アトリエ 籠れ美

絵画制作、展覧会、美術書、趣味、その他日常の出来事について
平成27(2015)年5月4日より

ホルべインの色味

2016-12-02 06:40:34 | パレット
 私は現在、油絵具はクサカベを、透明水彩絵具はホルべインを使っている。油絵具も以前はホルべインを使っていた。そこで前々から不思議に思っていたのだが、油絵具、透明水彩、共にその色味はホルべインのものが好きなのはどうしてなのか。

 ようやくその謎が解けた。ホルべインは日本の日曜画家たちから毎年アンケートを取っていて、それを参考にしているためだった。つまりホルべインの色味は日本人の好みの色合いになっている。なるほど、そういうわけか。そうした地道な企業努力は高く評価したい。

 さて実は私は、今の文房堂の油絵具の色味も結構好みだ。文房堂は日本初の油絵具を発売した老舗。やはりこちらも日本人の好みの色を熟知しているということなのか。

 というわけで、現代の我々日本人の好みの色合いを知りたかったら、ホルべインの絵具を使うのがよい、というわけです。
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マツダ クイック油絵具

2016-09-09 06:15:31 | パレット
 24時間で指触乾燥するという、画期的な速乾性油絵具。それが松田油絵具株式会社から発売されている「マツダ クイック油絵具」なのだが、これを使って描くと実に不思議な画面ができあがる。

 私が前に属していた公募美術団体の東京支部展で、支部長の描いた油絵が実に妙な画面だった。艶がなく、つるんとしていて、はんぺんみたいな絵肌なのである。気になってそれとなく支部長に聞いてみると、マツダのクイックを使って描いたと答えてくれた。

 支部長はもともと水彩画を描いていたとのことで、本展ではその水彩画で受賞したこともあるのだが、後に油絵を描くようになり、その乾燥の遅さに困ってクイックを使うようになった、ということらしい。

 艶がなく、つるんとした、はんぺんみたいな絵肌の油絵を見たら、それはこの「マツダ クイック油絵具」を使って描いたと思っていいのだが、しかしまあ百聞は一見にしかずで実に妙な感じだ。一度見たら忘れられない。

 画材店ではごく普通に見かけるので、結構売れているはずだ。一度使ってみたい気もするのだが、特に乾きの遅い黒色などで試してみたいのだが、あの独特の絵肌にはどうしても抵抗があって使えずにいる。しかし使い方次第だから、何かうまい手はないものか。

 この「マツダ クイック油絵具」については、愛用者の使い心地をぜひ聞いてみたいところ。きっと何か参考になる意見が聞けるはずだ。
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大地の油絵具(マイメリ)

2016-09-02 06:18:08 | パレット
イタリアン ナチュラル アース カラーズ
大地の油絵具 全11色 9号(60ml)
均一価格 各税込893円(本体850円)
マイメリ社(イタリア)

 この「大地の油絵具」が日本で発売されてどれぐらい経つのだろうか。5年は経っていないような気がするが、まだ世界堂新宿本店では売られていることから、ある程度の需要はあるらしい。
 私が使ったことのある色は以下の4色。それぞれの色がどんな色かわかりやすく()内に記してみました。

 イエローアース・ベローナ(イエローオーカー)*写真
 グリーンアース・ベローナ(ティールベルト)
 ベネチアンレッド・アース(ライトレッド)*写真
 ブラウンアース・フローレンス(バーントアンバー)

 このうち現在も使っているのは写真の2色だけで、他の色はこのブログを始める前に使い切ってしまったので、どんな使用感だったかあまり記憶にありません。写真の2色についても、使い切ったら再び買うつもりはありません。そこで今のうちにその使用感について書いておこうと思います。

 残念ながら私は他のマイメリのシリーズを使ったことがないので、その違いを知りたかったという人にはごめんなさいというしかありませんが、この「大地の油絵具」を使ってみて特別に不都合は感じませんでした。

