孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

北朝鮮のわからない話 チョコパイから中朝関係まで

2014-07-13 22:26:29 | 東アジア

(北朝鮮で人気の韓国オリオン製のチョコパイ 【7月3日 WSJ】)

北朝鮮がチョコパイの取り締まりに
昨年4月~5月、韓国・北朝鮮関係が緊張して南北が共同で運営する開城(ケソン)工業団地の稼働が中断した頃、韓国企業が北朝鮮労働者におやつや残業代替わりに配っていたチョコパイが異常な人気があり、北朝鮮国内で高値で売買されているということが話題になりました。

北朝鮮での韓国製チョコパイ人気と闇の換金市場の存在はずいぶん以前からのもののようです。
北朝鮮政権にとっては、韓国製の商品に北朝鮮人民が群がるというのは面白くない話でしょう。

ただ、「どうしてチョコパイが?」と不思議な話ではありますが、いまだにチョコパイ人気は衰えていないようです。
久しぶりにチョコパイに関する記事を見ました。

****チョコパイ中毒」撲滅狙う?―北朝鮮が労働者への支給禁止****
韓国オリオン製のチョコパイが北朝鮮に入ってきたのは2004年。開城工業団地の韓国企業で働く北朝鮮の労働者が持ち帰った。 

北朝鮮の労働者は残業代を現金で受け取ることが認められていなかったため、韓国企業は代わりにチョコパイを支給した。

チョコパイはすぐに人気に火が付き、多くの労働者は家族や親戚のためにとっておいたり、闇市場で売ったりするようになった。

開城工業団地が一時閉鎖された昨年は、価格が1個当たり24ドル(約2400円)まで跳ね上がることもあった。英紙インディペンデントによると、それは労働者の1日の賃金に相当する額だ。

ここにきて、人々は再びチョコパイにありつけなくなりそうだ。北朝鮮当局が韓国企業に対し、チョコパイの支給を禁じたからだ。

韓国紙によると、「北朝鮮の共産党政治局員らは6月、チョコパイの支給を中止するよう韓国企業に要求した。その代わりに、ソーセージや即席麺、インスタントコーヒー、チョコレートバーの支給を求めた。中には米ドルでの支払いを求められた企業もあった」という。

北朝鮮がチョコパイの取り締まりに動き出した理由は明らかではない。さまざまな背景が推測できるが、韓国製のチョコパイが北朝鮮の停滞する経済に与える影響を恐れていることも考えられる。

もしかすると、インディペンデント紙の憶測のように、国産チョコパイとの競争を阻む狙いがあるのかもしれない。【7月3日 WSJ】
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チョコパイに限らず、“不思議の国”北朝鮮内部の話は、どれもこれもわからないことばかりです。
毎年のように流れる干ばつ・不作の情報も、それを否定するような話もあって、その実態はよくわかりません。

****北朝鮮で干ばつ 食糧事情さらに悪化か****
北朝鮮の国営メディアは19日、広い範囲で春先から干ばつが続き、農作物の成育に影響が出ていると伝え、厳しい食糧事情がさらに悪化することが懸念されます。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によりますと、北朝鮮では春先から国内の広い範囲で気温の高い状態が続いているほか、今月上旬からはピョンヤンをはじめとした西部を中心に雨が少ない状況が続いています。

各地で被害の実態把握が進められているということですが、麦やトウモロコシの生育に大きな影響が出ているということで、朝鮮中央通信は、長期にわたって被害が続いた2001年以来の深刻な干ばつの被害が懸念されると伝えています。

WFP=世界食糧計画によりますと、北朝鮮では子どもたちの30%余りが必要な栄養がとれていないなど、依然として厳しい食糧事情が続いています。

キム・ジョンウン第1書記は食糧事情の改善を喫緊の重要課題としていますが、今回の干ばつでさらに状況が悪化することが懸念されます。【6月19日 NHK】
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北朝鮮内の生活状況については、平壌に暮らすエリート層は別にして、脱北者の話などによれば地方農村部では過酷な状況にある・・・というのが通説ではありますが、プロパガンダも含めて裏が取れない情報が多い中で、よくわかりません。

協力的でない北朝鮮は中国の構想にとってマイナスの存在
北朝鮮の行動もよくわかりません。
最近は、しきりに弾道ミサイルを発射しており、何を意図したものか・・・ということが話題にもなっています。

