これまでの流れ。
3月2日 アマ強豪の瀬川さん、プロ入りの嘆願書提出
↓
5月26日 特例中の特例で瀬川氏のプロ編入試験が決定(瀬川氏のインタビューはこちら)
↓
6月17日 プロ編入試験要項(試験方法)が発表(瀬川氏のコメントはこちら)
興味深いのは、その試験内容である。
____________________________________________
第1局 7月18日(祝) 佐藤天彦三段
第2局 8月14日(日) 神吉宏充六段
第3局 9月17日(土) 久保利明八段
第4局 日時、場所未定 中井広恵女流六段
第5局 日時、場所未定 中原誠副会長 (助手:熊坂学四段)
第6局 日時、場所未定 米長邦雄会長 (助手:長岡裕也四段)
※3勝、または4敗した時点で終了
※持ち時間は1局目が各1時間半、2局目・3局目が各3時間、4局目以降は未定
※第5局、第6局は将棋連盟会長・副会長の2人が勝敗の立会い、観戦記の執筆と同時に面接も兼ねる。対局は門下生の熊坂四段、長岡四段が担当する
___________________________________________
この試験内容に関しての私感は後に譲るとして、最初、この組み合わせを見たとき素直に面白いと思った。
同時に、受験者の力量を判断するための試験というより、話題作り(世間を盛り上げるための)の方に重点が置かれている、というのが率直な感想である。
ただ、「どうして試験官にこの人が出てくるんだ?」という疑問もあった。
具体的には、弟3局の対局者(試験官)である久保利明八段である。
久保八段といえば、現在の将棋界の中で紛れもなく10本の指に入るエリート中のエリート棋士。
現在、将棋界ピラミッド構造の頂点、A級クラスに所属するバリバリの若手棋士である。
プロ野球界にたとえるなら、巨人軍の高橋由伸選手、阪神なら今岡選手あたりになるのだろうか(管理人は野球に詳しいわけではないので、適切な比喩ではないかもしれない)。
なお、久保八段は弟53回のNHK杯戦の決勝戦で羽生善治名人(当時)を破っている。
彼が弟3局を担当することによって、瀬川氏が3連勝する確率は相当低くなり、第4局、第5局と流れて行くことは必至だろう。同時に、それは将棋界を盛り上げるための一因をもなす。
しかし、なぜ久保八段が選ばれたのかについては、「瀬川問題」をきっかけに知ることになった。
私はこれまで知らなかったのだが、瀬川氏の17勝という実績の中にこの久保八段が含まれていたのである。
そう、久保八段は奨励会のドロップアウト組である瀬川氏に一度負けているのだ。A級クラスに所属する棋士がアマチュアに負けるなど、本来、あってはならない事態。久保八段からみれば、瀬川氏の試験官を担当するというより、リベンジマッチとなる。
また、このA級棋士への勝利が嘆願書提出の大きな契機付けになったとも考えられる。
さて、注目すべきは第1局目である。
相手は、現役奨励会員の佐藤天彦三段である。かって瀬川氏が身を置いた地獄の三段リーグに所属し、プロ入りを目指している若きホープ。
では、三段リーグに所属する奨励会員が30名もいる中で、なぜ佐藤氏が抜擢されたのだろうか?
