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米軍文書はコロンビア基地協定が周辺地域にとって脅威となることを示している

米軍文書はコロンビア基地協定が周辺地域にとって脅威となることを示している
2009年11月6日
ギャリー・リーチ
ColombiaJournal原文


南米の指導者たちは、米国とコロンビアが最近結んだ軍事協定に対して公式に憂慮を表明している。この協定のもとで米軍はラテンアメリカで最も親しい同盟国コロンビアの領土にある7カ所の基地に長期にわたりアクセスできることになる。とりわけベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、この合意は南米の左派寄り諸国にとって脅威となると述べている。最近公開された基地合意の文章とそれに関連する米軍の文書を見ると、チャベスをはじめとする南米の指導者たちが抱く恐れが単なるパラノイアではないことがわかる。これらの文書は、米国の軍事目的がコロンビア国内にとどまるものではないことを明言しており、パレンケロ空軍基地は「南米全土における全方位作戦を遂行する機会を提供する」と述べている。 

同合意によると、米国とコロンビアの強力関係強化は「平和と安定、自由と民主主義に対する共通の脅威に対処するために」必須であるという。オバマ政権は南米諸国指導者たちの憂慮を繰り返し退け、今回結ばれた10年間にわたる二国間合意はコロンビア国内で平和と安定、自由と民主主義の目的を達成するために米軍が行う作戦を認めるだけであって、近隣諸国に対する脅威とはならないと主張してきた。米国国務長官ヒラリー・クリントンは「この合意はコロンビア国内の治安問題に関する米国とコロンビアの二国間合意である」と説明する。一方、コロンビア外相ハイメ・ベルムデスは「今回の合意に対し憂慮を示した第三国もあった。この合意はもっぱらコロンビア国内に関することだとすでに我々は言ったはずだ」と断言した。しかしながら、合意のどこにも、コロンビアの基地を出発点として行われる米軍の作戦がコロンビア国内に限られるとは書かれていない。 

合意本文におけるこの小さな脱落は、もう一つの、米軍の文書を見ると決定的に重要であることがわかる。2009年5月に米国議会に提出された2010会計年度軍建設計画予算見積りで、米国空軍はコロンビアのパレンケロ空軍基地改修のために4600万ドルを要求した。同空軍基地は軍事協定が対象とする基地の中で最大のものである。この予算見積りを見ると、米軍がコロンビアの基地を利用する目的はコロンビア国境をはるかに越え、米国が自分の利益にとって脅威と見なす南米諸国に及ぶことが明らかである。 

米国空軍によると、パレンケロ基地は「我らが半球における危機的な地域で全方位作戦を展開するためのまたとない機会である。この地域では、麻薬資金を得たゲリラや反米政府、蔓延する貧困と繰り返される自然災害のために治安と安定が常に脅かされている」という。空軍文書が明らかにしているように、「全方位作戦」という言葉は、コロンビア基地を使って対麻薬作戦や対テロ作戦に乗り出すだけでなく、南米のあらゆるところであらゆるかたちの軍事作戦を展開する可能性があることを表している。 

文書はさらに米国の南米における利益を守るためにパレンケロが重要であると繰り返し、同空軍基地は「コロンビアおよび米国南方軍(USSOUTHCOM)の担当地域(AOR)全体」すなわちラテンアメリカで「必要不可欠」であると述べている。さらに同文書は、「目的は、既存のインフラを最大限活用し、危機にあたって迅速に対処する米軍の能力を強化し、最低限の費用で南米へのアクセスとプレゼンスを確保することにある」と述べている。 

米国空軍文書は、末尾でパレンケロ基地の重要性は対麻薬作戦を遂行することにとどまらないことを明言し、米国議会に対し、既存設備に対して要求通りの改修費用がつかなければ「米国の世界的軍事戦略(GDP)を担うにあたって USSOUTHCOMの力は大きく制限される」ことになり、「USSOUTHCOMは、対麻薬作戦しか遂行できない4カ所のCSL[共同軍事基地]、および作戦使命の制限はないもののAORで必要となる作戦を遂行するには遠すぎる2カ所しか」使えないことになると警告している。 

米国空軍が南米地域に関して述べている目標と一致したかたちで、米=コロンビア基地協定の文言も、米軍の作戦は対麻薬作戦の支援任務だけに限定されないことをはっきりと示している。エクアドルとの間に結ばれていたマンタ空軍基地の利用に関する期限切れの合意や、中米・カリブ地域の数カ国と現在結んでいる協定と同様である。米=コロンビア基地協定によると、その目的は「とりわけ、対麻薬と対テロに関する強力を強化する」ことにある。さらに、米国空軍によれば「パレンケロは米国陸軍と空軍、海兵隊、米軍共同の航空機や要員が共用できる施設となる」。 

結論すると、米=コロンビア基地協定は、米国の軍事活動をコロンビア領土内に限定するものでも、対麻薬作戦と対テロ作戦に限定するものでもない。言い換えると、米軍はコロンビアの基地を使って、南米のあらゆるところを標的とした何であれお望みの作戦を遂行できるのである。そして米国空軍は、議会に提出した報告の中で、南米全土における米国の軍事目標を達成するためにはコロンビア最大の空軍基地が重要であることを明示している。そしてこの軍事目標の中には、「反米政府」の脅威に対処することも含まれているのである。南米諸国、とりわけベネズエラとボリビアが憂慮する多大な理由があることは明らかである。


■ 辺野古通信 

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