新鹿山荘控帳

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濱 嘉之「警視庁情報官・ブラックドナー」

2012-11-15 18:02:02 | 読書
話題の警視庁情報室長・黒田純一警視を主人公の警察小説の最新刊です。これは文庫描き下ろしです。濱嘉之には他にも警視庁公安部・青山望などいくつかありますが、私は黒田警視シリーズが好きですね。どちらかと言えば。

情報官シリーズは本巻で4冊目になりますが、前作で警視庁本部襲撃と言う驚くべき事件解決をしたので次作ではどのような事件を見せてくれるのか、期待と心配もあったのですが。

本作の事件は、国際的な臓器移植密売ルート解明がテーマです。アメリカ、中国、フィリピンと捜査の舞台は広がっていきます。
濱嘉之の小説は、登場人物や団体などを実在のものと想像してつい重ね合わせてしまいますが、本作でも大量の新鮮な臓器提供が某国で国家的な規模で行われていると書かれています。
「信じるか信じないかはあなた次第」と言われてしまいますが、最近のニュースを見ているとさもありなんと思ってしまいます。

その国際臓器提供シンジケートに政治家や暴力団などが絡み、さらに大統領選挙を控えたアメリカのFBIが国家の事情で捜査をしてきます。
さらにさらに次から次えと別の国々が絡んできます。私たち一国民は付き合いたくもない、恐ろしい世界があります。

一方、主人公の黒田警視の大活躍は世界の情報機関が一目を置くようになってきているのですが、当然馬鹿な組織のグループが黒田を襲わないのか心配していたのですが、本作品でとうとう襲撃され瀕死の重傷を負います。

黒田警視の入院中も彼の情報室は、部下たちが捜査を進めていきます。
警察組織の中で、新人を教育するといった当たり前のことでなく、そう言うことができるように彼は部下(この場合の部下は、警部や警部補のことです)を育て上げる仕事も上級幹部から命令されているのです。そのことが、彼の入院不在の中でその成果が出てきます。

コツコツ事件を解決する探偵タイプの警察小説が多いなか、異色の警察小説です。

もちろんそうはいっても、杉下警部殿!も好きです。でもさらに言えば、黒田警視はその警部や警部補を多数部下にしているのですから、この警察小説の異色さがわかりますでしょ。


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