どうなる幼保一体化<上>すべての子どもに“保育” : 育児ニュース : 育児ニュース : 育児ネット : 教育 子育て : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
どうなる幼保一体化<上>すべての子どもに“保育”「子ども家庭省」が一括、親の就労要件撤廃
お迎えに来た母親に「もっと遊びたいよ」とブランコから離れない幼稚園児(大阪府豊中市で) 政府の新たな子育て支援策の柱として、幼稚園と保育所の一体化が挙げられている。2013年度実施を目指しているが、現場や親には「何がどう変わるの」という戸惑いがある。来春の幼稚園入園説明会が9月から始まるのに合わせ、課題を探った。
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午後2時過ぎ、大阪府豊中市にある学校法人「あけぼの学園」の「あけぼの幼稚園・あけぼのっこ保育園」。幼稚園児のお迎えの時間だ。母親らがブランコや木登り遊びをしていた多くの子どもたちを連れて帰っていく。一方、一部の子どもたちは、部屋に戻り、積み木やお絵かきを始めた。こちらは保育園児だ。
あけぼの学園は、幼保一体化を先行させた「認定こども園」として、同じ敷地で幼稚園、保育園を運営。幼稚園に235人、保育園に60人が通う。例えば4、5歳児は午前9時から午後2時まで、歌やお遊戯などでともに過ごす。職員の大半が幼稚園教諭、保育士両方の資格を持つ。
昼食も一緒にと、週3日は幼稚園児も給食をとる。残る2日は「弁当の日」。保育園児は空の弁当箱を持参し、園で作った給食を詰めてもらう。
保護者からは「幼稚園児も保育園児も同じ教育が受けられる。幼稚園児は自分より幼い子とふれ合う機会がある」と歓迎の声が寄せられている。
一方、幼稚園の保育料は保護者の所得の多少と関係なく同額だが、保育園では市の基準で所得に応じて異なるなど、制度による違いが残っている。
認定こども園制度は06年から導入された。しかし、「事務量が倍になり、役所へ提出する書類は厚さ5センチに」(関係者)と負担が増加。今年4月に全国で532園と、政府が掲げる「12年度中に2000か所」に届きそうにない。
政府が6月にまとめた新支援策は、担当部局として「子ども家庭省」(仮称)を創設。現行で、所管官庁が違う幼稚園と保育所を「こども園」(仮称)に統一し、幼稚園教諭、保育士の資格も統合。幼保別々の補助金も「子ども・子育て勘定」にまとめ、市町村に一括して交付するという。
特に、保育所入所にあたって、「両親とも常勤雇用などで家庭で子どもをみる人がいない(保育に欠ける)」という要件を取り払い、親の就労の形態にかかわらず、すべての子どもが教育・保育サービスを受けられるようにと、うたっている。来年、関連法案の国会提案を目指す。
乳幼児を長時間預かるという保育サービスの需要が大きくなれば、施設を増やすなどコストも膨らむ。しかし、政府が前提としている「国及び地方の恒久財源の確保」のめどはたっていないという。
保育の現場や親からは、混乱を心配する声が聞こえる。長男が生まれたばかりという大阪市内の看護助手(36)は、来春の職場復帰に合わせて保育所入所を考えている。「ただでさえ待機児童がいるのに、幼保一体化でこれ以上門戸を広げたら、保育所に入れない子が増えるのでは」と話す。
あけぼの学園理事長の安家周一さんは「幼保一体化の理念は大歓迎だ。ただ、保育内容、施設の広さ、職員の専門性などの面を充実しなければ、保育環境の低下につながるのでは。国の財源投入が不可欠」と指摘する。
・「教育」の幼稚園「生活」の保育所 幼稚園と保育所は、根拠となる法令が違い、施設の性格も本来異なっている。幼稚園は学校教育法に基づく学校で、心身の発達を助長する「教育の場」。一方、保育所は児童福祉法に基づく児童福祉施設で、親の就労や病気などの理由で、家庭で保育ができない子どもたちの「生活の場」とされている。
幼稚園は、3歳以上の生活面で自立した子どもを集団での遊びを通じて教育する。保育所は0〜2歳児も預かるため、昼寝や離乳食などの給食、排せつのしつけなど生活面を重視した保育を行う。
保育時間の設定にも違いがある。しかし、共働きの家庭が増えて長時間保育のニーズが高まる中、幼稚園でも標準の4時間を超えて子どもをみる「預かり保育」を行う施設が増加。08年度は全体の73%が実施しており、保育時間での差は縮まっているようだ。
また、保育方針を定めた幼稚園教育要領、保育所保育指針は08年、整合性を図るとする改訂がなされた。その結果、「遊びなどカリキュラムの内容の違いは、幼保の差というより、各施設の方針によるところが大きい」(関係者)とされ、共通化が進んでいる。
(2010年9月2日 読売新聞)