モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

アンデルセン挿絵4

2017-05-04 00:14:59 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 上段左から 秀磨 操希 彩乃 愛莉 唯香

第十六夜

また別の日の晩、
『イタリア喜劇の、ピエロのポロンシオンを知っています。』
と、月は話し出しました。
『彼は、身振りひとつひとつまでもがおもしろく、彼が現れると劇場は、爆笑のうずにまきこまれます。それは、彼の生まれつきの素質なのです。
彼は、背中に一つ、胸に一つ、こぶがついています。しかし、清らかで美しく、豊かな心を持っていました。もし、顔や体形が美しかったら、一流の役者になっていたことでしょう。
けれども、彼はピエロでなくてはいけないのです。彼が真面目に演じることが、逆にお客さんを笑わせるのです。
恋人役の女優であるコランビーネは、彼に優しく親切でした。しかし、コランビーネは結婚相手に同じピエロのアーレキノを選びました。コランビーネがポロンシオンと一緒になったら、美女と野獣の組み合わせで、それこそおもしろいことになったでしょう。
コランビーネが婚約してからポロンシオンはすっかり落ち込んでしまいました。
彼が少しずつ明るい顔を取り戻すと、彼女は彼をからかいはじめました。
「あなたが、なぜ落ち込んでいるのか、私にはちゃんとわかっているのよ。」
と彼女は言いました。
「あなた、恋をしているからよ。」
彼は思わずふきだしました。
「おれさまが恋をしているだって!」
と彼は大声をあげました。
「そりゃまたゆかいな話じゃないか。さぞかしお客がおもしろがるだろう。」
と彼は言いました。
「恋をしているからよ。」
と彼女はつづけました。
そして、おどけ半分に、悲しそうなふりをして見せながら言いました。
「あなた、恋をしているんだわ。この私に。」
彼は、笑いころげました。しかし、彼女の言っていることは当たっていたのです。彼は、彼女を深く愛していました。彼は彼女の結婚式の日、夜ひとりになると、声をあげて泣いていたのです。
ところがその後、コランビーネが突然亡くなりました。
葬式の日、夫のアーレキノは舞台に出なくてよいと言われました。
そのため、ポロンシオンは舞台がさみしくならないように、にぎやかにしなくてはなりません。彼は、悲しみで胸いっぱいになりながら踊り、はしゃぎました。彼の芝居は、本当にすばらしいものでした。沢山の拍手と歓声をあびました。
そして夕べの事です。彼は、コランビーネの墓の前にうずくまり、かたひじついて私(月)を見あげていました。なにやら、きみょうで、こっけいで、まるで、墓場のポロンシオンとでもいう名の記念像のようでした。観客が見たらきっと拍手をして大かっさいして歓声をあげたことでしょう。』

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