モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

初めての透明水彩

2017-08-21 22:34:29 | 大人 水彩

上段左 西井 / 上段右 村中
下段左 岸 / 下段右 白仁田
 

どうも幸介です!本日は大人クラスより、水彩画のご紹介。本日ご紹介する4名とも、入会されて一年未満、基礎のデッサン後に挑戦された作品です。皆様デッサンで吸収した技術をしっかりと反映し、一枚の絵として完成度がとても高いです。学生クラスの生徒のお手本にしたいような作品ですね!

西井さんの作品は、厚く重ねられた木々の濃淡が、空の明るさを引き立てています。そしてこれだけ多くの緑を使っていながら、画面が単調になっていないのが素晴らしいですね!ひとつの絵の中に、明度も彩度も色相も違う、バリエーション豊富な緑をこれだけ使えるのはすごい…!小屋も反対色の赤の色調で、木々の緑に対してとてもいいスパイスになっております。一見色の幅の少ないように見える作品ですが、実際はすごく色彩豊かな作品ですね!

村中さんの作品は、透明感・瑞々しさ、そしてそもそもコップのデッサンがしっかりとしています。背景の白が透けるようなブドウの実は、その水分までも感じ取れますね。ブドウも少し半透明なモチーフで、グラスももちろん透明。透明水彩に適したモチーフではありますが、その透明感をここまで保つのには塗り過ぎずに紙の白をキープしなければなりません。そのおかげか、透明なものの美しさをダイレクトに感じます。とてもバランス感覚が良い作品だと思います。

岸さんの作品は、初水彩静物でまさかの貝殻!しかもチェックの布に、透明なビンという、すごくハードなモチーフでした。鮮やかなチェック、貝殻の細かな起伏と暖色の表面、そしてビンという、描きこみ過ぎてしまえばしつこくなるようなモチーフを、実在感がありながらも爽やかに仕上げたのは素晴らしいなと思います。今も水彩を制作されていますが、きっと水彩が合ってると思います。そして、「岸さんなら大丈夫!」と思って、いつも難しいモチーフ提案してすみません。

白仁田さんはご夫婦で通われていますが、こちらは奥さんの作品ですね。唐辛子の束な感じ、といいますか、実のそれぞれ微妙に異なる意匠の描写が繊細なのに、バラバラにならずにひとつのまとまった「束」として描かれています。ついつい細かく追ってしまいがちなのに、この纏まり感は凄いですね!重さも、立体感も、味も感じます。持った時にするであろう音も感じます。デッサン力をこれでもか!と水彩に発揮された作品ですね!

ということで、ぜひまた水彩画を制作していただき、もっと皆さんの作品を見てみたいなと思いました!

ちなみに水彩絵具には、不透明水彩と透明水彩の2種類があります。
皆さんが小学生の時に使用していた水彩絵の具は、不透明水彩です。大人がこの絵の具を使い重ね塗りをすると、絵に厚みが増し重厚な表現が可能ですが、にごった印象になるのも否めません。
一方、今回ご紹介した皆様の作品で使用されている透明水彩は、定着成分が強く上に別の色を重ね塗りしても、下に塗った色がセロファンを重ねたように透けて見えるのが特徴です。
また、透明水彩における水彩画は、白の絵の具を使わない画法です。透明感のある美しい水彩画は、物に光が当たっているところは塗らず(もしくは薄塗)に、紙の白さを生かす技法によって生み出されます。
その為、光が当たって明るく見える部分に色がにじんでしまったら、綺麗な綿布やティッシュで押さえて吸い取りましょう。透明水彩絵の具が持つ輝きをアピールするには、紙自体が持つ白さを生かすことが必須なのです。絵の具を重点的に置くのは、主に影の部分だけであること。まずはこのことを念頭に、水彩画を描いてみると良いと思います。

まだ水彩画を描いた事がないという皆様も、チャレンジお待ちしております!!


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