元箱根戦士・駒大OB神屋氏が語る往路総括

新“山の神”柏原が5区で大逆転し、東洋大が往路初優勝を果たした
第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2日に行われ、ダークホースと目されていた東洋大が初めての往路優勝を果たした。前回大会で12年ぶりに往路優勝を果たした早大は2位に、日体大が3位に入った。
一方で、連覇を狙った駒大はまさかの15位と大失速し、予想外の展開となった。駒大OBで箱根駅伝に4年連続(1999〜2002年)出場した神屋伸行氏(現武蔵野学院大学陸上競技部監督)に、往路のレース総括および、復路のレース展開をうかがった。
■早大、東洋大は共に流れがよかった
東洋大の優勝、早大の2位は、想定内の結果でした。早大は1年生の矢澤曜が1区で区間賞を獲得して、チームが完全に波に乗れました。
東洋大はチームの流れがいい状態で、5区の柏原竜二につなげたことがよかったのでしょう。中でも3区の東洋大の大西智也は長い距離に対する練習をしていなかったにもかかわらず、区間3位の走りを見せました。同じ区間に配置された早大の竹澤健介、東海大の佐藤悠基は、学生長距離界のエースという別格の存在なので、その中で3位というのは上々の成績。一方で、竹澤と佐藤は、二人とも自己ベストが1万メートル27分台の選手なので、状態が悪い中でも無難に走れば、あのくらいのレベルが保てるのでしょう。特に佐藤に関しては、腰を落として走っていたので、今年苦しんだなという印象でした。
■区間新記録が樹立された3つの条件
今回、区間記録が4つ(2区=山梨学院大・メクボ・モグス 3区=早大・竹澤、4区=早大・三田裕介 5区=東洋大・柏原)更新されましたが、要因として風がなかったことが上げられるでしょう。例年なら箱根(西)からの風が吹き降ろしてくるのですが、今年はその風がなかった。特に山に関しては暖かかったのがよかったのでしょう。むしろ汗をかくことで疲れがあったと思いますが、山の寒さで足がしびれることがなかった。10度近くあったので、走りやすかったのでしょう。
今回は、風がない、気温もそれなりに高い、暖かいということが、新記録が続出した要因でしょう。
5区を走った東洋大の柏原は、“山の神”今井正人(順大卒=現トヨタ九州)の持つ大記録、78分05秒を上回る77分17秒の新記録を樹立しました。今井の1万メートルの記録は28分57秒93(当時)、柏原に関しては、28分44秒42と、今井を上回る走力もある。適正があるから上りに配置されるわけですが、5区に配置された選手はみんな同じ条件。最初の平地5キロを15分で入ってスピードに楽に乗れる選手と、同じペースで走って、1キロ3分切るのがやっとだという選手とでは、タイムに対する意識が違う。5区を走った早大の三輪真之は余裕を持って走っていましたが、やはりタイムを持ってる柏原のような選手が来ると勝負するのはつらくなりますよね。
■区間2けたを出さないのは、チームが強い証拠
そのほかのチームでは、中央学院大が安定した走りをしていました。いつも通りの位置をキープしていて。山梨学院大と中央学院大は、駅伝らしい駅伝をしていたと思います。 たとえば、東洋大は、1区から5区まで8→17→3→9→1という順位でした。また、早大も1→7→1→1→13と、5区の三輪だけが苦しかったですが、区間2けたを出さなかった。これは強いチームの証拠です。上がったり下がったりは結果的によくない。終始1〜3位は安定したチームです。中央学院大は、11→3→15→8→4と2けたもありますが、安定しているので、常に上位に入れるチームだと思います。
2区で自身の持つ区間記録を更新した山梨学院大のモグスも、若干疲れがあったようですが、駅伝慣れした安定した走りでした。その後も上位をキープして5位に入りました。
