孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア  北朝鮮問題への関与を強め、その存在をアピール

2017-04-23 22:03:02 | ロシア

(ロシア極東主要都市ウラジオストクと北朝鮮北東部の羅先(ラソン)特別市の羅津港を月6回のペースで往復することになる万景峰(マンギョンボン)号【4月19日 日経】)

平静を強調する北朝鮮 日米合同訓練で圧力 中国は「米韓両軍が38度線を越えれば軍事介入」】
注目の北朝鮮情勢については、北朝鮮を訪問していた韓国系米国人の男性が北朝鮮当局に拘束されたといった話もありますが、金正恩朝鮮労働党委員長が空軍の養豚場を視察したり、核実験施設でのバレーボールの様子を見せたり、ピョンヤンからは綱引きに興じる様子が報じられたリ・・・と、あまり緊張を高めない方向の情報が発信されているように見えます。

****北朝鮮 キム委員長が養豚場視察 兵士の待遇改善アピール****
北朝鮮の国営メディアは、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が空軍の養豚場を視察したと伝え、25日の朝鮮人民軍の創設記念日を前に、兵士の待遇改善に努めているとアピールしました。

一方、「周辺国でわれわれを威嚇する発言が飛び出している」とも伝え、北朝鮮への制裁を着実に履行する姿勢を示す、中国を暗に非難したものと受け止められています。(後略)【4月23日 NHK】
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また、“故金日成(キムイルソン)国家主席の生誕105周年を祝った15日、朝鮮労働党が平壌で大宴会を催していた。幹部が豪華料理に舌鼓を打ち、米朝間の高まる緊張を感じさせない雰囲気だった”【4月23日 朝日】とも。

こうした平静を強調するかのような姿勢は、全面戦争を避けたい思惑とも考えられますが、“21日のKBS(韓国放送公社)によると、北朝鮮が最近、豊渓里核実験場付近の住民を避難させる状況が観測されたという”【4月22日 中央日報日本語版】といった情報もありますので、25日の朝鮮人民軍の創設記念日に向けて6回目の核実験が行われる可能性も高い・・・とも。

一方のアメリカは、その航路がアメリカ国内外に波紋を広げた空母カール・ビンソンをユルユルと東シナ海に向けて航行させていますが、現在はまだフィリピン沖のようです。

その空母カール・ビンソンに日本の海上自衛隊護衛艦が合流して合同訓練をしながら朝鮮半島方面に向かうようです。

****米空母と護衛艦が合流 共同訓練始まる 東シナ海北上へ****
北朝鮮の軍の創設記念日を25日に控える中、朝鮮半島周辺に向け航行しているアメリカの空母と、海上自衛隊の護衛艦2隻がフィリピン沖の太平洋で合流し、23日から共同訓練を始めました。防衛省関係者によりますと、訓練は数日間の予定で、今後、東シナ海に入り、北上する方向で調整しているということです。(後略)【4月23日 NHK】
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北朝鮮を過度に刺激しないように配慮しつつも、無謀な行為に走らないように強い圧力をかける・・・といったところでしょうか。

中国は、北朝鮮への今年いっぱいの石炭輸出停止などで、金正恩委員長からは“誰かに踊らされて経済制裁に執着”と揶揄されつつも、アメリカ・トランプ大統領の“絶対的な信頼”を得ているようですが、アメリカの軍事行動は強く警戒しています。

****北朝鮮情勢】中国紙が対北軍事介入論 米韓が軍事侵攻なら 難民流入、親米政権樹立阻止を念頭か****
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は22日付の社説で、「中国は武力によって朝鮮半島の現状を変えることには反対する」と強調、米韓両軍が北朝鮮に軍事進攻した場合は中国も軍事介入すべきだと主張した。
 
同紙は、核・ミサイル開発を継続する北朝鮮に対し、米国が関連施設を空爆するなど「外科手術式攻撃」を選択するような場合には、中国は「外交手段で抵抗すべきで軍事介入する必要はない」と指摘。
 
しかし「米韓両軍が38度線を越えて北朝鮮に侵攻」し北朝鮮の政権転覆を目指す場合は、「中国はすぐに必要な軍事介入を行うべきだ」と主張した。同紙の「軍事介入」が何を意味するかは不明だ。
 
中国では朝鮮半島有事の際、中朝国境に押し寄せる可能性が高い大量の難民対策のため、「国境付近に緩衝地帯を設けて難民の流入をコントロールすべきだ」(軍事評論家の馬鼎盛氏)との意見は多い。
 
また、韓国による朝鮮半島統一や、北朝鮮に親米政権が樹立されるような事態は、中国として避けたいのが本音でもある。最近、中国人民解放軍の元上級大佐が「中国軍部隊を北朝鮮に派遣し、駐留させるべきだ」と論文で主張し、反響を呼んだ。
 
