孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  信号を守り、ごみをポイ捨てすることもなく、きちんとゴミ分別する・・・・そんな日が来るのか?

2017-06-22 23:13:06 | 中国

(乱雑な扱いがされるシェア自転車【4月4日 WSJ】)

【「馬跳び(Leapfrog)」型発展をとげる中国社会
“都市に住む一般の中国人はこの2、3年、タクシーを呼ぶのにスマホを使うのが当たり前になっている。このため、客を乗せていないタクシーもスマホで呼ばれた客のところに向かっていることが多く、手を挙げても止まってくれない。流しのタクシーをつかまえるのは非常に難しくなった。”【6月19日 瀬口 清之氏 JB Press】

その結果、中国金融機関に決済口座をもたず、スマホ決済が使えない外国人旅行者にとっては困った事態にもなっているようです。個人的には中国で訪れたい所はまだまだたくさんあるのですが、これまでのように一人でふらふら・・・というのは難しくなっているのかも。

上記のタクシー配車アプリはほんの一例で、中国ではスマホの決済機能の発達やeコマースの普及を背景に経済活動のIoT化が老若男女を問わず、社会全体に急速に浸透しています。

****日本の方が遅れているIoTベースの各種サービス****
(中略)
●名刺を持たない(スマホをかざし合って情報交換)
●インターネットメールを使わない(スマホのSNSで代替)
●現金を持ち歩かない(スマホ決済で代替)
●クレジットカードを使わない(スマホ決済で代替)
●農村部では商店がなくてもeコマースで買い物(代金はスマホ決済)
●食事代の割り勘は一瞬にしてスマホで決済
●スマホ決済を前提としたレンタル自転車乗り捨てサービス(モバイク)の普及
●スマホ決済履歴を通じた個人信用力審査に基づく消費者ローンの提供
 
中国でこれらのサービスが急速に普及した主因は、以下のような元々の経済活動上の不便さにあると考えられる。
 
第1に、中国ではかつて、固定電話が普及する前に携帯電話が普及したため、固定電話のない家庭が多い。このため、老若男女を問わず、携帯電話の利用が急速に広がった。
 
第2に、中国では、都市郊外や農村部には商店があまり発達していないため、買い物が不便だった。そこにeコマースが登場したため、商店があまり多くない地域の消費活動の利便性が大幅に向上し、eコマースをベースとしたものへと一気に移行した。
 
第3に、中国では金融機関の利便性が低く、現金も偽札が多く、日常的な資金決済の利便性が日本ほど高くなかった。そこにスマホアプリを介した便利で安心な決済手段が登場したため、スマホによる決済が急速に普及した。
 
このように、元々各家庭に固定電話がなかったために携帯電話やスマホが普及し、便利な商店がなかったためにeコマースがそれにとって代わり、便利な金融機関が存在していなかったため、フィンテックが急速に発展した。
 
利便性の高い新技術の登場により、ある段階の技術を飛び越えて、次世代の先進技術が一気に普及する現象は「馬跳び(Leapfrog)」型発展と呼ばれている。
 
Frogはカエルを意味するので、Leapfrogを直訳すると「カエル跳び」であるが、英語では「馬跳び」(前かがみした人の背中を跳び越す子供の遊び)を意味する。日本でも小切手があまり普及せず、金融機関決済が普及したのはこの一例である。
 
「巨龍」と呼ばれる中国が「馬跳び」というのはややしっくりこないが、巨龍の馬跳びが技術力を誇る日本企業ですら、追いつけない世界を生み出している。【同上】
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こうした社会変化の結果、個人情報は細部に至るまで国家に管理される社会ともなっている訳で、そのことによる懸念もまたありますが、その問題には今日は触れません。

戻ってこない?シェア自転車
“スマホ決済社会”浸透の代表例が“レンタル自転車乗り捨てサービスの普及”です。
2年前に西安を旅行した際も街中でよく見かけ、「どうやったら使えるのだろうか?」と眺めていた記憶があります。

しかし、“借りたものは返す”という社会における最低限のルールが守られないことで、うまく回らないケースもあるようです。

****中国で自転車レンタルビジネスは成り立たない?9割戻らず倒産―中国メディア****
2017年6月19日、観察者網によると、中国重慶市でシェア自転車サービスを展開する「悟空単車」がこのほど倒産した。貸し出した自転車1200台のうち9割が持ち去られたためという。