上武大に関しては、初出場で堅くなっていましたね。3区に長谷川裕介が入っていたのに、外れたのが気になります。関東インカレ(2部)1500mで優勝している選手なので、使われなかった理由は故障なのか、アクシデントなのか。流れを作れませんでしたね。
一方、33年ぶりの青山学院大は、大舞台に慣れていないので、こちらも力が発揮できなかった。3区に配置された米沢類が区間12位と、同大の中で一番いい成績を残しましたね。
■駒大、復路はシード権確保に徹するべき
駒大に関して言えば、戦前、記録会での結果がよくなかったのが敗因じゃないでしょうか。さらに、補欠の池田宗司、我妻伸洋らを往路に配置できず、駅伝経験のない、1区・末松裕一、3区・渡邉潤、4区・高橋徹の3人を使ってきた。駅伝に臨む前になんらかのアクシデントがあったのかもしれません。あるいは、練習ができていない状態だったのでしょう。
往路の総合成績が15位でトップとの差が7分55秒となると、優勝争いには絡めないでしょう。シード権獲得ライン(10位)との差が約2分なので、そこがぎりぎりだと思います。前回大会、不安のあった6区でそれだけ戻せるのでしょうか。普通、2、4、5区ないし、2、3、5区に戦力を充実させるはず。箱根駅伝は復路重視ともいわれますが、往路ももちろん重要視します。しかし、1、3、4区で19位→21位→19位と、連続で悪かったので、メンバーがそろわなかったんでしょう。
復路はシード権が確保できるようオーダーを考えていくのではないでしょうか。無理に追っかけるとシードすらあやしくなる。6区の最初の入りで決まります。最初落ち着いて入ればシード権は確保できる。そしてシード権を完全に確保した上で上位を狙うという方法がよいでしょう。
優勝争いは早大、東洋大にしぼられたと思います。往路3位の日体大がそこに絡んでいけるかもしれません。日体大は、6→12→4→6→3と区間記録も安定していました。さらに復路にも経験のある選手たちが残っているので崩れなければ、優勝争いに絡んできて、三つどもえ戦になりそうです。(スポーツナビ)
新“山の神”柏原が5区で大逆転し、東洋大が往路初優勝を果たした
第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2日に行われ、ダークホースと目されていた東洋大が初めての往路優勝を果たした。前回大会で12年ぶりに往路優勝を果たした早大は2位に、日体大が3位に入った。
一方で、連覇を狙った駒大はまさかの15位と大失速し、予想外の展開となった。駒大OBで箱根駅伝に4年連続(1999〜2002年)出場した神屋伸行氏(現武蔵野学院大学陸上競技部監督)に、往路のレース総括および、復路のレース展開をうかがった。
■早大、東洋大は共に流れがよかった
東洋大の優勝、早大の2位は、想定内の結果でした。早大は1年生の矢澤曜が1区で区間賞を獲得して、チームが完全に波に乗れました。
東洋大はチームの流れがいい状態で、5区の柏原竜二につなげたことがよかったのでしょう。中でも3区の東洋大の大西智也は長い距離に対する練習をしていなかったにもかかわらず、区間3位の走りを見せました。同じ区間に配置された早大の竹澤健介、東海大の佐藤悠基は、学生長距離界のエースという別格の存在なので、その中で3位というのは上々の成績。一方で、竹澤と佐藤は、二人とも自己ベストが1万メートル27分台の選手なので、状態が悪い中でも無難に走れば、あのくらいのレベルが保てるのでしょう。特に佐藤に関しては、腰を落として走っていたので、今年苦しんだなという印象でした。
■区間新記録が樹立された3つの条件
今回、区間記録が4つ(2区=山梨学院大・メクボ・モグス 3区=早大・竹澤、4区=早大・三田裕介 5区=東洋大・柏原)更新されましたが、要因として風がなかったことが上げられるでしょう。例年なら箱根(西)からの風が吹き降ろしてくるのですが、今年はその風がなかった。特に山に関しては暖かかったのがよかったのでしょう。むしろ汗をかくことで疲れがあったと思いますが、山の寒さで足がしびれることがなかった。10度近くあったので、走りやすかったのでしょう。
