~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯(そくわん)をもう一度基礎から - これまで作成した説明チャートを集めてみました - update

2017-12-06 00:33:14 | 側弯そくわんをもう一度基礎から
初回記載:2017年12月4日
追記:2017年12月6日 思春期側弯症に関するチャートを追加


側弯症の全体像が理解しやすくなるのではないかと思い、側弯症の説明の為に作成したチャート・引用した図や表をここに集めてみました。側弯症に関する知識としては、分類、その発見時のコブ角(軽度、中度、重度)、装具療法が効果を得る為に、その後の経過がどうなるのか、ということをまず最初に知ることが大切だと思います。
内容の説明については、それぞれの記事やカテゴリーから確認をしてもらうことで、より深く理解を進められると思います。


◇側弯症分類

[側弯そくわんをもう一度基礎から (あなたはどの側彎症かの理解を)你了解哪侧脊柱侧弯]

“側弯症”という病名は、脊柱が曲がるという病態(症状)を示す用語であり、実は側弯症にもいろいろな種類があります。その区別について知識を得ていただくことがとても大切です。









◇特発性側弯症における軽度側弯(マイルドカーブ)....自然緩解がありえるということについて

[軽度側弯の思春期特発性側弯症患者への「予防ビジネス市場」はどれだけの規模なのか? ]

軽度側弯(マイルドカーブ)というのは、患者さん(お子さん)やそのご両親が最初の壁にぶつかる段階とも言えます。側弯症の知識不足から軽く考えて、病院での検査さえも受けなかったり、逆に過剰に心配して不安に苛まれたり。

まず皆さんにとっていただきたい行動は、絶対に無視せずに、信頼のおける整形外科(可能な限り側弯症を治療している専門医師のいる病院)で診察を受けて、現在のコブ角の程度と「リスク」との兼ね合いから、どの位の頻度でレントゲン検査を受けるかを先生と相談していただきたいのです。

下記のStep by stepは2007年6月に記載したものですが、側弯症という病名を初めて告げられ、かつドクターからは「経過をみましょう」と言われたことの意味がよく理解できずに不安に思っている時期の方々に向けて作成を試みたものです。ドクターの初めての診断において、確定診断として「特発性側弯症です。コブ角は15度ですので、経過を見ましょう」と言われたとすれば、それは最初の手術は終わったということと同じ意味になります。問題は、転移するかどうかなのです。転移することなく、思春期(骨成熟期)が終われば、その後は定期的な検診を1~2年毎で受けて「カーブが大きくなっていない」を確認できれば、その状態が一生続くと考えても大丈夫なのです。

怖いのは「転移」。つまりカーブの進行なわけですが、これはもしあなたがリスクの高い患者さんであれば、3か月毎にレントゲン検査を受けることで、転移があったとしても、早期に発見することが可能です。早期発見ができたら、転移に対する対応として「装具療法」が開始することができます。

[Step by Step]




このブログのひとつの主題である「民間療法者(側彎整体)」を意識するきっかけでもあります。ここでは深くは書きませんが、側弯整体は「治療」をしているのではありません。 皆さんを市場とする「ビジネス」をしているだけだ、ということ......そういう一面がある、ということもどうか忘れないでいただきたいと思います。








次の表は、ある医学文献からの引用ですが、類似のデータは多くの医学文献で見ることができます。この表に示されていることは、年齢の持つリスクと
初めて側弯症が発見されたときのコブ角の大きさとの関係から、そのカーブが今後どのように推移するかを何十年も何百人もの患者さんをフォローアップすることで得られたデータです。 赤線はaugust03が引いたものですが、発見時コブ角が10~19度の軽度側弯の場合、ほぼどの年齢層であっても、その後の進行する確率は12%~15%程度です。つまり、その逆の85%~88%の確率で、19度程度のコブ角は自然緩解した。ということを示しているわけです。




◇(機能性側弯における自然緩解の例:脚長差を治療する)

原因を治療すれば解消する「機能性側弯」と、原因不明で急激にカーブが進行する場合の存在する「特発性側弯」とがありますので、その区別を学んでいただきたいと思います。

側弯症という病気が皆さんを混乱に陥れる要因が、「自然緩解する」という特徴と、また同時に「進行速度は速いものから、遅いものまであるが、進行を続けるタイプの特発性側弯」という特徴にあると思います。
病名が同じ「側弯症」の為に、誤解やマチガイが生まれやすい場面です。


[機能性側弯症]
[脚長差を指摘された患者さんはいませんか ? (脚长差侧弯症关系)]
[脚長差測定を巡る議論 (機能性側弯症例とその治療も含めて)]








