オータムリーフの部屋

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人類はロボットと共生できるか

2016-12-13 | 社会
11月の米雇用統計は失業率が4.6%と約9年ぶりの水準まで低下した。しかし、製造業は就業者の減少が続く。米雇用統計発表の前日である12月1日、トランプ氏は米空調大手キヤリアのインディアナ州の工場を訪れ、メキシコ移転による工場の閉鎖と人員削減を阻止したと表明した。キヤリアの親会社トップに電話で圧力をかけたのだ。トランプ氏の政治圧力で製造業の雇用減を食い止められるとの見方は少ない。製造業の雇用者数は2008年の金融危機前と比べ150万人も少なくなった。その主因は「生産工程の自動化だ」(フロマン米通商代表部代表)。15年の米国の輸出金額を00年と比べると、家電は約1.4倍、自動車は約2倍に増えており、米製造業が縮小したわけではない。企業は国際競争力を保つために省力化投資を進めており、製造業の雇用減は先進国共通だ。
米労働市場は完全雇用に近づいており、伸び盛りの企業は人材確保のコストが上がっている。生産性の落ちた旧来型の産業から新興企業に人員が移らなければ、米経済は人手不足という成長の天井にぶち当たる。トランプ氏の経済政策の多くはインフレ圧力を強める。それはドル高を招き、結果として米製造業の雇用をさらに脅かしかねない。(日経新聞)
 
労働力の減少や効率化を背景に、産業界全体で無人化が加速している。「高くて使い物にならない」と言われてきたロボットも「人より安上がり」になりつつある。
国際ロボット連盟は2013年1月の調査で、ロボットの導入台数と失業率について相関関係を主な国ごとに分析している。興味深いのは日本、米国、ブラジルの状況だ。2000年以降の推移を分析すると、米国はロボットの導入台数、失業率とも比例して増加している。ブラジルはロボットの導入が進むと同時に失業率も下がっている。日本はロボットの導入台数は2000年以降、減少し、失業率は横ばいか、やや減少している。
推測できるのは、1)米国はロボットの導入により人の雇用が減っている、つまりロボットが人間を駆逐している。2)ブラジルは特に製造業で生産拡大のため、ロボット、人間とも雇用を増やしている。ロボットと人間は共生する関係だ。3)日本は長引く景気低迷で各社が設備投資を抑え、雇用を守ってきた。
 
確かに現状では景気や国の労働市場の状況によって自動化の進展は異なる。しかし、人間よりも機械の方が製造作業を効率的に行うことができるのだから、生産量の増加、品質向上に繋がる。しかも、機械の停止による生産調整も簡単にできる。機械には、管理の必要な健康保険、休憩、産休、睡眠もいらず、精神疾患もあり得ない。先進国ばかりでなく、新興国でも自動化されていくのは時代の趨勢だろう。
 
国際ロボット連盟(IFR)によると、ロボットの売上は2014年だけで29%増加しているという。驚いたことに、人件費から考えて、予測されるよりも多くのロボットを導入している国は、すべて新興市場だったという。インドだけは例外で自動化が遅れている。製造業の規模が比較的小さい国や、安い労働力を十分に確保できる国では、自動化で大きな経済効果は得られない。安い労働力が13億人いるインドで自動化する意味がないのは理解できる。しかし、韓国やタイのメーカーは、猛烈な勢いで自動化を進めているという。
 
平均以上の賃金の増大、労働力の高齢化、低い失業率が自動化を推進しているらしい。新興経済ほどのスピードではないが、中国も製造業にロボットを急速に取り入れている。中国の賃金は比較的低いにも関わらず、急速に自動化を進めているのは一人っ子政策による高齢化と労働者のスキル不足に要因があるのかもしれない。
 
ロボット技術の導入が遅れているオーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、スペインなどの事情はまた異なるようだ。こうした国々の政府は、数年間に渡る解雇手当の支払いなど、労働者から機械への移行に様々な規制を設けている。
 
この 10 年間のロボットの普及により製造業の自動化が進んだため、雇用のほぼ3分の1が喪失したというデータもある。単純作業は機械に任せてより高度な知的生産業やサービス業で人間が働くという構図も、人工知能の進歩で崩壊する。人間を雇う企業に対して政府が給料の何分の一かを補助する社会がやってくるかもしれない。そうでもして、機械が生み出す富の分配をしないと、消費の減少が景気の低迷を永続化させる。
人間の意識の変革がなければ、機械化により人間は楽になり、収入も余暇も増えるという理想社会の実現は不可能だろう。人類を滅亡させるのは、人類自身の私利私欲の追及だけで十分なようだ。人間が機械に取って代わられる惨めな将来の到来は避けられないだろう。
 
スイス・ダボスで開かれた「世界経済フォーラム」では、ロボットと人工知能の導入で、今後5年間のうちに500万の雇用が消えるという悲観的な見通しが出ている。
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