「分散させたピグメントの粒子サイズは一般の油絵具より大きく、そのペーストは濃く、仕上がりはより不透明で、そして自然な色調を再現し塗膜はより厚い仕上げになります」

 と「大地の油絵具」の無料のチラシには書いてありますが、私のように溶き油を多めにして使ってしまえば、それも関係ありません。ですから、この「大地の油絵具」の特徴を生かしたかったら、豚毛でそれもあまり溶き油をつけずに厚塗りするに限ります。そうするときっとざらついた独特のマチエールになるのだと思います。

 量の割には安価なのでその品質が気がかりな人もいるかと思いますが、そんな心配は無用です。このシリーズの中に大量に使う色があるなら、試しにその色を買って使ってみるのを薦めます。

 そうですねえ、私が使った上記の4色で特にお薦めというのはありません。なぜ私が写真の2色を使い切ったらもうこの「大地の油絵具」を買わないのかというと、わざわざこのシリーズを使う理由がないからです。別に悪くないし、何の不満もないんですが。ひょっとしたら、私の使った4色以外に何か特徴的な色合いのものがあるのかもしれません。

 他の色を使う機会があったら、そのときにまた記事にしたいと思います。
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ランプブラック

2016-06-30 06:18:20 | パレット
 油絵具の黒と言えばアイボリーブラック。動物の骨が原料だから腐るという。腐ると言うことはこの絵具を使った画面に黴が生えるということである。幸い私はそのような目に遭ったことはないが、日本のように湿度の高い環境では確実に黴が生えるから使わない方がいいとされる。しかしながらこのアイボリーブラックは日本で使われ続けているわけで(画材店で売られ続けているわけで)、そんなに気にする必要もないと思うのだが、詳しくないので何とも言えない。

 さて私は当初アイボリーブラックを使っていたのだが、ライトレッドやオキサイド・オブ・クロミウムなどの不透明性の強い色を暗くしようとして、このアイボリーブラックを混ぜてもなかなか暗くならない。かなりの量を混ぜないといけない。これが結構手間でついに業を煮やし使い始めたのがランプブラック。確かに私はこのランプブラックで満足した。ただし乾燥が異様に遅い。ごく少量でも効果があるから満足なのだが(その強さはチタニウムホワイト並み)、こうも乾きが遅いというのもいかがなものか。

 そういうわけで今度はマルスブラックを使い始める。乾燥も早く、ランプブラックほど強烈ではなく使いやすい。実は、まだ使い始めて日が浅いのだが十分満足できるので、今後は黒はマルスブラックになると思う。

 顔料でいうと、アイボリーブラックは「PBk9 ボーンブラック」、ランプブラックは「PBk7 カーボンブラック」、マルスブラックは「PBk11 酸化鉄黒」となる。クサカベのホームページのQ&Aによると、ランプブラックはもう少し使われていい色だと書いてある。ということはそれほど売れてはないということか。やはり乾燥の遅さが敬遠されたか。

 残念ながら、私は油絵具の黒はこの3色しか使ったことがないので、他の黒、つまりブルーブラックやピーチブラック、については何も書けない。もし使う機会があったらぜひその使用感について書きたいと思う。


 付)油絵では白に次いで重要なのは黒なのだが、黒の油絵具は白と違ってその使い分けがわかりにくい。私も油絵具の黒の使い分けがよくわかりません。市販のチューブ入りはどれも汚くて使う気がしない、なんて人もいます。そうなると自作するしかなくなってしまう。市販のものでは実はどの黒も色味に大きな差はないのかもしれません。「WHITE&BLACK マツダ・専門家用油絵具」という、折りたたんである小さな無料チラシから抜粋、要約すると

 ランプブラックは粒子が大変細かく、隠蔽力、着色力は一番強い。色相は深黒色で、底色は青みを帯びた冷たい感じの堅牢色。混色で使い過ぎると多少煤っぽくなる。

 アイボリーブラックは粒子が粗く生産に時間がかかる。色相は黒でも底色は赤味があり、暖かい感じのブラック。ランプブラックに次ぐ着色力。

 ブルーブラック(別名バインブラック)は葡萄の樹皮、枝などを蒸し焼きした植物性黒色顔料が主成分。隠蔽力、着色力はピーチブラックよりはやや大きい。色調は冷黒調に属するが、青みは弱い堅牢色。

