
報道写真が捏造であっても、それが時代の偉大な象徴なのであれば、問題はない。リチャード・ウィーラン(Richard Whelan)は、ロバート・キャパ(Robert Capa)の最も有名な写真《崩れ落ちる兵士》の疑惑とそれへの批判を認めたうえで、こう書いた。これほどの暴論は、久しぶりに見た。
キャパは「戦場キャメラマンはハイエナだ」と言った。《崩れ落ちる兵士》のショットで世界的名声を得て、1954年5月25日、インドシナ戦争取材中に地雷で命を落としたこの写真家は、演出が施されたという一枚の写真を超えることはできなかった。ハイエナのように執念深く戦場に食い下がっても、23歳の自分が撮った写真の後塵を拝するほかはなかった。
ウィーランの見解は、キャパを神格化した尊敬の念から生まれているのだと思うが、偉大さや華麗さがあれば真実を歪めることも詮なしとする、きわめて不誠実な思想である。報道の本質を歪めたところに、本当の感動を見出す意図には同意できない。

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Title: ROBERT CAPA
Author: Richard Whelan
▽『キャパ その青春』リチャード・ウィーラン ; 沢木耕太郎訳
-- 文藝春秋, 2004
(C) Richard Whelan 1985
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