2017年講義

国士舘大学21世紀アジア学部
21世紀の情報文化
インターネット社会論

21世紀の情報文化2017年春期/講義メモ 脳とコンピュータ                   

2017-07-11 00:04:04 | 21世紀の情報文化
21世紀の情報文化2017年春期/講義メモ
脳とコンピュータ     
                                                  

1) 脳とコンピュータは、どこが似ているのか、どのように違うのか?コンピュータがどんどん進化すると、人間の脳と同じになるのか?人間を追い越してしまうのか?

コンピュータは、もともと、人間が「考える」ということはどういうことか、という原理的な疑問から構想され、生み出されてきた機械である。コンピュータに計算をさせる際の指示に当たる「アルゴリズム」も、人間が考えるプロセス、とりわけ、論理的な思考のプロセスを再現するという目的で開発されてきた。

*「アルゴリズム」とは?
・たとえば、「カップラーメン」の作り方の手順を全て教えるようなこと。
・たとえば、美味しいお茶の入れ方の細かい手順を全て教えるようなこと。

→これが、あらゆる専門的技能の「自動化」をする機械=コンピュータの進化につながる。

だから、コンピュータと脳が同じであるかどうかを問うということは、「コンピュータは脳のように考えることができるか?」と問うことである。また、私たちが考える時、脳の中ではいったい何をしているのか、ということを問うことでもある。

*コンピュータ(AI)と人間の「将棋・碁」の対戦
AI(アルファ碁・ポナンザ等)は、膨大な「アルゴリズム」(手順計算)と自己学習(ディープラーニング)化け物。 予測しうるあらゆるケースを考えるコンピュータに対し、人は経験による「直感」で「次の一手」を見出し、それを後から論理的に検証する。しかし、今では将棋も碁も人間はAIに次々と敗れつつある。

→では、「直感」とは何だろう? そして、人間は何故AIに勝てないのか。

2) 人間の脳は、「意識」を生み出す臓器である。では、コンピュータは脳のように「意識」を生み出すことができるか?

朝、目覚めたときに、それまで何もなかったところに突然「私」の意識が生じる。
じゃあ、寝ているときの無意識とは脳に何を与えているか。「睡眠」「夢」の機能とは何か。
脳に隠された膨大な無意識の記憶。記憶の整理としての睡眠、夢。
3) 脳の動作原理は?
脳は、1000億のニューロンと呼ばれる細胞から構成されている。それが、軸索にあるシナプスと呼ばれる部位を介して相互に結合し、化学信号と電気信号により、情報を伝達している。シナプスからの神経伝達物質と呼ばれる科学物質の放出により、その伝達は行われる。私たちが、水を飲んで「冷たい」と思うことも、チョコレートを食べて「甘い」と感じることも、恋をして「幸せ」だと思うことも、全てはここから来る。だから、脳の一部が壊れてしまうことで、これらのどこかの感覚・記憶・運動が欠けていく。

*映画「明日の記憶」「私の頭の中の消しゴム」「博士の愛した数式」

4) 「人工知能」の限界とは?

■「フレーム問題」=「状況」認識ができない「コンピュータ」
*フレーム問題の典型的例(別紙)
*「場」の空気を読むこととは?

■「パターン認識」の脅威
・連想記憶。無意識下で起こる、五感のパターンの記憶。
・人間は、何故人の顔、人の声を瞬時に見分けられるのか。
・生存・環境適応のためのパターン認識能力の進化。
               ↓
自然、動物、植物、食物(食べられるもの)、音色、メロディ、リズム...

★「人工知能」の進化としての「ディープ・ラーニング」(深層学習)
・情報蓄積(ビッグ・データ)という「疑似経験」による自己学習
・画像パターン認識による「猫」の発見
・「自動運転車」/走行実践の蓄積による運転技術の向上
・ロボット「Pepper」/対人コミュニケーション経験蓄積による「疑似感情」

■「自分を見ている自分」=主観、自己同一性の不思議
・私たちは、それぞれが「同じもの」を決して「同じよう」に「見ない」し「聞かない」。
この「主観性」(自分であるということ=自己同一性)はどこから生まれるか。
自分の人生や生活を「すべて」わかっている、覚えているのは自分だけである。
しかし、コンピュータの「自己」は外部(人間)から与えられるものである。
「コンピュータ」は、「私」を持つことができるのか?

5) 「共感回路」としての「ミラーミューロン」
1996年に「発見」された「ミラーニューロン」という神経細胞は、他人が「ある動作」をしているのを見た時、自分は「その動作」を行っていなくても、脳の中ではあたかも自分が「その動作」をしているかのような活動が生じる神経細胞である。まるで鏡(ミラー)に映したように活動するため、自分と他者の行動の「模倣」を促進、またその時に起こる「感覚情報」を結びつける役割をする。人が他者の感情や心を理解、推測する力=「共感回路」の源泉とも言われている。このようにして、「自分の心の状態」と「他人の心の状態」がつながっていく。

6) 情報のコーディング と「認識行為」の謎

■コンピュータがしていること、人間がしていること。
コンピュータは、文字、画像、音声、映像等、あらゆる情報を一旦デジタル化し、0と1の2進法で記憶し、表現、伝達(通信)する。そのおかげで私たちは、今日の情報環境を進化させた。これが、情報のコード(CODE)化である。
しかし、その無数の画面に映る点の集合を「絵」「写真」「映画」だと判断し、見ている(解釈している)のは、私たち自身の脳である。だから、情報の意味は、その情報の受け手(鑑賞者)によって、決まる。コンピュータは、その情報が「何」であるかはわかっていない。

→解釈、判断しないコンピュータ、解釈、判断する人間
→人間社会における多様な解釈、多様な判断の乱立

7) 「脳化」されていく社会とその象徴的な場所としての「都市」
・神話「バベルの塔」とその末路
・世界史の中の大都市の栄枯盛衰(古代/中世/近代)
・21世紀の新興国での「世界都市」の出現。
・暴走する「脳」(都市、人間)と疲弊する「身体」(自然環境、人間)

8) 「地球脳」(グローバルブレイン)としてのインターネットの進化
・地球上のあらゆる場所を瞬時に接続していくネットワーク
・世界中の記憶を蓄積していくネットワーク
・世界中に「適切」な情報を検索・選択してくれるネットワーク
                 ↓
シンギュラリティ(Singularity/技術的特異点) レイ・カーツワイル
では、インターネットは「地球大の人工知能」と言えるのか?果たしてそれは「進化」なのか?



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