新聞社からの依頼で、「慈しむ心を発信したい」というタイトルで、コラムを書きました。
3月19日の神戸新聞、「日曜オピニオン 見る思う」のコラムの欄です。
ぶっきらぼうな文章で味もありませんが、兵庫全域なので広く発信できました。
以下が内容です。
慈しむ心を発信したい
郷土の児童文学者、森はなさんの「慈しむ心」の発信を目的に「森はな顕彰会」を発足させ、1年半がたった。
世界で、テロの頻発、難民問題、日本で、相模原知的障がい者殺傷事件、小中学校のいじめ問題、など難問が山積している。一国ファースト主義、「自分さえよければ」のまん延、「日本死ね」のブログの話題など殺伐とした時代だからこそ「慈しむ心」を必要としているのではないだろうか。顕彰会は、森はなさんの「慈しむ心」を次のように発信する。
ひとを慈しむ いのちを慈しむ ふるさとを慈しむ
本年度は、三つの事業を実施した。一つ目として、第1回「森はな作品」読書感想文コンクールを実施(高砂市の児童対象)した。二つ目に、第3回森はな顕彰会高砂大会を開催した。三つ目には、東日本大震災鎮魂事業「木の葉の舟流し」を実施した。
読書感想文コンクールには295点もの応募があった。多くの児童が夏休み、森はな作品を読んでくれた。「じろはったん」は戦時中の話で、知的障がいの青年と村人、疎開してきた子どもたちや先生との交流を描く。多くの児童がじろはったんの優しさをいっぱい見つけ、「じろはったんのような優しい人になりたい」「じろはったんのようにいじめる子がいたら注意する人になりたい」と書く。
作品を読む子どもの目には、知的障がい者への偏見はない。「こんこんさまにさしあげそうろう」は、冬、餌がなくひもじい思いをしているキツネの親子が、昔から伝わる「野施行」という行事に救われる話。「昔の人は、動物の事をよく考えているけど、今の人はやさしくないのかな」と書く。感想文コンクールを通して、森はなさんの優しさを児童に伝えることができたと確信している。
森はな顕彰会高砂大会には250人が参加した。1部は感想文の表彰式、報告、2部では弓削田健介さんの「いのちと夢のコンサート」を楽しんだ。
震災鎮魂事業「木の葉の舟流し」は、津波被災宅に残った1冊の本「じろはったん」から生まれた。被害に遭った永野泉さん(現顕彰会東北支部長)と顕彰会の呼び掛けで5200枚のメッセージや夢など記した「木の葉の舟」が集まった。森はなゆかりの地の高砂市、朝来市や姫路市、宮城県の児童が「みんなの役に立つ大人になる」「幸せ運ぶ電車の運転手になりたい」「亡くなった人の分も大切に生きます」などと書いた。
顕彰会は、十数人の小さな団体だが、人と人のつながりで、夢は実現できることがよく分かった。来年度も4月には「じろはったん自由帳」を高砂市内の新入生に無料配布する。将来的には「じろはったん」を文科省推薦図書にし、漫画、アニメ化、映画化、翻訳することも考えている。