北京や上海など大都市を中心にシェア自転車サービスが広がる中国では、大手の「摩拜単車(mobike、モーバイク)」がこのほど、6億ドル(約666億4000万円)の融資を得たと発表したばかり。一方で、サービス開始から5カ月を迎えた悟空単車は、資金繰りが悪化し業界初の倒産を発表した。

悟空単車を創業した雷厚義(レイ・ホウイー)氏によると、初期投資は300万元(約4887万円)で、自転車1200台を用意してサービスを開始。自転車は大学のキャンパスや繁華街などに配置したという。

しかし、電子キーを壊されるなどして持ち去られるケースが続発。戻ってきた自転車は1割前後で、すぐにサービス継続に支障が出た上、運転資金にも事欠くようになった。

雷氏は業界大手のモーバイクや「ofo」などについて「世界規模のサプライチェーンと協力しているから強い。私たちのような中小業者は、品質の良い自転車をそろえるのも難しい。自転車は壊れやすく維持費もかかる」と話している。【6月21日 Record China】
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事業として成り立っている企業も多々あることから、“電子キーを壊されるなどして持ち去られるケースが続発”したことだけが倒産の理由なのかどうかはわかりませんし、9割が戻ってこないというのもシステム上の問題があるのかも。

安価でロック・セキュリティが比較的簡便な「ofo」でも紛失率は1%、高価でロック・セキュリティが厳重なMobikeでは「喪失率は無視し得るほど小さくなっている」とのことです。【4月4日 WSJより】

ただ、不正に使用されたシェア自転車が散見される・・・という話はよく聞くところで、貸した傘がもどってくる、落し物が届けられる日本社会と比較して中国社会の現状を嘆く、あるいは日本社会のすばらしさを称賛する声もよく聞くきます。

改善されるのか信号無視、ポイ捨て ゴム分別は?】
このあたりの、個人的利益追求のためにマナー・社会ルールがないがしろにされがちなことは中国社会の抱える大問題であり、領土や歴史認識など政治的に大きく取り上げられる問題よりも、個人的には民主・人権といった価値観に関する問題と並んで、中国との関係を考える際に気になるところです。

中国社会の中にも礼節と言った精神性を重要視する向きもあるということは、6月8日ブログ“中国 文革期の批林批孔運動 現在は“儒教ブーム” 共産党は儒教概念を国家支配に利用しつつも警戒”でも取り上げたところです。

中国指導層・当局も改善の必要性は認識しているようで、ここ数日だけでも社会ルールの徹底に関する話題をいくつか目にしました。

****信号無視すればスクリーンに大写し 中国、取り締まりに顔認証活用****
信号無視した人は街頭スクリーンで「さらし者」に──。中国の4省の都市で、交差点に設置した顔認証システムによって赤信号を無視した歩行者を特定し、近くのスクリーンに画像を即座に表示する新手の取り締まりが始まった。

公共の場で恥をかかせることによって交通ルール違反を抑制する狙い。国営新華社通信が20日伝えた。
 
顔認証システムは中国でファストフード大手ケンタッキーフライドチキン(KFC)が客の注文を推測するために導入しているほか、公衆トイレでのトイレットペーパーの盗難防止などにも活用されている。
 
新華社によると、顔認証を通じた信号無視の取り締まりに乗り出した都市のうち、山東省の省都・済南では5月初めの導入以降、6000人以上の違反者を摘発したという。
 
このシステムでは違反者の画像と15秒の動画を撮影。それをすぐ街頭スクリーンに映し出し、違反行為がばれていることをその場で本人らに分からせる仕組みだ。
 
画像は省の警察のデータベースとも照合され、違反者の写真に加え「身分証番号や住所といった個人情報も20分以内に交差点の街頭スクリーンに表示される」(新華社)という。(後略)【6月21日 AFP】
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****中国の市のトップを怒らせた男性3人組、カメラの前で公開謝罪****
2017年6月18日、中国海南省海口市で公共場所にごみを散乱させた男性3人がカメラの前で謝罪し、話題を集めた。海南省の地元紙・南国都市報が伝えた。