環球時報は今月に入り、北朝鮮が核実験に踏み切れば「原油の輸出規制」を行うよう主張するなど、対北強硬論を唱えてきた。習近平政権内の一部の声を反映しているとの見方もある。【4月22日 産経】
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かつて北朝鮮建国を主導したロシア ここにきて関与を強める
こうした、北朝鮮をめぐるアメリカ、中国、日本などの動きのなかにあって、“忘れてもらっては困る”とばかりに最近関与を強めているのが、もうひとつの関係国ロシアです。

ソ連時代からのロシアと北朝鮮の関係については以下のように。

*****プーチン大統領が北朝鮮に接近~米中露の微妙で危険な駆け引き****
ソ連時代には北朝鮮とは密接な軍事協力をしてきた。そもそも朝鮮民主主義人民共和国、つまり北朝鮮の建国はソ連が主導したものだ。

第二次世界大戦の後に、ソ連は朝鮮半島の北半分を占領し、ソ連軍抗日パルチザンの金日成氏を送り込んで、北朝鮮を作り上げた。

朝鮮戦争では朝鮮半島の覇権をめぐってアメリカと戦った。

冷戦時代には、ソ連は北朝鮮と軍事同盟を結び、北朝鮮の兵器の多くはソ連時代の中古品であった。それをベースに北朝鮮の軍事兵器が出来ていると言っていい状態であった。

しかし冷戦の終わりは状況を一変させた。ソ連の後のロシア連邦と大韓民国、つまり韓国は1990年に国交を結び、それからはロシアは北朝鮮からほぼ手を引き、韓国との関係を重視するようになった。

ソ連崩壊後、軍事協力は事実上停止していた。2001年にロシアと北朝鮮は「防衛産業及び軍備分野における協力協定」と「2001年軍事協力協定」の二つの協定を結んだ。それもほぼ実質的なものにはならず、やっと最近になってこの軍事協力が具体化しつつある。

プーチン大統領と金正恩氏との関係は良いとは思えないが、プーチン大統領にとって北朝鮮は対アメリカ関係、対中国関係から重要性を増しつつある。

北朝鮮の核実験やミサイル発射で国連が経済制裁を加える決議をしても、抜け道を作り、北朝鮮を支えてきたのは中国だけでなく、ロシアもだ。国境を超えてロシア領に北朝鮮の労働者が送り込まれ、外貨を稼いできたと言われる。(後略)【4月20日 児玉克哉氏 Yahoo!ニュース】
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ロシア・プーチン政権の北朝鮮支援姿勢を示すのが、万景峰(マンギョンボン)号による北朝鮮との定期航路の新設です。アメリカ主導の北朝鮮制裁網に穴を開ける形にもなっています。

****ロシア、北朝鮮支援公然と 万景峰号で新航路*****
ロシアのプーチン政権が北朝鮮への支援姿勢を強めている。今月には日本への入港が禁止されている貨客船、万景峰(マンギョンボン)号による北朝鮮との定期航路の新設を決定。北朝鮮への制裁網の抜け穴づくりを辞さない方針を示した。米国との外交カードにする思惑も透ける。(中略)
 
朝鮮半島への影響力拡大を狙うプーチン政権は近年、ソ連時代からの友好国である北朝鮮との経済関係を重視してきた。羅先では羅津港の埠頭の長期使用権を獲得。電力などのエネルギー輸出や北朝鮮の鉱山開発の取り組みも進む。
 
ただ、同国の核問題を巡って米朝が緊迫する時期にあえて制裁網に穴を開ける形で経済協力を加速させるのは「米国にロシアの重要性を思い知らせる狙いがある」(欧州外交筋)との見方が多い。

プーチン大統領はシリア問題などでロシアに厳しい姿勢を見せるトランプ米大統領に反発を強める。トランプ氏は核問題の解決に向けた北朝鮮への強い圧力を中国に求めているが、ロシアの協力がなければ制裁網は弱まりかねない。【4月19日 日経】
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国連安保理においても、アメリカ主導の報道機関向け北朝鮮非難声明に関し、ロシアがこれを阻止するという展開も見られました。

****北朝鮮非難声明、ロシアが阻止=核実験停止要求、中国は同意―国連安保理****
国連安全保障理事会は19日、北朝鮮による16日(現地時間)の弾道ミサイル発射を安保理決議への「違反」として強く非難し、さらなる核実験を実施しないよう求める米主導の報道機関向け声明について調整したが、ロシアが発表を阻止した。安保理外交筋が明らかにした。
 
報道機関向け声明の発表には理事国全15カ国の同意が必要で、過去にも中国やロシアの反対で発表が見送られた例がある。今回の声明案は核実験停止を求める文言を新たに追加。中国は内容を容認していた。AFP通信によると、ロシアは対話による解決の必要性を盛り込むことを求めていた。
 
