平井和正先生に捧ぐ〜財部剣人の館「マーメイド クロニクルズ第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中「第二部 」完結

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的な世界観で人魚のナオミとヴァンパイアのマクミラが戦うバトルファンタジー

マーメイド クロニクルズ 第二部 最終章−3 ナインライヴス(再編集版)

2017-03-23 00:00:41 | 私が作家・芸術家・芸人
 伝説の魔人の強さを知るマクミラがつぶやいた。
「おどろいた。魔神スネールさえ、異次元空間へ送り込んでしまうとは・・・・・・」
 ドルガが振り向いた。「よいか、ここまでは想定内。お前にすがるスネール様のなさけない姿を見ることで、汚れた世界で落ちぶれた我の力は完全復活した。貴様の愛しいダニエルなど、ひとひねりにしてくれる」
 普段でも青白いマクミラの顔が、蒼白になった。
 精神世界に来て以来、頭痛の止まらないダニエルが絞り出すように言った。「俺は、そんなに簡単にやられるつもりはないぜ」
「さあ、嵐が吹き荒れる部屋へ移動だ!」アストロラーベが宣言する。

 嵐の吹き荒れる部屋は、立っていられないほどの暴風雨だった。例によってアストロラーベが、立会人たちのためにセイフティゾーンを作る。
 アストロラーベが語りかけた。「死の神トッドの娘ドルガよ。プルートゥ様の遠縁にあたるお主は、冥界でも名門中の名門の出。なぜ魔人スネールなどと組むようになったのか、語ってはくれまいか?」
「よかろう。冥界の貴公子が、人間界まで追って来てくれたのだ。それくらい教えてやってもバチは当たるまい」
 マクミラは、また悪い癖が出たと舌打ちしたい気分だった。
 第三の部屋の勝負が終わった時点で111分あった時間は、さかさまジョージの手出しで99分に減っていた。無駄にする時間は、一分どころか1秒もありはしないというのに・・・・・・しかし、アストロラーベは不利になればなるほど、意識的なのか無意識的なのか余計な手間をかけたがる癖があった。これまでは、そうした余裕が裏目に出たことが無いにしても、今回は胸騒ぎがしてならない。
「その前に確認しておきたい。最後の闘いに勝利したならば、我らに自由を与える約束だったな?」
「神に二言はない」
「よし、知りたいのは、なぜスネール様と関わるようになったのかだったな。よいか。我ら死の神の一族は、9つの魂を持っている。だから、8回までは殺されても生き返る」
「死の神一族の9つの魂の噂なら、聞いたことがある。今回の闘いでは、どうすればよいのだ。お主を9回殺さなければならないのか? それとも、一度でも殺せば我らの勝ちなのか?」
「もちろん、一度でも殺せればお主たちの勝ち。ただし、9回殺すことはできない。なぜなら我は、すでに生涯に一度殺されたからだ」
「その相手が魔人スネールだったのか?」
「違う。我が父じゃ!」
 ドルガが実の父に殺されたと聞いて、さすがに皆が息を飲む。
「どうした。父の我に対する仕打ちを知って臆したか、冥界の貴公子殿」
「なぜ、そんなことを?」
「父は、母の堕天使ダラミスと地上で契りを結んだことを後悔していた。母は美しかった。美しすぎたと言ってもよいほどに。美しいが移り気な母は、我を産み落とすと次の恋を求め、父の元を去って行った。捨てられた父は、表面的には仕事をこなしていたように見せていたが、独りになると会えなくなった母を忘れられず苦しんでいた。そんな父があわれでならなかったから、我は救ってやろうと思ったのだ」
「つまり、殺してやろうと思ったのだな?」


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