この疑問に入る前に、奨励会卒業→プロ入りの流れについて補足説明をしたい。
通常、プロ棋士になるためには下記のルートを辿る。
____________________________________________
奨励会(三段リーグ)卒業(上位2名)
(*勝ち星が同数の場合は、順位的に上位の者が選ばれる。なお、順位は前期の成績が反映する。)
↓
順位戦(プロリーグ)
C級(2組)
↓
C級(1組)
↓
B級(2組)
↓
B級(1組)
↓
A級
↓
名人
____________________________________________
まず、奨励会を突破した新四段はC級2組(約50名)に入り、1年間かけて順位戦と呼ばれる過酷なリーグを戦い、昇級(このクラスは3名)を目指す。「順位戦」という名が示す通り、同じ勝ち星であっても、順位的に下の者は頭ハネされる制度である。もちろん、それぞれのクラスによって支払われる基本給の給料は全然違うから、いつまでもC級(2組)だと一般サラリーマンレベルの給料(?)である。
実は、この流れ以外にもう一つルートが存在する(比較的新しく出来た制度)。
以下、日本将棋連盟HPの記載をそのまま抜粋する。
■フリークラス編入規定
三段リーグ戦で、2回次点を取った者はフリークラスに編入することができる。
将棋界ファン以外の方にとっては意味不明だと思う。
このフリークラスと呼ばれるものであるが、先に述べた順位戦からの引退者(自分の意志)、並びに、C級(2組)に於いて成績が芳しくないものを受け入れるクラスである。
後者のケースのみ、一定の成績(けっこう厳しい規定)を修めると順位戦(C級2組)に復帰出来る。
ちなみに、このクラスにおいては当然と言うべきか給料は無給である。他の棋戦(新聞社が主催するタイトル戦など)には参加出来るため、その対局料や他のアマチュアの指導対局料等で生活を賄うしかない。
話を元に戻し、奨励会三段リーグにおいて2回次点(3位)をとった者は四段に昇段し、このフリークラスに入る権限が持てる(放棄しても良い)。そして、既定の成績を修めると順位戦に参加する資格が得られるのである。
前置きが長くなったが、瀬川氏の弟1局の対局者である佐藤天彦三段は、この制度を自ら放棄した人物である。つまり、一度プロになるチャンスを自ら放棄していることになる。佐藤氏の心中を察すれば、「俺は、そんな制度に頼らなくても正規のルートでプロ棋士になってやる。」ではないだろうか。
一方、プロ入りを望む瀬川氏であるが、このフリークラス入りを目指している人物その人である(とは言っても、最終的には順位戦参加が希望なのだろうが)。
すなわち、瀬川氏が第1局で対戦する相手は、自分が希望する夢の舞台を自らの意志で蹴った男ということになる。同じプロを目指す二人であっても、全く対極的な位置にいる二人。
先の久保利明八段の例といい、今回の佐藤三段のケースといい、このプロ編入試験のキーワードはアイロニー(皮肉)と表現できる。
佐藤天彦三段は、まだ17歳である。
だからこそ、フリークラス編入規定を放棄するという荒技(?)が出来るのかも知れない。
普通、25歳くらいの奨励会員であれば、この制度に飛びつくだろう。
また、米長会長の記者会見であったように、現役奨励会員が選ばれたのは絶対条件であり、現在厳しい環境下で戦っている奨励会員達の意志を反映したものだと考えられる。
実際の奨励会員の心中は分からないが
「おまえだけ特別規定で割り込むのは許さない」
という奨励会員も少なからずいることだろう。
すなわち、佐藤氏はその奨励会員達の気持ちを受け継いだ代弁者と捉えることもできる。
佐藤氏は、現在三段リーグでトップグループを快走している。
この戦いは、明晰な頭脳を誇る若き17歳の現役奨励会員三段と、35歳の元奨励会員三段の一騎打ちである。
会見の中での言葉。
米長会長曰く「実力的には五分と五分ではないか」。
弟2局・弟4局以降に付いてもコメントしたいが、長くなってきたのでまた機会があるときに書き留めたい。
なお、この試験方法に関する私の私感であるが、特に異論はない。
たしかに、先述したように「プロの世界で通用していくかを見極めるための精密なテスト」とう観点で見れば、欠陥が幾つかあるようにも思う。奨励会員が半年かけて三段リーグを行うように、瀬川氏の試験についても、精密さを追求するならそのくらいのスパンは欲しい。
