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恐ろしい状況

2017年03月06日 | ランドマーク・ポスト

日本の若者のスマホの使い方が、世界の国々と比較して恐ろしい状況なのです。(中略)デジタル機器で自分の創作物、音楽、詩、動画、コンピューター・プログラムなどを発信するかどうかを、46か国で調査したところ、日本は11.4%で最下位!日本の若者は、スマホから情報を受け取るばかりで、自分から発信するという姿勢に欠けているのです。

本当に恐ろしい状況なのでしょうか?

舞田敏彦氏が作成したグラフ

Programme for International Student Assessment(PISA)では、OECD加盟国の15歳の生徒に以下の質問を行いました。
How often do you use digital devices for the following activities outside of school?
- Uploading your own created contents for sharing (e.g. music, poetry, videos, computer programs)

日本の若者のスマホの使い方が、世界の国々と比較して恐ろしい状況なのです。
上記の質問を読めば明らかですが、digital devicesの使用頻度が問われています。スマホではありません。ここであらためて「デジタル機器の種類」を説明する必要はないと思います。しかし、なかには、「デジタル機器=スマホ」という図式が頭の中で固定されて、それ以外の解釈ができないブロガーもいるようです(苦笑)。

デジタル機器で自分の創作物を発信する頻度が高い国としてタイ、コロンビア、ペルー、ドミニカ共和国、ブラジル等が上位にランクしています。日本の15歳児は創造力が劣っているのでしょうか。日本は上記5カ国をお手本にすべきでしょうか?

実は、これら5カ国は2015年のPISA平均点が極めて低く、ScienceとMathematicsのスコアはいずれも日本より100ポイント以上低いです(ドミニカ共和国は日本より約200ポイント低い)。ウィキペディアによると、タイ、コロンビア、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国の識字率はそれぞれ94.1%、93.2%、90.0%、89.6%、89.1%です。先進国の識字率が一般に99%であるのに対して、明らかに低いです。これは一体何を意味しているのでしょうか。識字率もPISAスコアも低い国の若者が、デジタル機器を使って具体的に何をアップロードしているのでしょうか。不思議な気がしませんか?

子供は親の背中を見て育つと言います。もし、自分の子がスマホから情報を受け取るばかりで、自分から発信するという姿勢に欠けていたら、親として何をすれば良いでしょうか。単に子供に説教するより、自らお手本となるように発信したいですね。親としてできることは・・・

1. フリーウェア(コンピュータープログラム)を自作してウェブで公開する
2. 自分が作曲した曲を演奏してアップロードする
3. オンライン俳句会に参加して自分が詠んだ句を発表する
4. 恋ダンスを踊ってYouTubeにアップ(初めて踊ってみた♪)

IT技術者でもない限り、自作アプリを発信できる親はいないでしょう。ましてや中学生がスマホアプリを自作できますか?毎週音楽を作曲できるような才能がある人はプロのミュージシャンです。俳句が好きな人はpoetryを発信可能ですが、それを見た子供(中学生)が俳句に興味を示すかどうかは別問題です。日本には中学生ユーチューバーは確かにいるのですが、毎週コンテンツをアップするのは大変でしょう。

How often do you use digital devices for the following activities outside of school?
- Uploading your own created contents for sharing (e.g. music, poetry, videos, computer programs)
冷静に考えてみて、識字率もPISA平均点(science, mathematics)も低い国の15歳が実際に何を発信できるのでしょうか?

現実的には、ソーシャルネットワーキングサイトに写真や日記をアップロードしているだけだと思います。早い話が、単にブログ更新です。日本の子どもたちはコンテンツ発信が苦手と言いますが、働き盛りの20代・30代の社会人がデジタル機器を使うときもネットコンテンツの消費が圧倒的であり、コンテンツ発信なんて滅多にしませんよ。この記事を読んでいる方の中で、今年になって自分で創作した音楽、詩、動画、プログラムをアップロードした人、いらっしゃいますか?

今時の若者は○○だと上から目線で批判したい人が、国際ランキングで日本が最下位という記事を見て飛びつきたくなったのも分かりますが、これこそメディアリテラシーを論じる好材料ではないでしょうか。PISAの生データは信頼できる情報源ですが、それを加工した二次データを解釈する時には注意が必要です。

諸外国に比べて日本が遅れていたり劣っている事を示唆する記事、すなわち読者の危機感や不安を煽るような記事は商業的に需要があります。一方、日本の15歳のPISAスコアはScienceが2位、Mathematicsが5位、Readingが8位です。おおむね世界のトップクラスですよ。日本の生徒は宿題をするときデジタル機器の使用頻度が低いのですが、それが原因で科学や数学の順位を落としているわけではありません。さらに、PISAのScience、Mathematics、Readingで1位を独占したのはシンガポールですが、「デジタル機器で創作物を発信するか」というランキング(図)では真ん中よりやや下です。決して上位組ではありません。


川柳も 自分で詠めば 創作物
これは今作った川柳です。自分で考えて創造することができました。これにより、私は恐ろしい状況から脱しました(笑)。もし、中学校の教師が生徒に毎週1回川柳を作らせ、携帯やスマホを使ってブログに投稿するよう指導すれば、「デジタル機器で創作物を発信するか」というランキングで日本は一気に順位を上げることができるでしょう。3年後のPISAが楽しみですね。

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