「不満があるなら、ミサイルを発射するのではなく、はっきり言えよ!」とも言いたくなりますが、まあ、そこは“不思議の国”ですから。

どうも、最近北朝鮮に冷たくなって、韓国に寄り添う中国への当てつけではないか・・・とも言われています。

****中国に裏切られた」北朝鮮 中韓の蜜月ぶり、本格対立の様相も****
中国の習近平国家主席(61)は7月初め、約300人の中国の政財界要人を連れてソウルを訪れ、中韓の蜜月ぶりを演出した。

韓国側との会談では北朝鮮の核放棄で連携を強化することを決定。長年の盟友である中国に裏切られる形となった北朝鮮は、日本海に向けてミサイル発射実験を行い、官製メディアで中国を暗に批判する記事を掲載するなど猛反発した。

中国の朝鮮半島専門家は「中朝関係の修復はもはや難しい。これからは本格対立が始まるかもしれない」と話している。

■「切り捨てるぞ」と警告
習主席は平壌よりもソウルを先に訪れた初の中国最高指導者となった。中国外務省関係者によると、中国政府は今回の習主席訪韓を、最高レベルの外交行事と位置づけた。

中国が韓国との関係を重視する背景には、米国が主導する中国包囲網の重要な一角である韓国を引き寄せたい思惑が指摘される。

同時に、中国から支援を受けながらも最近、中国の意向を無視した行動をとり続ける北朝鮮に対し「切り捨てるぞ」と警告する意味もあるとみられる。

中国は胡錦濤政権まで、北朝鮮との関係を重要視する政策をとり続けた。北朝鮮が核実験をしても、ミサイルを発射しても、中国は口頭で抗議するだけで、援助をやめなかった。戦略的に北朝鮮を中国側に引き寄せる必要があったことが原因と指摘された。

しかし、習近平政権が発足した直後の2013年2月、習主席に近いとされる共産党幹部育成機関の新聞「学習時報」の副編集長が英紙、フィナンシャル・タイムズで「核問題で中国の脅威にもなる北朝鮮を切り捨てるべきだ」という内容の論文を発表し、大きな話題を呼んだ。

共産党関係者によれば、論文は習主席の周辺の意向を反映しており、中国はその頃から対北政策の見直し作業を進め始めたという。

■「兵糧攻め」も逆効果に
習指導部が対北政策を見直すのは、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の問題で対立する日本を意識してのことだと指摘される。北朝鮮の核開発を放置すれば、将来的に日本も核兵器保有に向けて動き出す懸念は党内で強いという。

また、5月に上海で開かれた「アジア信頼醸成措置会議」(CICA)で習主席が「アジアの安全はアジアで解決できる」として「アジアの新安全保障観」を提唱したように、習政権はアジア太平洋地域から米国を排除し、中国を中心として軍事同盟を築きたい思惑がある。

しかし、中国の盟友でありながら、協力的でない態度をとり続ける北朝鮮はいまや中国のこの構想にとってマイナスの存在になったという。

特に、昨年12月に北朝鮮が親中派とされる張成沢(チャン・ソンテク)一派を粛清したあと、中朝間のパイプ役がなくなり、頻繁に行われていた要人往来も実質的に止まった。

中国の北朝鮮に対する影響力はますます低下した。中国の政府関係者によると、中国は今年2月から北朝鮮に提供する石油の量を大幅に減らし、“兵糧攻め”の手段に出たが、北朝鮮側の態度をますます硬化させ、期待されていた効果がなかったという。

今回、習主席が国内外に見せた韓国重視の姿勢は、北朝鮮を孤立させる作戦の一環ともいわれる。しかし、北朝鮮は日本と接近するなど、中国に対抗しており、うまく行ったとはいえない。

■正男氏担ぐシナリオも
習主席が訪韓する前に、北朝鮮は日本海に向けたミサイル発射実験を行ったほか、労働新聞で「核開発の放棄は永遠に実現することのない荒唐無稽な犬の夢」との内容の記事を掲載した。習政権の政権スローガンは「中国の夢(の実現)」であるため、「犬の夢」とは、習政権への皮肉とも受け止められる。

また、同じ労働新聞には「大国主義者たちの圧力もわれわれ人民を屈服させられない」との表現もあり、「中国」を「大国主義者」と暗に批判したものと指摘される。

中国政府は金正日(キム・ジョンイル)時代から、金正日氏の長男の正男(ジョンナム)氏(43)を保護下に置いている。北朝鮮が中国の言うことを聞かないなら、正男氏を担いで北朝鮮のトップにすげ替えるシナリオがあると言われている。