男性の若者3人は11日、同市の海沿いにある市営公園「万緑園」のテラスエリアで飲み食いし、ビールの缶やつまみの残りかす、たばこの吸い殻などのごみを放置してその場を立ち去った。

同園の清掃員はよくあることと話していたが、惨状を写真付きで報道したことが同市のトップである共産党委員会書記の目に留まり、男性3人に謝罪させるよう調査を行うよう指示した。市の関連部門が18日に男性3人を見つけ、警告したうえで市の条例に基づき50元(約800円)の罰金を科した。

一方の男性3人は、詰め駆けた多くのメディアの前で「近くの商店でごみを入れる袋をもらおうとしたが、大きな袋がなかった。考えが甘く酒に酔っていたこともあり、片付けることなくその場を去った」と説明し、深く反省していると謝罪した。【6月19日 Record china】
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まあ、違反者の個人情報を公開とか、カメラの間で謝罪させるとか、いかにも中国的ではありますが、社会ルールを徹底させたいという問題意識はあるようです。

日本を訪れた中国人の多くが驚嘆するのが日本の清潔さですが、ゴミの分別については「そこまでやるか?」といった疑問の声も多く見受けられます。(個人的にも、あまりゴミ分別をうるさく言う人は苦手です)

そんな中国でも一応ゴミ分別のルールはあるようですが、無視されていることが多いようです。
その件についても、改善の試みが。

****中国政府、3兆円投じてごみ分別の徹底に乗り出す****
2017年6月20日、シンガポール英字紙ザ・ストレーツ・タイムズによると、中国は2000億元(約3兆2000億円)を投じてごみの分別回収推進に取り組んでいる。

広東省深セン市では先月、ごみの分別制度を奨励から強制へと変更することが発表された。ごみを分別しないで捨てた場合に罰金が科されることになる。

中国政府は同市を含む全国45都市に対して年内にごみの分別制度に関する法規を制定するよう命じており、現在20%にとどまっているごみのリサイクル率を2020年までに35%以上にすることを目指している。この計画には2000億元が投じられ、ごみの収集、処理体系を含む必要なインフラ整備に用いられる。

中国では2000年から大都市でごみの分別がスタートし、色の異なる分別ごみ箱が設置されるとともに市民の意識向上が図られた。

しかし、期限を設けた達成目標が十分に定められていなかったことや、中間層の拡大や電子取引の爆発的発展によって生じた大量のごみにより、分別制度はなし崩し状態に。このため、中国政府による今回の措置に対しても一部で疑問視する声が出ている。

一方で、新たな措置に対して前向きな見方をしている専門家もいる。今回は中央政府が地方政府に対してより大きな圧力を掛けているからだ。

中国の環境に詳しい専門家は、「中国政府はこのプロジェクトを5年以内に全国展開するかもしれない。リサイクルプロジェクトの成否のカギは、実施範囲の拡大にある。人びとはルールを学ぶと同時に、努力を続ける必要がある。ごみのリサイクルは市民の責任だ」と語っている。【6月21日 Record china】
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数年後には、信号をきちんと守り、ごみをポイ捨てすることもなく、きちんとゴミ分別する・・・・そんな社会が中国でも実現するのでしょうか。

「無理でしょ」という答えしかないとは思いますが、問題意識が共有され、改善の取り組みが繰り返されれば、今よりはかなりましな状態になる“可能性”はあるでしょう。

そうなれば、国家間の付き合いも、今とは違ったものもあり得るのでしょうが・・・。

人助け美談が“普通に”評価される日がくれば・・・
社会道徳に関して、中国社会の話で非常に驚くもののひとつに、助けを必要としている人がいても関わり合いを避けて無視する・・・という風潮があります。

今月も、“横断歩道を歩いていた女性がタクシーにひかれた上、さらに別の車にひかれる様子を捉えた動画がソーシャルメディアに投稿され、現場を通りかかった歩行者や車の運転手が誰も女性を助けようとしなかったことに強い怒りの声が上がった。女性はその後死亡している。”【6月21日 AFP】といった話も。

“怒りの声が上がった”ということですから、助けるべきだという認識はあるのでしょう。
しかし、現場では誰も助けない・・・・この風潮を生んだのは、理不尽な判決がなされた10年前のある事件だと言われています。