トランプ米政権の発足以降、安保理は北朝鮮によるミサイル発射を非難する報道機関向け声明を4回発表しているが、阻止されたのは今回が初めて。シリア・イドリブ県での化学兵器使用疑惑や米国のシリア攻撃による米ロ関係悪化がロシアの動きに影響を与えた可能性もある。(後略)【4月20日 時事】 
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ロシアの反対は、「対話による解決」という従来の表現がないことが理由でしたが、アメリカがロシア主張どおり修正する形で決着しています。

*****北朝鮮非難声明、安保理が一転発表 ロシア反発に米譲歩****
国連安全保障理事会は20日、北朝鮮による16日のミサイル発射を「強く非難」する報道声明を発表した。
 
声明を作成した米国は19日に「ロシアの反対で発表できなくなった」と説明したが、これにロシアが反発。ロシアのイリチェフ国連大使代理は20日、「米国は我々が阻止したと言ったが、阻止していないと伝えた」と記者団に打ち明けた。

米国は一転、ロシアが求めていた「対話を通じた」北朝鮮問題の解決という表現を盛り込み合意した。
 
報道声明は北朝鮮に「即時に」挑発行為を停止するよう要求し、核実験を「これ以上しないよう求める」と明記、従来より表現を強めた。

米国は北朝鮮の友好国である中国と調整し、早期の発表を目指していた。だがロシアが「対話による解決」という従来の表現がないことを理由に反対。19日に米英はロシア1カ国の反対で発表できないと記者団に説明していた。【4月21日 日経】
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この問題に関しては、ロシアの反対・阻止云々もさることながら、アメリカが「対話による解決」という文言を落とした理由、更に、それを一転して従来同様に戻したことも気になります。

国際的な声明は、その一言一句に至るまで注意が払わわれるものでしょうが、あえて「対話による解決」という文言を落としたということは、素人考え的には「軍事的解決」の可能性を強くアピールしたということになります。
ただ、それをすぐに引っ込めたというのは・・・・。

国連を軽視しているトランプ大統領としては、声明の文言などどうでもいい、どうせやるときは国連の意向にかかわらず、アメリカ独自の判断でやるのだから・・・といった話でしょうか。

あるいは、「軍事的解決」の可能性を出したり引っ込めたりして北朝鮮をけん制するという方針でしょうか?

ロシアの方は、化学兵器使用疑惑でのシリア爆撃で、アメリカ・トランプ大統領に強く警告された形にもなっています。
北朝鮮問題への関与強化は、「このまま黙っていると、この先ずっとアメリカの風下に立つことになってしまう」・・・という懸念でしょうか。

なんだか、ヤクザの抗争のようでもありますが、軍事力をちらつかせる「大国」と、「怖がられてなんぼ」のヤクザは似た者同士でもあります。

日本は今月下旬にロシアで行われる日ロ首脳会談で、ロシアに対し、北朝鮮問題での“責任ある建設的な対応”を求めていく方針とか。【4月23日 NHKより】

特異な政治家が揃った“かなり危険な状況”】
****プーチン大統領が北朝鮮に接近~米中露の微妙で危険な駆け引き*****
トランプ大統領は、中国に圧力をかけながら、中国ができないならアメリカが軍事力を使ってでも問題を解決すると公言している。

4月13日のトランプ大統領のツイッターだ。「I have great confidence that China will properly deal with North Korea. If they are unable to do so, the U.S., with its allies, will! U.S.A.」(中国が北朝鮮を適切に管理できると信じている。しかしもし中国ができなければ、同盟国とともにアメリカがやる。)

中国を持ち上げているようにみえるが、中国にチャンスを与え、できなければ堂々とアメリカが武力行使をするという脅しだ。アメリカが武力行使をしても中国は文句をいうな、という牽制といえる。

ちなみに同盟国とともに、とあるが、これはまず第一に日本のことだろう。日本は大変な役割を期待されているのだ。

ロシア・プーチン大統領はこうしたアメリカのやり方に真っ向から反対する可能性が高い。状況がさらに緊迫すれば、ロシアは、経済援助だけでなく、軍事援助にも踏み切るかも知れない。

急に朝鮮半島がきな臭くなった。トランプ大統領、プーチン大統領、金正恩最高指導者という特異な政治家が揃った。いざという時、習近平国家主席はトランプ側につくのか、プーチン側につくのか。

泥沼に入って欲しくないが、着地点が見えない。妥協を容易にしないトップが集まった。かなり危険な状況で、注視が必要だ。【前出4月20日 児玉克哉氏 Yahoo!ニュース】
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ロシアに関しては、こうした存在感をアピールする外交政策よりは、去る3月26日にモスクワはじめロシア国内の主要都市で繰り広げられた「反汚職デモ」と、その背景といった国内情勢の方が興味深いものがありますが、長くなるのでまた別機会に。
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