孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ナイジェリア  イスラム過激派によるテロ頻発 キリスト教徒による報復暴動も 悪化する憎しみの連鎖

2012-06-19 22:48:28 | アフリカ

(今年1月20日 ナイジェリア北部カノで起きた地元警察本部などを狙った連続爆発攻撃 “flickr”より By Pan-African News Wire File Photos http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/6753488849/

【「イスラム国家樹立まで攻撃続ける」】
アフリカ・ナイジェリアにおける、南部・キリスト教徒と北部・イスラム教徒の対立、イスラム過激派ボコ・ハラムによるテロ事件については、これまでも何回か取り上げてきました。
(4月30日ブログ「ナイジェリア 頻発するイスラム過激派「ボコ・ハラム」によるキリスト教徒を対象にしたテロ」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20120430など)

特に、「ボコ・ハラム」のテロは、治安機関などだけではなく教会に集まる一般市民の殺害をも目的としており、暗澹たる気分になります。
残念なことに、“ナイジェリアではここ数か月、毎週のようにキリスト教の教会が襲撃される事件が起きている”【6月19日 AFP】という状況で、「ボコ・ハラム」のテロが連続しています。

****ナイジェリアでキリスト教会狙った攻撃相次ぐ、3人死亡 ボコ・ハラムが犯行声明****
2012年06月11日 11:02 発信地:ジョス/ナイジェリア
ナイジェリアで10日、キリスト教会を狙った2件の攻撃があり、合わせて3人が死亡、多数が負傷した。両方の攻撃についてイスラム過激派ボコ・ハラム(「西洋の教育は罪」の意)が犯行声明を出した。

攻撃を受けたのは中部の都市ジョスと北東部の町ビウのキリスト教福音派教会。両教会とも以前にボコ・ハラムによるとみられる攻撃を受けたことがあった。

ジョスの地元警察によると、自爆犯が乗った車は教会に突っ込んだのではなく、教会の前で爆発した。爆発は教会の建物が完全に倒壊するほど激しかったという。ジョス当局によると、自爆犯のほかに2人が死亡、41人が負傷した。
現場に居合わせた記者は、攻撃に怒ったキリスト教徒の若者がイスラム教徒らに暴行を加える場面も見られたと伝えた。

一方、ビウでは礼拝中の教会に複数の男が銃を乱射。ナイジェリアキリスト教徒協会現地支部のサムソン・ブカル会長は、少なくとも女性1人が死亡し、数人の負傷者が出たとAFPに語った。負傷者のうち2人は重傷だという。銃撃犯らはそのまま逃走した。

■「イスラム国家樹立まで攻撃続ける」 ボコ・ハラム
アフリカ最大の人口と石油生産量を誇るナイジェリアでは、ボコ・ハラムによるキリスト教会を狙った攻撃が相次いでおり、これまでに数百人が死亡している。

ボコ・ハラムのスポークスマンだというアブル・カカを名乗る人物が北東部マイドゥグリから電話会議形式の記者会見を行い、10日の事件はいずれも、治安部隊の掃討作戦でボコ・ハラムが弱体化しているという政府発表が偽りであることを示すために行ったものだと述べた。

さらに、現政府を倒しナイジェリアにイスラム国家を樹立するという目的を達成するまでは、敵であるナイジェリア政府とキリスト教徒の双方に対する攻撃を続けると述べた。ボコ・ハラムの記者会見は、ナイジェリア北部で話されているハウサ語で行われた。【6月11日 AFP】
***************************

憎しみの連鎖
上記のテロから1週間、17日、またキリスト教会が襲われました。

****ナイジェリア:キリスト教会で連続爆破テロ 21人が死亡****
西アフリカ・ナイジェリア北部カドゥナ州で17日、キリスト教会3カ所で爆発が相次いで発生、AP通信によると少なくとも21人が死亡、約100人が負傷した。自爆テロとみられる。犯行声明は出ていないが、教会や政府機関への攻撃を強めるイスラム過激派ボコ・ハラムのテロ攻撃の可能性がある。

現地の報道によると、怒ったキリスト教徒の若者らが暴徒化。付近の高速道路を封鎖し、通りがかった車を止めてイスラム教徒とみられる人たちを殺害した。ロイター通信は20人程度が殺されたとの目撃情報を伝えた。

ナイジェリアは北部でイスラム教徒、南部でキリスト教徒が多数派で、キリスト教徒を標的としたテロが最近頻発。全土にシャリア(イスラム法)の厳格適用を求めるボコ・ハラムの犯行とみられている。【6月18日 毎日】
**********************

この17日のテロについては、ボコ・ハラムが犯行声明を出しており、そのなかで「イスラム教徒に残虐行為を行ったキリスト教徒への報復だ」としています。
10日のジョスでのテロの際、“攻撃に怒ったキリスト教徒の若者がイスラム教徒らに暴行を加える場面も見られた”とのことですが、“イスラム教徒への残虐行為”とは、これをさすものでしょうか。

キリスト教徒側の怒りも強まっており、17日のカドゥナ州のテロでは、キリスト教徒による大規模な報復殺害に至っています。
“事件後に山刀などを持った群集が通りに出て、少なくとも3か所のイスラム教のモスクやガソリンスタンド、車などが放火された。
この報復で死傷者が増え、警察によるとこれまでに教会襲撃の犠牲者を含めて52人の遺体が確認され、150人以上が負傷したという”【6月19日 AFP】”

これまで、ボコ・ハラムによるテロはたびたび報じられていますが、キリスト教徒側の報復についてはあまり目にすることがなく、むしろそのことを不思議に感じていました。
これまでも報復行為はあったが、単に報じられていなかっただけでしょうか?それとも、ここにきてキリスト教徒側の報復がエスカレートしているのでしょうか?

いずれにしても、イスラム過激派のテロにキリスト教徒が報復し、それにまたイスラム過激派が報復テロを行う・・・という最悪の循環に陥っています。
こういう憎しみの連鎖の構図は、ボコ・ハラムが歓迎するところでしょう。

カドゥナ州全域では24時間の外出禁止令が出されていますが、今後更なるテロ、そして更にエスカレートした報復行動の発生が危惧されます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エジプト  進む軍部による... | トップ | 湾岸諸国  クウェート:イ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アフリカ」カテゴリの最新記事