山本馬骨:たそがれジジイの呟きブログ

タイトルを変更して、これからは自分勝手なジジイの独り言を書くことにしました。

サプリメントへの不信

2017-08-12 05:53:31 | つぶやき

 しばらく旅に出かける機会もなく、この頃は午後になるとBSで中古品のドラマを見ていることが多い。中古品のドラマというのは、再放送や再々放送といった、もはやこの世にいない俳優などが活躍しているドラマなどである。彼らが生きていた時代には現役でTVなど見る暇もなかったので、今頃になってようやくそのような作品があったのかと気づいている向きがあり、それらの作品はこの老人には結構新鮮なのだ。

 ところが、折角楽しんでいるのに傍若無人に邪魔をする奴がいる。間断を置かずに入り込んでくるコマーシャルという奴だ。ま、民放なのだから仕方ないというのは解るけど、あまりにもドラマ鑑賞の邪魔をしかけるので、怒りを通り越してぐったりするほどうんざりしている。

 それらのコマーシャルの中で、もっとも癇に障るのがサプリメント類の宣伝だ。何が気にいらないと言って、これから老人となる世代や既に老人になり果てた世代の人たちに向かって、真偽定かならぬ怪しげなシロモノを、さも直ぐさま効果があるような口ぶりで、あの手この手で売り込もうとアピールするのである。それは当たり前のこととは承知しているのだが、あまりにも親切ごかしに効果を喧伝するのを見ていると、折角の鑑賞の邪魔をされたことも手伝って怒りのようなものがこみあげてくるのだ。

 一体サプリメントというのは何なんだと思う。中高齢者などのホンの少し身体の健康基準からずれていると思い違いしている人たちの弱点を、その製品を飲んだりすればその弱点が改善されるのだと、およそ体験者らしくもないモデル人物を使って演技をさせている。それらを見ていると、バカもほどほどにしろと思ってしまう。似たような手法の、サプリメントに係わるコマーシャルは多い。何度も何度も繰り返してそれらを見せられていると、たった1%の効果しかない物であっても80%以上もの絶大な効果があるらしいと信じてしまう、そのような善人の錯覚を巧みに利用しているように思えて、我慢がならなくなってしまう。

昔から「薬九層倍」とはよく言ったものだ。サプリメントというのは本物の薬ではなく、その補助剤のようなものだろうから、九層倍などというものではなく百層倍くらいになっているのではないか。超高額なコマーシャル料を支払っても、利益がそれ以上に上がるのであれば、損するなどという世界は無いのであろう。1%の効果を100%に思い込ませることができれば、売り上げは間違いなく増加するのだから、心配ご無用ということなのであろう。

このように書いていると、刺客を放たれそうである。だから黙っていれば良いだけのことなのだとは解っているのだが、今の世の中、TVも新聞も週刊誌でも何でもかんでも、サプリメント類に関する宣伝広告が多すぎはしないか。ま、世の中自体が複雑化してそこら中に健康不安の材料が転がっており、又それが絶え間なく生み出されているのだから、少しでも効能があるのならば飛び付きたいという気持に応えるという意味では、文句を言う筋合いではないのかもしれない。

1%の効能があるのであれば、それは嘘ではなく本物なのだという理屈もある。そう考えると、ことの是非は騙される方に非があるということになってしまいかねない。ま、これは極端な話となるのだろうけど、100%の効能のあるサプリメントなどある筈がないのだから、騙す力の方が勝っているように思えてならない。それにしても善人ほど騙されやすいというのが悲しい。

今頃の善人の多くは、簡便法の愛好者が圧倒的に多い。身体に何か不足するものがあれば、その科学的成分がいっぱい詰まったサプリメントを利用さえすれば、身体は直ちに反応して良い結果が招来されると考えているようだ。そんなに簡単で都合のいいことがあるのだろうか?少し考えれば、自分の身体がどうなのかは直ぐに解ることではないか。野菜の栄養素が全部揃った丸薬を飲めば野菜など食べなくても身体は健康を維持できるのだなどということはあり得ないのだ。人間はロボットのような工学的製品ではない。葉っぱを食って育つ虫と同じ生き物なのである。虫よりも遥かに高等な動物だからと言って、葉っぱを食わないでも生きてゆけるという存在ではなかろうと思う。サプリメントは、そこのところを忘れたまま(知っていても抜かしたまま)に効果だけを喧伝するコマーシャルが多い。多すぎる。

かといって、これを止める法も力もない。あるとすれば効能ゼロが立証されるか或いは副作用などの害が立証された時だけであろう。だから老人は無力と知ってはいても、刺客を心配しながらも、つぶやくだけなのである。

今日もまたうんざりするほどのサプリメントコマーシャルの攻勢を受けながら、中古品のドラマを、いい所で流れを寸断されながらも、老人はTVを見ることになるのである。


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