孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

“さまよう”アメリカの原子力空母「カール・ビンソン」 「実は北朝鮮に向かっていなかった」

2017-04-19 22:59:55 | アメリカ

(空母カール・ビンソン打撃群は先週末、インド洋にいたことが分かった(今月14日に撮影された打撃群)【4月19日 BBC】)

北朝鮮ミサイル失敗は「意図的」?】
北朝鮮をめぐる情勢は、先制攻撃、斬首作戦、報復攻撃・・・・等々、物騒な話が飛び交う緊張状態にありますが、実際、もし有事となると日本にとっても、在日米軍基地への攻撃、在韓邦人の帰国・救出、混乱拡大による半島からの大量の難民、後方支援する日本への直接報復・・・等々、深刻な事態を惹起します。

そうしたなかで、懸念されていた金日成(キム・イルソン)主席の生誕105年の記念日である4月15日は、軍事パレードで新型ミサイル等を誇示しつつも、ピョンヤンからはことさらのように祝賀ムードが発信され、北朝鮮兵士にも緊張感は見られない状況が報じられています。

翌日の16日にはミサイルが発射されたものの、失敗に終わっており、今までのところはなんとか・・・というところです。今後、核実験が強行されれば、また緊張が高まりますが。

16日のミサイル発射失敗については、発射したことで北朝鮮の“顔もたち”、失敗したことでアメリカも特に行動しない、アメリカが問題視しなければ中国も平静を保つ・・・ということで、結果的には“丸く収まる”形にもなりました。

そうしたことから「意図的な失敗」といった穿った見方もあるようですが、どうでしょうか・・・?

****北ミサイル】米を過度に刺激しないよう「意図的な失敗」の見方も 新浦から発射は再び不成功****
北朝鮮が今月5日に続き、16日にも同じ咸鏡南道(ハムギョンナムド)新浦(シンポ)付近から弾道ミサイルを発射した。前回は約60キロ飛び日本海に落下。今回は発射直後に爆発し失敗した。(中略)
 
今月の2回の発射失敗について、警戒する米軍がサイバー攻撃で妨害したのではないかなどとの憶測が出ている。一方で、米国を過度に刺激しないように「意図的な失敗」との見方もある。
 
北朝鮮は15日に金日成(キム・イルソン)主席の生誕105年の記念日を迎え、軍事パレードで大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる新型ミサイルや「北極星2」を誇示した。その直後の失敗は極めて不自然なためだ。
 
また、北東部の咸鏡南道、豊渓里(プンゲリ)では核実験の兆候が見られ、北朝鮮自らが最高指導部(金正恩=ジョンウン=朝鮮労働党委員長)の決断次第で核実験を行うと断言している。しかし北朝鮮は核実験に依然踏み切れていない。
 
背景にうかがえるのは米国による圧力だ。6日にシリアを攻撃した米国は原子力空母を朝鮮半島周辺に向かわせ、核実験を強行した場合の先制攻撃の可能性をちらつかせている。米国の圧力を、金正恩政権は脅威に感じているとみられる。
 
一方で、パレードで軍事力を見せつけ、ペンス米副大統領の訪韓に合わせ米国を牽制(けんせい)するかのようにミサイルを発射した。北朝鮮は言葉やミサイル発射で米国を挑発し、瀬戸際外交を続ける。

米朝間でエスカレートする圧力と挑発の連鎖の中、暴発する可能性もあり中国の動向も注目される。【4月16日 産経】
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もし本当に「意図的な失敗」ということであれば、北朝鮮には随分頭がいい作戦立案者がおり、何よりも、国際社会が注目する中であえて失敗してみせることを金正恩委員長が選択したということであれば、恐るべき卓越した指導者ということにもなります。

逆に言えば、“そんなことはないんじゃないか・・・?”とも思えます。

朝鮮半島有事に反応する日本・中国 自制を求める韓国
記事にあるように、アメリカ・トランプ大統領が原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島に差し向けたということで、日本を含めた世界の緊張は高まりました。

日本・安倍政権は当然のごとく、朝鮮半島有事に備えた発言を繰り返すにのに対し、“ソウルが火の海になりかねい”とも思われる韓国は、日本の反応に反発するという、ねじれた奇妙な構図ともなっています。