 ピーチブラックは隠蔽力、着色力が一番弱い。色相は冷黒調で、薄くのばした色は青みを帯びた堅牢色。白との混色では濁らない灰色作れる。

 こう書いてある。何かの参考になれば幸いです。
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シルバーホワイト

2016-05-24 06:40:55 | パレット
 油絵具の白と言えば、「パーマネントホワイト」「チタニウムホワイト」「シルバーホワイト」「ジンクホワイト」の4色だろう。このうち私はジンクホワイト以外なら全て使ったことがある。

 さて混色制限を避けるため、最初はパーマネントホワイトを使う人が多いと思う(私もそうでした)。これで済むなら何も悩まないのだが、このパーマネントホワイトにはたった一つ問題点がある。それは妙な分厚さである。使い続けているとこれが気になり出す。どうして分厚いのかはわからないが、とにかく都合が悪い。これが気にならなければずっとパーマネントホワイトを使って構わないと思う。使い勝手もいいし、色味も悪くない。

 パーマネントホワイトの妙な分厚さが気になり、他の白を使おうとするときから、白の遍歴が始まる。どれを使ったらいいのか、これが悩ましい。ジンクホワイトは上塗りの調色時にしか使えないとされるし、シルバーホワイトは混色制限が気になる。というわけで、チタニウムホワイトを選ぶことになる。ところがこの色は効きが良すぎて、ごく少量で効果があるから便利と言えば便利なのだが、それはそれでちょっと使い勝手が悪かったりする。つまりは色が強すぎる。

 というわけで今度はシルバーホワイトを用意することになる。ウルトラマリンとの混色による黒変などは、現代の精製技術では気にしなくてもいいようだし、使ってみるかということなる。ところが今度はチタニウムホワイトほど効きが良くないため、それはそれで良かったりするのだが、もう少し効きが良かったらなあと思ったりもする。だからシルバーホワイトにチタニウムホワイトを混ぜて使う人も少なくない。つまり白を2色用意することになる。

 ここで一つ留意点がある。チタニウムホワイトはメーカーやシリーズによってはジンクホワイトが混入されていて、その場合は下塗りには使えない。例えばクサカベのチタニウムホワイトは下塗りに使えるが、クサカベ・ミノーのチタニウムホワイトは下塗りに使えない(つまりジンクホワイトが混入されている)。

 要するにあれこれと難しい。話を掻き回すようだが、東郷青児の自作カンバスにはジンクホワイトが使われている。一年間乾燥させてから使ったそうです(「美の巨人たち」で知りました)。だからジンクホワイトと言えども使い方次第。危険と言われるジンクホワイト下地のカンバスでも、その上に東郷青児ぐらいのごく薄い塗りで描くなら問題ないということになる(決して推奨はしませんが)。ちなみに東京都新宿区の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館へ行けば、東郷青児の油絵が常設展示されているので、いつでも見ることができる。興味のある方は一度確認しに行くといい。

 で結局どうするのか。繰り返しになるが、チタニウムホワイトとシルバーホワイトの2色を揃えている人も少なくなく、かつて私もそうしていたが、やはり2色用意し、使い分けたり、混ぜたりするのも面倒臭いので、現在私はシルバーホワイト1色だけを使っている。これで別段不都合はない。確かにチタニウムホワイトほど効きは良くないが、そもそも効きすぎる白は私には必要がない。それとシルバーホワイトで重要なのはその厚さである。油絵に厚みを出そうと思ったらシルバーホワイトを使うのが一番良い。パーマネントホワイトでは分厚すぎる。

 どの白を使うかはその人次第である。私自身、白色にそんなにうるさい方ではないのだが、それでもどれを使うかで苦労した。白にこだわる人なら、なおさら悩みは深いはずだ。青色の場合、迷ったらコバルトブルーにしておけばいいのだが、そんな風に白色の場合は言えないのがつらいところ。ただ確実に言えるのは、昔から油絵の白と言えばシルバーホワイトを指した。だから古典絵画に興味があるとかないとかとは別に、この色を一度使ってみる必要がある。どんな感触なのか、使い勝手はどうなのかを確かめておく。そしてできればある程度使って慣れておくのが望ましい。油絵を描く者の教養、嗜みとしてそれが必要だと私は思っている。
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オキサイド・オブ・クロミウム