朝鮮半島問題専門家は、「打つ手がなくなれば、中国は北朝鮮の内政に本格介入することも考えられる。今それは、北朝鮮が最も警戒していることだ」と話している。【7月13日 産経】
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「血の友誼」とも言われる両国関係の実態は、これまたよくわからない話で、金正日氏も、何かと上から目線で口を出す中国を嫌っていた・・・とも言われていました。心情的には「さもありなん」という感がします。

中国からの北朝鮮向け原油は止まったのか?】
“わからない”ついでに言えば、中国から北朝鮮の石油が止まったのかどうか?もよくわらない話のひとつです。
「そんなことはない」という指摘もあります。

****中国が北朝鮮向け原油を止めていない理由 ****
技術的にも政策的もパイプラインによる輸出停止は不可能

「中国は北朝鮮向けの原油輸出を止めている」。このような観測がこの1、2カ月、韓国や日本を中心に流れている。

2013年末に中国通で北朝鮮権力のナンバー2とされていた国防委員会副委員長の張成沢氏が処刑されたことに中国が怒りを示し、そのために北朝鮮経済にとっての命綱であるパイプラインによる原油供給を止めているとの説が出ていた。

ところが、韓国の北朝鮮専門メディア『デイリーNK』は韓国語版、英語版で「中国は地下送油管からひと月に数回、原油支援を続けている」ことを確認したと報道。結局、中国は北朝鮮への支援を止めていないと改めて指摘している。

『デイリーNK』は5月上旬、北朝鮮と国境を接する中国・丹東市にある北朝鮮向け送油管加圧施設を取材。国境が走る鴨緑江の川岸にある同施設の入り口で警備担当者から「今でも継続して原油を送っている」との発言を得たという。

「パイプラインの停止はありえない」
北朝鮮経済に詳しい、環日本海経済研究所(新潟市)調査研究部の三村光弘部長は、「中朝間のパイプラインを止めるということは中朝関係の断絶を意味するので、止めることはあり得ない」と指摘。

また、中朝間のパイプライン自体の現状から考えると老朽化などの問題で止めても数時間しか止められず、もし輸出が止まっているのであれば、技術面から見ても「パイプラインは使用不能になっているはず」と説明する。

韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)北京貿易館(支社)は5月下旬、中国の税関統計を元に今年第1四半期(1~3月)の中国から北朝鮮への原油輸出はゼロと発表している。

ただ、「丹東市から北朝鮮に伸びるパイプラインを通る原油は、輸出ではなく支援という性格を持つため、税関統計に示されないことがある」と韓国の北朝鮮専門家は指摘する。そのため、実際には送られていても貿易統計には「ゼロ」と出ることがありうる、というのだ。

一方、中国の複数の北朝鮮問題専門家は東洋経済の質問に対し「おそらく止めているだろう」と口をそろえるが、確証を聞くことができなかった。

同時に、「現在はイランなどから海上輸送で原油を輸入することが増えている」との指摘もある。パイプライン以外の輸入ルートを確保していることがうかがえる。

統計に表れない「支援」実績
中国の北朝鮮研究者は、「中朝間の仲が悪いと言っても、張成沢処刑から急に悪くなったわけではないことを知るべき」と言う。

それは、1992年に中国が韓国と国交正常化をした際、北朝鮮側の意向に中国が耳を傾けなかったという遺恨が北朝鮮側に残っているため、という。

現在、北朝鮮の貿易総額のうち9割近くを中国との取引が占める。核開発問題やミサイル発射で国際的な経済制裁が強まる中、経済面では陸続きである中国との関係に頼るしかなかった。

そのため、「中国との関係が深まったのはあくまでも現実的な結果。気にくわないと言っても、中国は朝鮮半島の非核化を大事に考えているのと同様に、北朝鮮の体制安定を望んでいる」(前出の研究者)というのが、本当のところのようだ。【6月17日 東洋経済online】
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“イランなどから海上輸送で原油を輸入”することができるにしても、中国が石油を止めれば北朝鮮にとって死活問題となることが想像できますが、どうもよくわかりません。

“(金正日氏の長男の)正男氏を担いで北朝鮮のトップにすげ替える”ぐらいの本気度に達すれば、間違いなく石油も止めるのでしょう。

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