****誰が中国の道徳を殺したのか、きっかけはあの事件―米メディア****
2017年6月15日、米華字ニュースサイト多維新聞は、「誰が中国の道徳を殺したのか、すべてのきっかけはあの事件」と題する記事を掲載した。

中国河南省で最近、路上で女性が突然倒れ、通りかかった人が誰一人助けようとせず、車にひかれて死亡した事件が起きた。人々の間では再び10年前の「彭宇事件」が話題になっている。

江蘇省南京市で06年、道で転んだ老人を助けた彭宇(ポン・ユー)さんが、逆に老人に「彭さんに突き飛ばされて転んだ」と主張される。裁判所が「本当の正義心からの行動なら、老人を助け起こす前にまず犯人を捕まえるはず」と推測。彭さんを突き飛ばした犯人と認定し、7万9000元(当時約105万円)の支払いを命じた事件だ。

中国の最高裁は河南省で起きた女性死亡事故を受け、短文投稿サイトの微博(ウェイボー)で彭さんの事件に触れ、人々の注目を集めた。「助けられた人が、助けた人が『突き飛ばした』ことを証明できないのであれば、助けた人は何の責任を負う必要もない」としている。

最高裁はまた、人々に「人を助ける行為は他人の権利を侵害する証拠にはならない。彭さんの事件は、市民が他者を敬遠したり、相互扶助の気持ちや道徳心が消えたりしていることの言い訳にはならない」と呼び掛けている。【6月17日 Record china】
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いくら中国とは言え、こんな滅茶苦茶な判決があるだろうか?・・・とも思うのですが、この「彭宇事件」に関しては5年後に、世間に流布されているような話ではなかった・・・という“新たな真相”が明らかにされています。

“中国「道徳崩壊」の象徴、彭宇事件の意外な「真相」=捏造の連鎖は続くよどこまでも”【2012年01月16日 KINBRICKS NOW http://kinbricksnow.com/archives/51768499.html

ことの真相はともかく、「善行を行った若者が無実の罪を着せられた」と伝えられ、人助けには関わらない方がいいとの風潮を助長した事件でした。

そうした風潮にあっても、ちゃんとした人はちゃんとするという話も。

****感動!心肺停止のおじいさんを、通りすがりの女性2人が救助―中国****
2017年6月19日、網易によると、甘粛省蘭州市で80代の男性が心臓発作で倒れ、現場を通りかかった女性2人が心肺蘇生を行って救助した。

17日午前8時ごろ、同市内の路上で80代の男性が突然倒れた。近くにいた女性がすぐに救急車を呼び、到着を待っていたところ、通りがかった看護師だという女性2人が男性のそばに。2人は男性の脈拍がないことを確認すると、衣服を緩めて心肺蘇生を開始。人工呼吸と心臓マッサージを繰り返した。

約10分ほど応急措置が施されると、男性の舌が動き出し顔色が良くなったという。男性は駆け付けた救急車で病院に搬送されたが、2人の応急処置のおかげもあって、危険な状態を脱したという。

中国では近年、路上で倒れている人を市民が助けないことが社会問題となっている。親切心から助けたのに加害者扱いされ、賠償金や治療費を請求されるケースが後を絶たず、要らぬトラブルを恐れる市民が救助を敬遠するようになってしまったからだ。

看護師という職業上の使命を果たしたと言えばそれまでだが、女性2人による救助劇はなおのこと「正義の力」として中国の人びとの心に響いたようである。

中国のネットユーザーからは「この女性2人に『いいね』を送ろう」「自分だったらできないかもしれない」「今年一番『美しい』女性だ」「いい人があまりにも少なすぎる。貴重な正義の力だ!」といった賛辞が送られた。

また、上述のようなトラブルが多いことから、「仮にだけれど、もしお年寄りが助からないで死んでしまったら、遺族は女性たちに賠償を求めるのだろうか」と懸念する声も。そして、「社会や学校で人工呼吸や心肺蘇生の方法をもっと普及させるべきだ」とする声も寄せられた。【6月20日 Record china】
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こうした話が“普通の美談”として扱われる日がくれば、日中関係も大きく進展するのでしょう。
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