2016-04-23 06:40:42 | パレット
 油絵具の代表的な緑として「ティールベルト」「ビリジャン」「オキサイド・オブ・クロミウム」の3色を取りあげる。私はこの3色なら使ったことがある。残念ながら他の緑色は使ったことがないのでここでは扱わない。

 さてこの3色のうちビリジャンしか使ったことがない人も多いかもしれない。というのも緑色を作るのにこのビリジャンにカドミウムイエローを混ぜるのがよく知られている方法だからだ。しかしビリジャンの代わりにオキサイド・オブ・クロミウムを使う方が私は好きだ。その方が私には自然な緑色に見える。まだ試したことがない人は是非試してほしい。耐光性、堅牢性共に引けを取らない。

 ティールベルトは渋い緑色で日本人好みだと言われる(確かに私も好きだ)。厚塗りするとひび割れするという話があるが、厚塗りしたことがないので私にはわからない。古来のティールベルトは顔料がPG23(天然緑土)のみだったせいもあり、色褪せて今では黒ずんでいる。しかし今のティールベルトは顔料がPG23(天然緑土)だけのもあるが、天然緑土を使わずに似せているのもある。例えばクサカベは、PB27(紺青)、PG18(ビリジャン)、PY43(天然黄土)、PW4(酸化亜鉛)の組み合わせだし、マツダスーパーはPG7(フタロシアニン)のみだ。私はティールベルトに関しては、こうした似せてある色の方が耐光性で優れているだろうから、敢えてこちらを使う手もあると思っている。

 ビリジャンはその透明性を最大限に生かしたいし、オキサイド・オブ・クロミウムはその不透明性を最大限に生かしたい。だから前者は混色せずにそのまま使い、後者は混色でその威力を発揮させるのがいい。ティールベルトは渋い色合いだけに、はっきりしない、ぼやけた色調にならないように注意しないといけない(だから実は使い方が難しい)。

 この3色のうち1色だけ選ぶなら、オキサイド・オブ・クロミウムを推す。私は緑色はこの1色で済ませているし、それで別段不都合はない。この色、案外使ったことがない人が多いような気もする。もし使ったことがなければ、一度使ってみてほしい。使い勝手の良さに気づくはずだ。
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イエローオーカーライト

2016-03-14 08:11:41 | パレット
 油絵具のパレットで欠かせないのがイエローオーカーだとされるが、私のパレットには長らくイエローオーカーはなかった。代わりに使っていたのがイエローオーカーライト。そんな色ありましたっけ、という方も意外と多いんじゃないだろうか。画材店の油絵具コーナーへ行けばちゃんと置いてあります。

 ではこの2色、どう違うかと言うと、顔料がイエローオーカーはPY43(天然黄土)で、イエローオーカーライトはPY42(合成酸化鉄黄)である。ということは、イエローオーカーが半透明であるのに対して、イエローオーカーライトは不透明である。乾燥速度、耐光性、堅牢性は共に同じであるが、色味は似て非なるもので、イエローオーカーはいわゆる黄土色、土っぽい黄色であるのに対して、イエローオーカーライトは、イエローオーカーよりも明るく(だからライトと言うのだが)、からし色である。

 私がなぜイエローオーカーでなくイエローオーカーライトを使っていたのかというと、不透明であることと、黄色としても使えるからだ。もちろんイエローオーカーも黄色の代わりになるが、イエローオーカーライトの方がより黄色に近い。

 さて私が使ったことのある黄色は、イエローオーカー、イエローオーカーライト、カドミウムイエロー、オーレオリンの4色(残念ながらクロームイエローは使ったことがなので、この記事では扱わない)。この中で唯一の透明色がオーレオリンである。かなりしっとりとした感触で、色味はカドミウムイエローと変わらない。使ってはみたものの、私はあまり必要性を感じなかった。だから今は使っていない。

