日本人も犠牲になった人質事件の首謀者モフタル・ベルモフタル司令官もガオを拠点にMUJAOとも共闘していた。今年1月にフランスが軍事介入し、武装勢力を主要都市からは一掃したが、一部はゲリラ攻撃を繰り返す。

「メンバーには食うのに困った農民や牧畜民がたくさんいた。近年の大干ばつで多くの人が家畜や生活の糧を失った。大半が宗教心から加わったわけではなく、家族を養うためだ」。2人はそう証言した。

サヘル地域では、一昨年のリビアのカダフィ政権の崩壊に伴う混乱で、大量の武器が周辺国の武装組織にも流出した。彼らが組織から手渡されたのは最新の機関銃だったという。

2人のうちの1人、イドリサさん(44)によると、戦闘員にはチャドやマリ、ニジェールなどサヘル地域出身が多かった。ほとんどが銃を持ったことがない者だった。一緒に寝泊まりし、早朝から夕方まで、走り込みや射撃訓練を受けた。上官はエジプトやリビアなどのアラブ諸国の出身で、訓練の教官も務めていた。戦闘任務前には、メンバーの多くがコカインを吸引しているのを見たという。

イドリサさんが言う。「畑に砂が積もる故郷で、何ができるのだ。政府は助けてくれない。貧困と社会不平等がなくならない限り、また新たな組織ができるだろう。食べるものがなくて、戦えばくれると言われれば、死ぬかもしれなくても参加するだろう」

マリ国境から約60キロに位置するニジェールのマンゲゼ難民キャンプには毎週、数十家族が押し寄せる。干ばつとともに紛争に苦しむ人々だ。マリ北部メナカから来た牧畜農家アボドーさん(60)は「イスラム過激派は市民に30万セーファーフラン(約6万円)を提示して勧誘していた」と明かした。難民組織リーダーのハマドゥーさん(60)も「干ばつなどで生活の糧をすべて失い、希望がなくなった者が加入している例が複数あった」と話した。

 ■緑の壁、自立の芽育む
国際社会がサヘルの問題を見過ごしていたわけではない。
前回2008年の第4回アフリカ開発会議(TICAD4)でも取り上げられ、日本は国連開発計画(UNDP)を通じ、砂漠化を含めた気候変動の脅威への対応に9210万ドルの拠出を表明。さらに6月の第5回会議を控え、サヘル地域などの平和と安定のため、5・5億ドルの支援を明らかにしている。

東はジブチから西はセネガルまで、全長約8千キロにわたって植樹するという「アフリカ緑の壁プロジェクト」構想も持ち上がっている。

ニジェール南東部では10年から緑地帯の周りにヤシの樹皮を何重にも張り巡らせ、砂漠の拡大を食い止める試みが続いている。農地を失った地元住民らが作業に当たり、賃金が支払われている。
メイネ・ソロア県と周辺では計3600ヘクタール分の囲いを作り、120万本を植林したという。ニジェール政府の担当者は「小さな活動だが住民が参加することで持続可能な土地の利用を促すことができる」と話す。

ただ、サヘル地域の治安の悪化によって活動の停止に追い込まれている場所も少なくない。マリでは国際NGOなどによる100以上のプロジェクトがあったが、昨年からの紛争によって北部ではほぼすべて活動が停止しているという。

それでもマリ政府の環境衛生省のスーマナ・タンボ局長補佐は「砂漠化によってコントロールができなくなる地域が増えることは過激派の活動を助長する。さらに生活の糧を失った人々が過激派の提示する金になびく可能性がある」と緑化事業継続の必要性を訴えた。

ブルキナファソなどで20年以上、環境活動をしている日本のNGO「緑のサヘル」(岡本敏樹代表)は、植林に加え果樹栽培や養蜂技術の支援などで地域住民が現金収入を得られるよう、自立のための活動も展開している。
【5月26日 朝日】
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砂漠化・食糧難・貧困が治安の悪化を招き、治安の悪化が緑化防止活動を阻害し、更に砂漠化が進行する・・・・という悪循環にあるようです。しかし、国際社会が軍事介入・権益保護と同程度の本気でこの地域の緑化事業などに取り組めば、この連鎖も断ち切れるはずでは・・・とも思います。
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