この試験は、明らかにマスコミを意識した話題作りに重点が置かれていることは否めない。
しかし、私はこうも考える。
話題作り、或いは、盛り上げること自体は今後の将棋界にとっては重要ではないだろうか。たとえ、それが疑問が残るカタチであれ。
ただでさえ将棋人口が減り、テレビゲーム世代が加速する中で、何某アクションを起こし再び世間の目を向けることは十分条件ではないにしろ必要条件である。
たとえ将棋関係者万人が納得する方法論であっても、結果的に、将棋界そのものの存続が怪しくなるような事態に陥っては身も蓋もない。
もちろん、今回のことが一発花火的には終わって欲しくないが、これを契機に現行制度を再考する貴重なタネになることは間違いない。
3月2日 アマ強豪の瀬川さん、プロ入りの嘆願書提出
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5月26日 特例中の特例で瀬川氏のプロ編入試験が決定(瀬川氏のインタビューはこちら)
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6月17日 プロ編入試験要項(試験方法)が発表(瀬川氏のコメントはこちら)
興味深いのは、その試験内容である。
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第1局 7月18日(祝) 佐藤天彦三段
第2局 8月14日(日) 神吉宏充六段
第3局 9月17日(土) 久保利明八段
第4局 日時、場所未定 中井広恵女流六段
第5局 日時、場所未定 中原誠副会長 (助手:熊坂学四段)
第6局 日時、場所未定 米長邦雄会長 (助手:長岡裕也四段)
※3勝、または4敗した時点で終了
※持ち時間は1局目が各1時間半、2局目・3局目が各3時間、4局目以降は未定
※第5局、第6局は将棋連盟会長・副会長の2人が勝敗の立会い、観戦記の執筆と同時に面接も兼ねる。対局は門下生の熊坂四段、長岡四段が担当する
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この試験内容に関しての私感は後に譲るとして、最初、この組み合わせを見たとき素直に面白いと思った。
同時に、受験者の力量を判断するための試験というより、話題作り(世間を盛り上げるための)の方に重点が置かれている、というのが率直な感想である。
ただ、「どうして試験官にこの人が出てくるんだ?」という疑問もあった。
具体的には、弟3局の対局者(試験官)である久保利明八段である。
久保八段といえば、現在の将棋界の中で紛れもなく10本の指に入るエリート中のエリート棋士。
現在、将棋界ピラミッド構造の頂点、A級クラスに所属するバリバリの若手棋士である。
プロ野球界にたとえるなら、巨人軍の高橋由伸選手、阪神なら今岡選手あたりになるのだろうか(管理人は野球に詳しいわけではないので、適切な比喩ではないかもしれない)。
なお、久保八段は弟53回のNHK杯戦の決勝戦で羽生善治名人(当時)を破っている。
彼が弟3局を担当することによって、瀬川氏が3連勝する確率は相当低くなり、第4局、第5局と流れて行くことは必至だろう。同時に、それは将棋界を盛り上げるための一因をもなす。
しかし、なぜ久保八段が選ばれたのかについては、「瀬川問題」をきっかけに知ることになった。
私はこれまで知らなかったのだが、瀬川氏の17勝という実績の中にこの久保八段が含まれていたのである。
そう、久保八段は奨励会のドロップアウト組である瀬川氏に一度負けているのだ。A級クラスに所属する棋士がアマチュアに負けるなど、本来、あってはならない事態。久保八段からみれば、瀬川氏の試験官を担当するというより、リベンジマッチとなる。
また、このA級棋士への勝利が嘆願書提出の大きな契機付けになったとも考えられる。
さて、注目すべきは第1局目である。
相手は、現役奨励会員の佐藤天彦三段である。かって瀬川氏が身を置いた地獄の三段リーグに所属し、プロ入りを目指している若きホープ。
では、三段リーグに所属する奨励会員が30名もいる中で、なぜ佐藤氏が抜擢されたのだろうか?