 問題はカドミウムイエローで意外と使い勝手が悪いことに気づいた。混色するにはいいが、単独では妙に使いづらい色味で、あっさりしているといか、品が良すぎるというか、もう少し濃くないと単独では使えない。だから単独で黄色として使えるイエローオーカーライトを私は選び、イエローオーカーもカドミウムイエローも使わずにきた。

 ところが最近、イエローオーカーライトではなくイエローオーカーを使うことにした。というのは私の場合、不透明のイエローオーカーライトではなく、半透明のイエローオーカーの方が使い勝手がいいとわかったからだ。私が求めるのは不透明ではなく、半透明の黄色というわけだ。

 イエローオーカーで困るのは、高価なものだと色味が白っぽくなり、黄色味が弱くなってしまうことだ。クサカベGUILD(ギルド)のイエローオーカーがそうで、買って使ってみたがこれでは困ってしまう。使ったことはないが、ホルべインYUICHI(由一)のイエローオーカーも色見本を見る限りだが、これも白っぽい感じだ。だとしたら、やはりこれも使えない。

 もし不透明でイエローオーカーのような土っぽい黄土色を探している方がいるなら、つまり「イエローオーカーライトは不透明だから使っているが、色味はからし色ではなくイエローオーカーのような土っぽい黄色がいい」というなら、文房堂のイエローオーカー(旧文房堂絵具、現ハルゾーではなく、今現在の文房堂絵具)を使ってみるといい。この文房堂のイエローオーカーは顔料がPY42(合成酸化鉄黄)であるにも関わらず、色味はPY43(天然黄土)である。実際に使ってみて、おお、と内心喜び、にやにやしていたのを思い出す。

 何のことを話しているのかよくわからない(何でこんな話をしているのか全く興味を持てない)という方もいるかもしれませんが、黄土色は油絵具の基本色であるだけに奥が深い。まして私のように油絵制作で最も使用頻度が高い絵具が黄土色である場合、どうしてもこだわざるを得ない。

 もしイエローオーカーは使っているが、まだイエローオーカーライトは使ったことがないという方は、ぜひ一度イエローオーカーライトを使ってみましょう。色の表現の幅が広がることは間違いなしです。
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セルリアンブルー

2016-02-01 06:42:06 | パレット
 2004(平成16)年3月27日放送の「美の巨人たちスペシャル 世界を巡る危険な色 “プルシャンブルー” 」によると、フランスの画材店では青の油絵具だけで30種類はあるという。画材メーカーの技術博覧会といったところだが、まあそれはそれで結構だが、使う側からすると全く実用的でない。少なくともそんなに種類は要らないことは確かだ。

 さて代表的な青色としては、ウルトラマリン、プルシャンブルー、コバルトブルー、セルリアンブルーの4種類が挙げられる(ここで取り上げるウルトラマリンは天然ではなく人工)。ひょっとしたら人によってはこの4色を使い分けているかもしれないが、そういう人でも主力として使うのはこのうちのどれか1色だろう。その色はどれか、どれにするのか。

 それを決める簡単な方法がある。それは白を混ぜたときの色だ。その気に入った色を使うのがよい。というのも青という色は白を混ぜて使うことが多い。その代表的な例が空の色だ。ここで好みがはっきり分かれる。

 私は白を混ぜたプルシャンブルーの色がどうしても好きになれない。ウルトラマリンとコバルトブルーは白を混ぜたときの色は非常に似ているが、厳密にはウルトラマリンの方が澄んでいて美しい。セルリアンブルーは白と混ぜても特に不満がない。というわけで私はウルトラマリンを使いたいのだが、いかんせん乾燥が遅い。昔にウルトラマリンとチタニウムホワイトを混ぜた色を風景画の空に使って、その乾きの遅さに閉口したことがある。真冬で3週間待った、いや待たされた記憶がある。

 そんなわけで私はコバルトブルーを使っている。多くの人がコバルトブルーを使っている。乾燥は速いし、堅牢だし、耐光性も十分、言うことなしの色だ。しかしもし青色にこだわりがなく、大して期待もせずほとんど使わないけど、一応1色は持っておきたいというなら、セルリアンブルーが最強の味方になる。この色はコバルトブルー同様、耐光性も堅牢性も高い。そしてその最大の特徴は半不透明性にある(透明、半透明、半不透明、不透明の4段階に分けた場合、ちなみにコバルトブルーは半透明)。加えて青色で唯一赤味を含まない純粋な青色でもある。