****安倍首相、誤解を招き得る言及は自制すべきだ」 難民流入の対処策に韓国外務省 メディアは「慰安婦像の腹いせ****
安倍晋三首相が朝鮮半島有事の際に予想される日本への難民流入の対処策を検討していることを明らかにしたことに対し、韓国外務省報道官は18日の定例会見で「仮想の状況を前提とし、誤解を招き、平和と安定に否定的な影響を及ぼし得る言及は自制すべきだ」と不快感を示した。
 
韓国人記者の質問に答えたもので、韓国メディアからは「外交的に相当な問題発言だと思うが、憂慮や遺憾の表明をしたのか」といった質問も出ていた。
 
韓国では、北朝鮮情勢をめぐり日本が警戒していることに対し、「日本が危機をあおっている」との批判がメディアなどで相次いでいる。18日付の朝鮮日報は社説で「緊張をあおるような低水準の稚拙な言動といわざるを得ない」「慰安婦像に対する感情的な腹いせにしか聞こえない」と曲解し、日本側の危機意識を理解しようとしていない。
 
北朝鮮と直接軍事的に対峙(たいじ)しているはずの韓国では、なぜか現実的な危機感がほとんど感じられない。【4月18日 産経】
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****日本が朝鮮半島有事の自衛隊派遣に言及、韓国やロシアから批判的な声*****
2017年4月19日、環球時報によると、稲田朋美防衛相が朝鮮半島有事の際に自衛隊派遣の可能性に言及したことについて、海外メディアから批判的な声が上がっている。

稲田防衛相は18日の衆議院安全保障委員会で「仮に朝鮮半島で邦人などの退避が必要な事態に至り、民間定期便での出国が困難となった場合は、自衛隊法に基づく在外邦人の保護措置、輸送の実施を検討する」と語った。また、北朝鮮の発射したミサイルが日本の領海内に落下した際、「武力攻撃切迫事態」に認定して自衛隊への防衛出動の発令を可能とすることを日本政府が検討しているという。


記事によると、これについて韓国KBSテレビは「最近、日本政府は朝鮮半島問題において過度に緊張ムードを広めている。日本国内における朝鮮半島問題への関心が高まり続ける中、最新の世論調査では安倍晋三首相の支持率が下げ止まり、回復したことが明らかになった。安倍首相は北朝鮮が長期的な脅威であると強調し続けることで、日本の軍備強化の目的を得るとともに、憲法第9条の改正ムードを作ろうとさえしている」との見方を示しているという。

また、ロシア紙Utro Rossiiも18日、「もし日本が本当に自衛隊を朝鮮半島に派遣するようなことがあれば、第2次世界大戦終結後初の『軍事侵略の発動』になる。朝鮮半島情勢は日本により大きな軍事的欲望をもたらしている。昨年自衛隊の国外での軍事行動を認める法案を可決し、現在また北朝鮮への攻撃の用意があることを明かした。朝鮮半島の緊張が激化するなかで、日本の挙動は非常に危険なシグナルだ」と報じているという。【4月19日 Record China】
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日本の反応、韓国の反応、どちらが・・・という話は今回はパスします。後述のように、別の問題がありますので。

緊張に反応しているのは日本だけではないようです。中国も有事を想定した反応を示したとも報じられています。

****中国、中朝国境で「緊急24時間態勢」 放射性物質など拡散に対応、半島有事を想定か****
北朝鮮の金日成主席生誕105年の記念日(15日)を前に、中国当局が中朝国境に近い東北部で、放射性物質や化学物質の拡散を想定した緊急の24時間即応態勢を敷いていたことがわかった。

6回目の核実験に踏み切る構えをみせる北朝鮮に対して米国が軍事圧力を強める中、朝鮮半島有事への強い危機感を中国側が抱いていた実態が浮かんだ。

北朝鮮と国境を接する遼寧省内の地方政府が14日付で、北朝鮮の核問題に関する「緊急通知」を関係部局に出していた。通知は、北朝鮮で放射性物質や化学物質による「突発事件」が発生した場合に「わが国の環境安全と公衆の健康に影響や損害が生じる可能性がある」と指摘。上級部門の指示により即日、地方政府全体が「緊急待命状態」に入ることが明示された。(後略)【4月17日 産経】
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万一、北朝鮮の核施設や化学兵器施設が米軍に攻撃された場合、その被害は隣接する中国に及びます。(アメリカの軍事行動が制約されるひとつの理由でもあります)

