Vばら (ある創作&つぶやき)

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ブレゲ No.160 (1)

2016-09-15 22:39:55 | つぶやき

 2年前の夏、プチ・トリアノンを訪れた時、非常に感動したのは、当時の時計が今もなお正確に時を刻んでいることだった。

↓  これがその時見た時計。まさに見学時間を表している。現役で動いている姿に驚き、しばらく時計の前から離れることができなかった。

↓  専門の時計技師が毎日、宮殿内の時計のねじを廻して時刻を合わせる。200年以上も時を刻む…当時の時計製造技術は、相当レベルが高かったと思われる。

 マリー・アントワネットは宮廷生活に欠かせないドレスや宝石、食器類等に最高級品を求めた。彼女が注文した品物の1つに「ブレゲ No.160」と呼ばれる懐中時計がある。別名「マリー アントワネットの懐中時計」とも言い、機械式時計の傑作品である。

↓  この方がスイス生まれの時計職人で、フランスで数々の高級時計を製造したアブラハム=ルイ・ブレゲ(1747年~1823年)。顧客はマリー・アントワネット、ナポレオンなどVIPがいっぱい。

 1783年、ブレゲの工房にアントワネットの礼賛者という謎の人物がやってくる。「どんなに費用と時間がかかってもいい。部品には出来る限りゴールドを用い、あらゆる最新鋭の複雑な機能を搭載した懐中時計を作ってほしい。」と依頼する。謎の人物はフェルゼンなのか、それとも実は王妃自身によるオーダーなのかは今もはっきりしていない。(アントワネットはブレゲの時計の熱烈なファンで、既にいくつか彼の時計を所有していた。)

 腕のいい職人が、お金持ちの顧客から「金に糸目はつけない、納品時期の指定もしない。とにかく良いものを…」と依頼されれば、喜びで奮い立ち「後世に語り継がれるような、一世一代の最高傑作を作ってやろう。」と意気込むに違いない。ではブレゲはどんな機能を持つ時計を作ろうとしたのか?ざっと挙げてみると、

・永久カレンダー機能…大の月(31日の月)、小の月(30日の月)、2月(うるう年を含む)を歯車が自動補正する。

・ミニッツリピーター…暗闇でもバネと歯車が、音で時を知らせる。

・パワーリザーブ表示…ぜんまいの巻き量を表示。今何時間分巻かれているかを針で表示する。

・均時差表示…1日の時間の誤差を表示する機能。

 他にもいろいろあるのだが、これだけ読んでいてもあの時代に、こんなスゴイ機能を持つ時計を作る人がいたことに驚く。

 「どんなに時間がかかってもいい」…のお言葉に甘え?注文を受けてから44年後の1827年、ようやくブレゲ No.160が完成。ところがこの時計を見たら一番喜ぶであろうマリー・アントワネットは、1793年に処刑されている。ということはブレゲはアントワネットの死後も、時計制作をやめなかったことになる、「こうなったらもう受取人がいなくても構わない。ただひたすら自分の思うとおりの時計を完成させるまでだ。」と思ったか?そしてブレゲ自身も時計の完成を見ずして、1823年に亡くなっている。彼の死後、弟子たちが4年かけて時計を完成にこぎつけた。

↓  これがブレゲNo.160。今見てもとてもモダンなデザインなので、ロココ時代のものとは思えない。クリスタルの透明な文字盤を使用しているので、中の部品が見えるのが何ともゴージャス。もしアントワネットが実際にこの時計を手にしたら、何と言っただろう?「セ マニフイーク!(素敵)」と感嘆の声をあげただろうか?

 読んでくださり、どうもありがとうございます。

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懐中時計 (伽羅)
2016-09-16 08:53:21
時計のムーブメントはきれいで・・・見ているのが好きです
手でねじを巻く置時計が祖母の部屋にありました
なぜか彼女が巻かないということをきいてくれない 気難しい時計だったようです

最近の時計はというと デジタルで ただ時間を確認するだけのもの・・という感じになってきています
私は特にブランド品には興味がないので・・・・初めて手にした腕時計は手巻き・・・時々裏蓋を開けて中をながめていました

この時計のムーブメントを見てそうそう・・・と思い出したのが最近修理に出した時計

近くのデパートでアンティーク時計の展示販売と修理があるというチラシが新聞に入っていたのを見て・・・ずっと前から何とかしたいと思っていた祖母の懐中時計を持参・・・その時に中を見せてもいました。
たぶん100年近く前のものですが 「動くようになりますよ・・半年ほど待ってください 順番待ちですから」と言われて 預けてきました

小さいころ いつも和装だった祖母が帯の間に入れていた懐中時計・・・見せてはくれましたが触らせてもらえなかった時計
復活して帰ってきたら毎日ねじを巻いて・・・と楽しみにしています
伽羅さま (りら)
2016-09-17 00:35:35
 コメントをありがとうございます。

 伽羅さま、素敵なエピソードをありがとうございます。読み終えてとてもほのぼのした気持ちになりました。

 最近は修理代が高いから、修理するくらいなら、新製品を買うことが多いですよね。(特に家電製品)そうなると当然、その品物に対する愛着は薄くなります。なんだかなあと思うこともしばしば。直すより買う方が安いなんて、変な気がします。

>たぶん100年近く前のものですが 「動くようになりますよ・・半年ほど待ってください 順番待ちですから」と言われて 預けてきました

「動くようになりますよ。」と言ってくれた担当の方の言葉が嬉しいですね。100年近く前の製品であっても、きちんと手を入れれば再び時を刻むことができる。順番待ちをしている間も、楽しみですね。時計が命を取り戻して、伽羅さまのお手元に返ってくる日を思えば、待つのは全然苦痛ではありません。

 時計に新たな命が吹き込まれ、伽羅さまに時を告げる日が来ることを、心待ちにしています。素敵なお話をありがとうございました。

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