オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

ワンオペ育児とブラック夫

2017-02-05 | 社会

「ワンオペ育児」なる言葉が話題だ。母親が育児や家事を1人で担っている状態を言い表すとされ、牛丼店で1人の従業員が全業務をこなすことが問題となった「ワンオペレーション」が語源。これを妻に強いる存在として「ブラック夫」という言葉まで登場した。

この言葉には主に2種類の使われ方がある、と指摘するのは、病児保育などに取り組む認定NPO法人「フローレンス」の代表理事、駒崎弘樹さん。1人で育児する人が「今日もワンオペ……」とつらさを訴える場合と、普段は夫婦で分担する人が「今日だけはワンオペ」と明るく使う場合だ。『ワンオペ』という悲壮感の漂う言葉が、今なお孤独な育児に悩む母親たちの共感を呼んだと同時に、『子育ては本来1人でやるものではない』という新しい価値観が浸透してきたという、両面があるという。

男性が育児にいそしむ「イクメン」が流行語になり、世の中は変わったと思っていたのだが、イクメンを取り巻く環境は厳しいようだ。
休日はともかく、平日に育児や家事を分担する父親は実はほとんど増えていない、というのが、実情らしい。総務省の「社会生活基本調査」(11年)によると、6歳未満の子どもを持つ親が家事・育児に費やす時間は、共働きの場合、母親が1日約6時間、父親はわずか1時間程度。共働き世帯でも約8割がまったく家事をせず、約7割がまったく育児をしていないと言う。早稲田大の黒田祥子教授(労働経済学)の研究でも、平日に10時間以上働くフルタイムの男性の割合は、1981年に20%だったのが11年には44%に増えている。数字を見ると、イクメンになるのは不可能だ。長時間労働を社員に強いる企業は社員だけでなく社員の家族の幸せまで奪い取る。

「イクメン」は、博報堂のアートディレクター・丸田昌哉さんが考案し、2010年に当時の長妻昭厚生労働相が「イクメンという言葉をはやらせたい」と国会で発言して、全国に広がった。
しかし、「イクメン」という言葉の広がりに比べて、子育て世代の男性の家事育児時間は殆ど増えていない。「イクメン」の真価は、長時間労働が改善され、父親たちが当たり前に育児をするようになるかどうかにかかっている。男が出世競争も家事も育児も…男にとっても生きづらい世の中だ。

男の生きづらさは、それは自殺者の数に現れているという。警察庁によると、2015年に自殺した2万4025人のうち男性は1万6681人、女性7344人。自殺者が初めて3万人を超えた1998年にさかのぼっても男性の自殺者が多い傾向は変わらない。経済の成長期はサラリーマンならば年功序列で昇進できた。しかし、バブル経済とその崩壊で、過労死やリストラが社会問題化し、リーマン・ショックを経て派遣社員の割合が増加した。厚生労働省の統計によると、男性21%・女性57%は非正規…正社員として就職し、家庭を築くといった人生が難しくなった。

そして女性の社会進出に伴い、男性は新たな変革を求められた。内閣府が毎年発行する「男女共同参画白書」で、初めて男性をテーマにした特集が組まれた。テーマは「変わりゆく男性の仕事と暮らし」。白書の表紙には、スーツを脱ぎ、フライパンを持ってスーパーマンのように飛ぶ男性の「家事場のパパヂカラ」に、妻子が拍手を送るイラストが描かれている。

男性のための電話相談「『男』悩みのホットライン」がある。代表を務める浜田智崇・京都橘大助教(臨床心理学)によると、近年は「妻に『収入が低い』となじられる」「長時間労働で苦しいのに、妻に家事と育児もやってほしいと言われる」といった相談が増えているという。男性が仕事、女性は家庭という性別役割が一般的になったのは高度成長期の60年代のこと。それまで日本人の多くは農業などの第1次産業に従事し、夫婦で田畑に出るのが当たり前だった。家族を養わなければいけないというのは高度成長時代が残した強迫観念なのだが、男性も女性もこの理不尽な思い込みに今なおとらわれている。
競争をやめ、家族を支配しようとすることをやめ、小さな幸せを追求できるようになれば、男も女も生きづらさが軽減するはずなのだが、政府が「1億総活躍社会」を掲げたことで、女性も男性同様、長時間労働をすることになり、地域社会も家庭も崩壊、殺伐とした未来社会が待ち受けている。

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