囲碁日記:明日への一打

囲碁上達を夢見る一アマチュアの日記です。

「采配」

2014年09月11日 23時36分37秒 | 棋書
落合博満著「采配」を図書館から借りて読んだ。

プロとして厳しい、一本筋の通った考えが語られていると感じた。
これらは何もプロ野球の世界に限った話ではないと思った。
説得力があると感じたし、感動する部分が多かった。途中涙がでそうになるところもあった。

「前向きにもがき苦しむ経験は、すぐに結果に結びつかなくても、必ず自分の生きる力になっていく」
また、「今日経験したことの復習が大事」とも書かれており、「自分は不器用だと自覚している人ほど、しっかりと復習」して「一度身につけた技術を安定して発揮し続ける傾向が強い」ともある。

「普段から目の前の仕事にベストを尽くすこと」
自分では頑張っているつもりでも評価されないと感じることはよくあることだと思う。
それは「どうしても使う側と使われる側に考え方の違いがある」からであり、「自分だけができるつもりになるのではなく、『誰が見ても試合でできると思えるレベル』まで、自分のパフォーマンス(仕事の質)を高めていくしかない」とのことである。

「仕事の場面においては、契約はすべてに優先する」
日本の社会のよくない部分として、「『国のため』、『世界一になるため』などという大義名分があると、組織図や契約を曖昧にして物事を決めようとする」ことが挙げられている。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督を要請されて断った理由や、オリンピックやWBCの選手選考に関する落合氏の考え方が書かれているのだが、「行動を起こす際には、『自分はどこと契約しているのか』『自分の仕事は何なのか』をしっかり見据え、優先しなければならない」という一文には、確かにそうだなと考えさせられた。

「情報管理こそ監督の仕事」
ファンには応援している選手の情報を知る権利があり、メディアにはそれを伝える義務があるという意見に対して、「プロ野球選手にとって体は商売道具であり、それがどういう状態にあるのかは最重要情報である」と反論している。
また、「全治6か月」や「今季絶望」という表現で自分の状態を報じられた選手がどんな心境になるかまで思いを巡らせば「コンディションに関する情報の公開は傷口に塩を塗り込むようなものだと言えるだろう」と書かれている。
「情報を公開するのか隠すのか、その線引きは実に難しい」としつつ、「メディアが『ファンの要望』を盾にするのなら、私はあくまで選手を守りたい」という思いに心を動かされた。

「自分を大成させてくれるのは自分しかいない」
「誰からも押しつけられたのでなく、自分自身で自分の野球(仕事)を考える」ことが大事で、「自分の頭で考え、自分の体で覚える」ことによって「自分で自分を成長させた選手がレギュラーの座を手にしていく」とのことである。

「自分がいる世界や組織の歴史を学べ」
「どんな世界でも、その中で仕事をするのなら、その世界や組織の成り立ちから謙虚に学び、先輩たちが残した財産を継承していく姿勢が大切なのではないか」
「成功例だけではなく、失敗例もいくつかあるはずだから、歴史を学ぶことは、同じような失敗を繰り返さないことにもつながる」

「大切なのは、何の仕事に就き、今どういう境遇にあろうとも、その物語を織り成しているのは自分だけだという自負を持って、ご自身の人生を前向きに采配していくことではないだろうか」
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