 これが、私がウルトラマリン、プルシャンブルー、コバルトブルー、セルリアンブルーの4種類を使って得た見解である。もし自覚的にセルリアンブルーを使いこなしている人がいれば相当通である。青色をあまり使わない私もそうしたいところだが、もともとの色味がコバルトブルーのように濃くないので、若干不安があってどうしても踏み切れないでいる。

 別にコバルトブルーでいいじゃんとか、安いし乾燥が速いからプルシャンブルーでいいやとか、考え方はさまざまである。しかし昔と違って今の時代、青が高嶺の花でなくなった以上、自分なりの見解は持っておくべきだと思っている。基本色が4種類もあり、それぞれ色がはっきり違うのは青色ぐらいである。それゆえ悩ましい。とはいえ迷ったらコバルトブルー、これだけははっきしてますが。
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カドミウムレッド(油絵具)

2015-12-15 08:09:07 | パレット
 油絵具の赤と言えば、バーミリオンとカドミウムレッド。問題はどちらを使うか。もちろんどちらを使っても差し支えないが、バーミリオンは変色するとか言われているし、値段も高価だ。バーミリオンの変色については、現在の精製技術ではまず大丈夫らしいが、全く変色しないとも言い切れないようで、それを回避するためアリザリンクリムゾンを上塗りしておくのが古来からの方法だ。
 じゃあ、めんどくさいからカドミウムレッドでいいや、というわけにもいかないなら話がややこしい。カドミウムレッドは混色時の安定性が弱いらしい。つまりカドミウムレッドと他の色を混ぜて作った色は変色しやすいらしい。これは「美術書全般、美術番組」のカテゴリーで紹介した「絵画の技法」という本のP80、81の表1に書いてある。
 嘘か本当かはわからない。私自身、そんな話はこの本で初めて知った。でもウィンザー&ニュートンの無料のカタログ(写真参照)、これは随分昔に世界堂新宿本店でもらってきたものだが、これによると改良された色一覧表にカドミウムレッドがあり、その改良理由として「色の強度を向上させることで、以前よりも高い着色力と隠蔽力を実現するため」とある。ということはやはりカドミウムレッドは混色時の安定性が弱いことになるのかな。
 じゃあどっちを使ったらいいんだ? という話になる。単色で使うならカドミウムレッドで、混色するならバーミリオンを使う? つまり2色用意すると。実際にそうやっている人もいるんじゃないかという気もするが、そういう話は聞いたことがない。私自身は両方使っことはあるが、特にどちらも使いづらいということはなかった。バーミリオンの変色も、カドミウムレッドを使った混色の変色も、長い年月が経ってみないとわかりませんし、少なくとも今のところはありません。
 悩みだすときりがない。でも気になる。私個人の意見としてはバーミリオンを使う方が無難かなと。ただし高価だし、どの市販のチューブ入り油絵具も顔料比率はそう高くはなさそう。お金持ちだったら、クサカベ・ギルドシリーズのバーミリオン(商品名ブリューゲル レッド)を使うのが一番良さそう。顔料比率は77%だけど、何と定価は6300円! 一度使ってみたいけど、とても高くて買えません。
 バーミリオンとカドミウムレッド、一般的にどちらが多く使われているのか興味がある。いったいどっちが使われている、つまり売れているんだろうか、うーむ。

 付)では私自身は現在どっちを使っているんだというと、実はどちらも使ってません(ええーっ、てこれは本当の話)。もういいんです、私は。赤は赤茶で代用してます(つまりライトレッドの類)。それで十分間に合ってます。っていうか、バーミリオンもカドミウムレッドもあんまり使っていないことに気づいてから、両方とも自分のパレットから排除してしまいました。別段それで不都合もありません。もしどうしても赤茶でなく、赤が必要になったら、そのときは買うつもりでいます。いいんだ、もう、別に。
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