今回は、風がない、気温もそれなりに高い、暖かいということが、新記録が続出した要因でしょう。
5区を走った東洋大の柏原は、“山の神”今井正人(順大卒=現トヨタ九州)の持つ大記録、78分05秒を上回る77分17秒の新記録を樹立しました。今井の1万メートルの記録は28分57秒93(当時)、柏原に関しては、28分44秒42と、今井を上回る走力もある。適正があるから上りに配置されるわけですが、5区に配置された選手はみんな同じ条件。最初の平地5キロを15分で入ってスピードに楽に乗れる選手と、同じペースで走って、1キロ3分切るのがやっとだという選手とでは、タイムに対する意識が違う。5区を走った早大の三輪真之は余裕を持って走っていましたが、やはりタイムを持ってる柏原のような選手が来ると勝負するのはつらくなりますよね。
■区間2けたを出さないのは、チームが強い証拠
そのほかのチームでは、中央学院大が安定した走りをしていました。いつも通りの位置をキープしていて。山梨学院大と中央学院大は、駅伝らしい駅伝をしていたと思います。 たとえば、東洋大は、1区から5区まで8→17→3→9→1という順位でした。また、早大も1→7→1→1→13と、5区の三輪だけが苦しかったですが、区間2けたを出さなかった。これは強いチームの証拠です。上がったり下がったりは結果的によくない。終始1〜3位は安定したチームです。中央学院大は、11→3→15→8→4と2けたもありますが、安定しているので、常に上位に入れるチームだと思います。
2区で自身の持つ区間記録を更新した山梨学院大のモグスも、若干疲れがあったようですが、駅伝慣れした安定した走りでした。その後も上位をキープして5位に入りました。
上武大に関しては、初出場で堅くなっていましたね。3区に長谷川裕介が入っていたのに、外れたのが気になります。関東インカレ(2部)1500mで優勝している選手なので、使われなかった理由は故障なのか、アクシデントなのか。流れを作れませんでしたね。
一方、33年ぶりの青山学院大は、大舞台に慣れていないので、こちらも力が発揮できなかった。3区に配置された米沢類が区間12位と、同大の中で一番いい成績を残しましたね。
■駒大、復路はシード権確保に徹するべき
駒大に関して言えば、戦前、記録会での結果がよくなかったのが敗因じゃないでしょうか。さらに、補欠の池田宗司、我妻伸洋らを往路に配置できず、駅伝経験のない、1区・末松裕一、3区・渡邉潤、4区・高橋徹の3人を使ってきた。駅伝に臨む前になんらかのアクシデントがあったのかもしれません。あるいは、練習ができていない状態だったのでしょう。
往路の総合成績が15位でトップとの差が7分55秒となると、優勝争いには絡めないでしょう。シード権獲得ライン(10位)との差が約2分なので、そこがぎりぎりだと思います。前回大会、不安のあった6区でそれだけ戻せるのでしょうか。普通、2、4、5区ないし、2、3、5区に戦力を充実させるはず。箱根駅伝は復路重視ともいわれますが、往路ももちろん重要視します。しかし、1、3、4区で19位→21位→19位と、連続で悪かったので、メンバーがそろわなかったんでしょう。
復路はシード権が確保できるようオーダーを考えていくのではないでしょうか。無理に追っかけるとシードすらあやしくなる。6区の最初の入りで決まります。最初落ち着いて入ればシード権は確保できる。そしてシード権を完全に確保した上で上位を狙うという方法がよいでしょう。
優勝争いは早大、東洋大にしぼられたと思います。往路3位の日体大がそこに絡んでいけるかもしれません。日体大は、6→12→4→6→3と区間記録も安定していました。さらに復路にも経験のある選手たちが残っているので崩れなければ、優勝争いに絡んできて、三つどもえ戦になりそうです。(スポーツナビ)