実際は反対の方向へ向かっていた原子力空母「カール・ビンソン」 伝達ミス? 攪乱戦術?】
上記のように関係国は“万一”の有事に反応したのですが、緊張を高める重要な要因ともなった米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」は、実は朝鮮半島には向かっていなかった・・・ということが明らかになっています。

****空母カール・ビンソン北上していなかった。大幅に遅れて朝鮮半島へ****
アメリカ政府当局は4月8日、アメリカの原子力空母「カール・ビンソン」を中心に編成した空母打撃群が北朝鮮付近の海域へ向かっていると説明していたが、実際は反対の方向へ向かっていたことがわかった。ニューヨークタイムズと軍事専門サイト「ディフェンス・ニュース」が報じた。

アメリカと北朝鮮の緊張が高まる中、アメリカ太平洋軍は4月8日「空母カール・ビンソン打撃群は本日シンガポールを出発し、西太平洋北部に向かう」と発表した。その時アメリカ当局はロイター通信に対し、朝鮮半島への空母派遣は金正恩政権に軍事力を誇示するものだと述べた。

その翌日、H・R・マクマスター補佐官(国家安全保障担当)は、「慎重に」軍事力を示すために空母をシンガポールから朝鮮半島に針路変更させたとFOXニュースに語った。

新しい針路を発表してからわずか数日後、ドナルド・トランプ大統領は4月12日、FOXニュースに「我々は非常に強力な艦隊を送り込んでいる。空母よりはるかに強力な潜水艦もある」と強調した。

「我々には世界最強の部隊がいる。そしてこう言おう。『彼は間違っている』」と、トランプ氏は金正恩・朝鮮労働党委員長について言及した。

しかしディフェンス・ニュースは18日、アメリカ海軍が公開した写真から空母は15日に朝鮮半島から3500マイル(5632km)離れたインドネシアのスンダ海峡を通過していたと指摘。空母が朝鮮半島に向かっているとアメリカ当局が発表していた頃、実際には北朝鮮から遠ざかっていたと、ニューヨークタイムズが18日に確認した。

その後空母は針路変更したが、当初の予定よりも大幅に遅れて到着する見込みだ。

CNNのジム・アコスタ氏は、ある政府関係者が通信の行き違いによる混乱を批判したとツイートした。ホワイトハウスはコメントの求めに対し、すぐには応じなかった。【4月19日 The Huffington Post】
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トランプ大統領、マクマスター補佐官(国家安全保障担当)、マティス米国防長官、スパイサー米大統領報道官などが重ねて朝鮮半島に原子力空母「カール・ビンソン」が向かっていることをアピールしていたにもかかわらず、そのとき実際は反対方向に航行していた・・・・「なんのこっちゃ???」という話です。

トランプ大統領の事実に基づかない怪しい発言、朝令暮改する発言は毎度のことではありますが、これは“戦争”にも拘わる重大なことで、周辺国が敏感に反応している問題だけに、事実関係を説明してもらいたいものです。

“BBCのスティーブン・エバンズ特派員は、朝鮮半島に向かっていなかったのは、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を威嚇するのための意図的な嘘だったのか、それとも計画が変更されたのか、あるいは単純に意思伝達がうまくいかなかったのか、理由は不明だと語った。”【4月19日 BBC】

****米空母「実は北朝鮮に向かっていなかった」判明までの経緯*****
・・・・CNNは、国防総省とホワイトハウスの間に連絡ミスがあったとの見方を伝えている。これだけ緊迫した状況下で本当にミスだったのか。ドナルド・トランプ大統領が得意とする「ディール(交渉)」の一環で流した錯乱情報なのか。日本や韓国の当局者は知らされていたのか――。(中略)

