ハイスクール ブス

2017-07-15 01:50:33 | 小説



「但しイケメンに限る」
よく言われる言葉だ。

一時期流行った壁ドンだって、ブサイクが突然やったら警察に通報されかねない。

そう、ボクたち不細工は、スタートラインがイケメンの100mくらい後ろにあって、スタートをしなければならない。

生まれ持ったものだから、どうしようもない。ただ受け入れることしかできない。なんて理不尽なんだ。



ボクの名前は黒田広高。高校二年生。
残念ながらブサイクだ。
今はお弁当を食べている。
しかし、当然彼女の手作りではない。

だが、手作りの弁当を作ってほしい人はいる。
隣の席の川崎綾奈。クラスのマドンナだ。風になびく長い黒髪から発せられるシャンプーの香りを、誰よりも近くで嗅ぐことができる特等席。昨日の席替えで引き当てた、最高の席だ。


といっても、彼女とはそんなに話したことはない。だが一度だけ、一緒に帰ったことがあった。

それは二ヶ月前の台風の日。
前を歩いていた川崎さんが、強風で傘を飛ばされた。それはボクの方にすごい早さで飛んできて、ギリギリのところで回避した。
「あぶねえ!」
「ごめんね、黒田くん!大丈夫だった?」
川崎さんは申し訳なさそうに言ったが、ボクは緊張でモゴモゴ小さく言うのが精一杯だった。

「傘どっかいっちゃった、、これじゃあ濡れちゃうよ。黒田くん、入れて?」
「あ、ああ、え?あ、相合い傘?ん?え?」

ボクはありえないほど動揺したが(だってクラスのマドンナと相合い傘だぞ!)、川崎さんも何だか恥ずかしそうにしていた。天使。

そこから、川崎さんの家まで相合い傘をして帰った。何を話したのかは緊張でよく覚えてないが、先生の悪口とか、クラスメートの木村が黒いとか、他愛もないことだったと思う。

実は川崎さんの家に寄るのはだいぶ遠回りなんだけど、あたかも通り道みたいな顔をして歩いていた。

別れ際、川崎さんはこういった。
「ありがとう黒田くん、ごめんね傘入れてもらって。その、、なんていうか、、、」
川崎さんは何か言った。

ドーン!!!!

なんということだ。ちょうど雷の音が轟いて、聞こえなかった。

「え?なんて?」
「そ、それじゃあ!!」
川崎さんは逃げるように家に入ってしまった。


次の日から目が合うとすぐに反らされるし、なんだか気まずそうにしていた。
あのとき聞こえなかった一言に関係があるのかわからないが、聞く勇気もなかった。


ボクはブサイクだ。
クラスのマドンナなんかと対等に話していいはずがない。
相合い傘ができたんだ。夢のような時間だったじゃないか。
それだけで幸せに思うべきだ。

そう言い聞かせた。



今日も川崎さんは隣でむしゃむしゃお弁当を食べている。
唐揚げを口に運ぶと、僕が見ているのに気づいて気まずそうにした。

やべ。と思ってとっさに窓の外に視線を反らす。
すると、黒いノートが一冊、空から落ちてくるのが見えた。

ここは最上階だ。屋上は立ち入り禁止だし、上からものが落ちてくるなんてありえない。

しかもこういう展開は漫画で見たことがある。
死神がでてくるあれだ。キラとかの。あれ。

ボクはとっさに立ち上がって、落下点であろう校庭に走った。




それは花壇に刺さっていた。
恐る恐る手に取ると、表紙に銀の文字でこう書いてある。

「BUTH NOTE」

ブス、、ノート?

思っていたノートとちょっとちがう。
ちょっと違うけど全くちがくもない。

これは、、

はやる気持ちを抑え、最初のページを開く。

なにやら説明文が書いてあった。
「このノートはブスにしか見えない」
「このノートに名前を書くとその人は一時間、顔が超有名アイドルグループGrooverのセンター、マツモトシキ似のイケメンになる」
「イケメンになっている間に再度名前を書いても、時間は最初に書いた時から一時間、つまり延長はできない」
「故に、ずっとイケメンでいたければ、一時間ごとに名前を書き直す必要がある」

そして最後に赤文字でこう書いてあった。
「注意。このノートはセックスをした瞬間に消滅する。」

なんということだ!
大変なものを拾ってしまった!


つづく

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-07-19 17:04:02
次号が待ちきれません!

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