この疑問に入る前に、奨励会卒業→プロ入りの流れについて補足説明をしたい。
通常、プロ棋士になるためには下記のルートを辿る。
____________________________________________
奨励会(三段リーグ)卒業(上位2名)
(*勝ち星が同数の場合は、順位的に上位の者が選ばれる。なお、順位は前期の成績が反映する。)
↓
順位戦(プロリーグ)
C級(2組)
↓
C級(1組)
↓
B級(2組)
↓
B級(1組)
↓
A級
↓
名人
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まず、奨励会を突破した新四段はC級2組(約50名)に入り、1年間かけて順位戦と呼ばれる過酷なリーグを戦い、昇級(このクラスは3名)を目指す。「順位戦」という名が示す通り、同じ勝ち星であっても、順位的に下の者は頭ハネされる制度である。もちろん、それぞれのクラスによって支払われる基本給の給料は全然違うから、いつまでもC級(2組)だと一般サラリーマンレベルの給料(?)である。
実は、この流れ以外にもう一つルートが存在する(比較的新しく出来た制度)。
以下、日本将棋連盟HPの記載をそのまま抜粋する。
■フリークラス編入規定
三段リーグ戦で、2回次点を取った者はフリークラスに編入することができる。
将棋界ファン以外の方にとっては意味不明だと思う。
このフリークラスと呼ばれるものであるが、先に述べた順位戦からの引退者(自分の意志)、並びに、C級(2組)に於いて成績が芳しくないものを受け入れるクラスである。
後者のケースのみ、一定の成績(けっこう厳しい規定)を修めると順位戦(C級2組)に復帰出来る。
ちなみに、このクラスにおいては当然と言うべきか給料は無給である。他の棋戦(新聞社が主催するタイトル戦など)には参加出来るため、その対局料や他のアマチュアの指導対局料等で生活を賄うしかない。
話を元に戻し、奨励会三段リーグにおいて2回次点(3位)をとった者は四段に昇段し、このフリークラスに入る権限が持てる(放棄しても良い)。そして、既定の成績を修めると順位戦に参加する資格が得られるのである。
前置きが長くなったが、瀬川氏の弟1局の対局者である佐藤天彦三段は、この制度を自ら放棄した人物である。つまり、一度プロになるチャンスを自ら放棄していることになる。佐藤氏の心中を察すれば、「俺は、そんな制度に頼らなくても正規のルートでプロ棋士になってやる。」ではないだろうか。
一方、プロ入りを望む瀬川氏であるが、このフリークラス入りを目指している人物その人である(とは言っても、最終的には順位戦参加が希望なのだろうが)。
すなわち、瀬川氏が第1局で対戦する相手は、自分が希望する夢の舞台を自らの意志で蹴った男ということになる。同じプロを目指す二人であっても、全く対極的な位置にいる二人。
先の久保利明八段の例といい、今回の佐藤三段のケースといい、このプロ編入試験のキーワードはアイロニー(皮肉)と表現できる。
佐藤天彦三段は、まだ17歳である。
だからこそ、フリークラス編入規定を放棄するという荒技(?)が出来るのかも知れない。
普通、25歳くらいの奨励会員であれば、この制度に飛びつくだろう。
また、米長会長の記者会見であったように、現役奨励会員が選ばれたのは絶対条件であり、現在厳しい環境下で戦っている奨励会員達の意志を反映したものだと考えられる。
実際の奨励会員の心中は分からないが
「おまえだけ特別規定で割り込むのは許さない」
という奨励会員も少なからずいることだろう。
すなわち、佐藤氏はその奨励会員達の気持ちを受け継いだ代弁者と捉えることもできる。
佐藤氏は、現在三段リーグでトップグループを快走している。
この戦いは、明晰な頭脳を誇る若き17歳の現役奨励会員三段と、35歳の元奨励会員三段の一騎打ちである。
会見の中での言葉。
米長会長曰く「実力的には五分と五分ではないか」。
弟2局・弟4局以降に付いてもコメントしたいが、長くなってきたのでまた機会があるときに書き留めたい。
なお、この試験方法に関する私の私感であるが、特に異論はない。
たしかに、先述したように「プロの世界で通用していくかを見極めるための精密なテスト」とう観点で見れば、欠陥が幾つかあるようにも思う。奨励会員が半年かけて三段リーグを行うように、瀬川氏の試験についても、精密さを追求するならそのくらいのスパンは欲しい。
この試験は、明らかにマスコミを意識した話題作りに重点が置かれていることは否めない。
しかし、私はこうも考える。
話題作り、或いは、盛り上げること自体は今後の将棋界にとっては重要ではないだろうか。たとえ、それが疑問が残るカタチであれ。
ただでさえ将棋人口が減り、テレビゲーム世代が加速する中で、何某アクションを起こし再び世間の目を向けることは十分条件ではないにしろ必要条件である。
たとえ将棋関係者万人が納得する方法論であっても、結果的に、将棋界そのものの存続が怪しくなるような事態に陥っては身も蓋もない。
もちろん、今回のことが一発花火的には終わって欲しくないが、これを契機に現行制度を再考する貴重なタネになることは間違いない。
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とりあえず、定型文の貼り付けご苦労様でした(;´Д`)ノ
(それに付き合う私も相当暇人)