「実際には朝鮮半島に向かっていなかった」と米メディアが報じ始める。カール・ビンソンはインド洋でオーストラリアとの合同演習を終え、現在は「指令どおり、西太平洋に向かっている」と米太平洋軍が説明。

ホワイトハウス当局者はニューヨーク・タイムズに「国防総省からの助言を当てにしてきた」と釈明。太平洋軍によるタイミングの悪い初期の発表や、マティス国防長官による説明ミスなどが積み重なって、朝鮮半島へ向けて航行中との誤ったストーリーが広がったのだという。

謎はまだ多いが、おそらくはトランプ政権内での伝達ミスに、メディアによる過熱報道が加わって、誤まった情報が拡散していったのではないか。ただ問題は、朝鮮半島危機が終わっていないことだ。

今ごろは北朝鮮当局者も「空母がまだ到着していないこと」を知っているはず。これから事態はどう動くのか。カール・ビンソンは今月中には朝鮮半島近海に入るとみられている。【4月19日 Newsweek】
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詳細はわかりませんが、“伝達ミス”だとしたら、こんな重大な問題でとんでもない話です。ありえないことにも思えますが、ミスというのは後から考えれば“ありえない”ことばかりです。

トランプ流の情報攪乱戦術だとしたら、日本政府はどの時点で知らされたのでしょうか?知った上での有事関連発言でしょうか?こんなことを繰り返していたら、“同盟国の国民”もアメリカの言動を信頼できなくなります。

韓国の反応の“鈍さ”あるいは“冷静さ”は、アメリカから知らされていたからでしょうか?

トランプ大統領「韓国は中国の一部」】
その韓国に関して、トランプ大統領から(韓国にすれば)“ありえない”発言も。

****トランプ氏の「韓国は中国の一部」発言に反発=韓国政府****
トランプ米大統領が中国の習近平国家主席と首脳会談で交わした対話の内容を伝え、「韓国は中国の一部」と発言し、波紋が広がっていることについて、韓国の外交部当局者は「一考の価値もない」と強く反発した。

同当局者は「報道内容が事実かどうかと関係なく、数千年間の韓中関係の歴史で韓国が中国の一部ではなかったことは、国際社会が認める明白な歴史的事実であり、誰も否認できない」と強調した。

トランプ大統領は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「習主席が(6〜7日の米中首脳会談で)中国と朝鮮半島の歴史について話した。数千年の歴史と数多くの戦争について。韓国は実は中国の一部だった」と述べた。

習首席が実際に会談でトランプ大統領に述べたのか、トランプ大統領が誤解し、誇張して表現したのか、通訳ミスなのかは確認できていない。【4月19日 ソウル聯合ニュース】
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本来ならば“「一考の価値もない」と強く反発”ぐらいでは済まない問題発言です。

一方、中国・習近平主席に関しては、トランプ大統領は極めて高い評価を示しています。

****トランプ米大統領、中国「為替操作国」見送りは「態度軟化ではない****
2017年4月19日、米ボイス・オブ・アメリカの中国語ニュースサイトによると、トランプ米大統領はFOXニュースが18日放映したインタビューで、中国を制裁対象となる「為替操作国」に認定しなかったことについて「中国への態度が軟化した」との指摘を否定した。

トランプ大統領は、「習近平(シー・ジンピン)国家主席は北朝鮮の核脅威を大きな問題だと把握し、現在それに対処している。中国が深刻な問題に取り組んでいる最中に、為替操作を持ち出して彼らを殴るとでもいうのか」とし、「ドナルド・トランプが中国に対する姿勢を変えていると言っているのは数だけの偽メディアだ」と語った。

また、中国税関当局が北朝鮮からの石炭貨物を送り返すよう中国国内商社に命じたことについて「習氏はとても入念に取り組んでいる。北朝鮮からの石炭貨物がたくさん送り返された」とし、「中国が米国のためにあれほど前向きな立場を取るのを目にしたのは誰もいない」とも語った。【4月19日 Record China】
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アメリカのためにかつてないほど前向きに取り組んでくれる中国・習近平政権に、中国の一部である韓国および東アジアはまかせる・・・というのが、トランプ大統領の頭の中でしょうか。
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