◇思春期側弯症関連

思春期特発性側弯症はとても「難しい病気」です。 民間療法者の宣伝に従うならば「手術はしなくても大丈夫。痛くない施術で治せる」「側彎体操をすれば治る」
ということになり、現実に、整体に通って「治してもらった」と信じている人たちが大勢います。整体師自身も「自分が治した」と信じています。

医学的事実は、下記に示しますように、ある意味矛盾に満ちている為に、患者さんやそのご両親はどうしても、単純なそして自信に満ちた整体の言葉に頼ってしまうことになります。 それは致し方のないことだと思います。自分の身体のこと、我が子の身体のこと、これからの長い長い一生に関わることなのですから、迷い悩みつつも、「治して欲しい」と一念で、必死なのですから。

でも、どうか、医学的事実から目を離さないで欲しいと思います。

①軽度側弯は、そのおよそ80%以上は自然緩解するタイプである。

②一方、軽度側弯の中には進行していくタイプもある。 (経過観察をすることで、進行性かどうかは診断することができる)

③25°以上にコブ角が進行した場合/進行が予想された場合は、装具療法にはいる。

④一日23時間以上の装着を遵守した場合、90%は進行を抑制できる。 しかし、それでも進行を続けるタイプの側弯も存在する。

⑤一日18~20時間以上の装着を遵守した場合、70~80%は進行を抑制できる。 しかし、それでも進行を続けるタイプの側弯も存在する。

⑥一日の装着時間が長くても、初回診察時のコブ角が35°~45°のように大きい場合、装具療法中に進行して手術となる可能性は大きい。

⑦装具を装着せず、何もしない場合、約50%の確率で側弯は進行しない。ごくまれにはコブ角が小さくなるような
 そのようなとてもおとなしいタイプの側弯もある。
 ゆえに、将来手術になることを覚悟するならば、50%の確率に賭けて、装具をしないという選択肢もありえる。

⑧骨成熟期を過ぎて、装具療法を終了した時点で、コブ角が25°~30°程度の場合、その後ほぼ安定した生活を送ることができる。
 しかし、ごくまれではあるが、その後、急激に進行を続ける「荒ぶるタイプ」の側弯もある。

⑨骨成熟期を過ぎて、装具療法を終了した時点で、コブ角が30°~40°程度の場合、その後ほぼ安定して生活できるタイプの側弯と
 年に0.5~1°進行を続けるタイプの側弯もある。



[側弯症:発見から治療、経過予想図作成 - 参考として (脊椎アライメント良好、不良例付)]

[骨成長期終了後に側弯変形は進行する? (装具終了時のコブ角がポイント)]

[そくわんカーブが進行するリスク]

[コブ角25°が重要閾値と考えられる (複数の文献より)]

[側弯そくわんをもう一度基礎から(進行しないタイプの側弯もある part II)]















次の文献はいまから28年前、1989年の新潟大学による装具療法の長期フォローアップ報告というとても古いものですが、内容は、過去から現在にかけて欧米で実施され発表されてきている思春期特発性側弯症患者の長期予後・自然経過と同等であり、上記に記載した9点の特徴を医学データで示していると言えるものです。
内容の説明は、後日また別トピックスに書くことにし、ここには同文献をベースに私が作成したチャートのみを貼付しました。コメントを吹き出し形式で示していますので、理解していただけると思います。

引用文献:思春期特発性脊柱側弯症に対する装具療法例の追跡調査と装具終了時期の検討
     新潟大学 中山剛男  新潟医学会雑誌 第103巻 第8号 1989年

・側弯症と診断(発見)された初診時のコブ角の大きさが手術するかどうかの確率に大きく影響する。



・装具開始時のコブ角の違いが、その後のカーブ進行の影響因子であることを示している。
・この図中の悪化の定義は、装具開始時と1年後以降での調査時との「差が10°以上」という定義。
 従って、装具開始時29°以下の58例は、全て調査時27°前後なので、この58例はすべて今後も安定した生活が送れるであろうことが予測できる。




・装具終了後に3例が悪化。このうちの1例は終了時40°でその2年後に60°まで進行した。急激にカーブが進行するタイプがあることを示している。
・9例は、大人になってからも少しづつカーブが進むタイプがあることを示している。




・装具療法をドロップアウトした群の経過観察結果として、装具開始時(発見時)29°以下の群では、平均観察5年9カ月において
 そのほぼ半分が「進行していない」。 つまりおとなしいタイプの側弯が50%の確率で存在するということ。






(この記事は、後日続けて記載しますので、お待ちください)

august03



☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいこと は、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?


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