愛のせい

愛のせい

気はし最初は考

2016-11-01 10:13:53 | Dream beauty pro ?毛


 毎回、原稿用紙数枚になんとなくそれらしい文章をちょこちょこと書いてくるだけなのだから、難しく考えなくてもいいじゃないかと同級生どもは軽いノリでいるのだろうか。段々と不安になると同時に、彼らに自分が書いた文章を見せるのが無性に恥ずかしくなり、その時の場面を想像して暗澹たる気分になっていた。
なかなか自分の見知った場所には着かない。途中「NASA」という建物を横目にした。郊外地に突如として現れた看板は周囲の住居や商店からはだいぶ浮いている異質な様子、一体なんの建物だろうか。少し気になったが、すでに日は暮れかけていたので足を止めずに歩き続ける。後でガイドブックを確認したが紛らわしくもディスコとのことだ。ネーミングセンスが微妙である。
 
 道の途中でコリント様式(?)の立派な建物の銀行を見つける。一旦休憩しようと階段に座る。しばらくすると婆さんと少年が寄ってきて金銭をせびって来るのだった。こちらの片言の英語が全く通じず、「I’m Poor」と何度も繰り返したがやはり無駄らしい。見るからに向こうのほうが現実的で恒久的な逼迫状態にあえいでいるようだったし、こちらは相方に乗せられて始めたこととはいえ、すき好んでの貧乏旅行だ。
 100Bを渡すと喜んで何度も礼を言われた。正直に言えば感謝され悪いないという結構な内心でまずいたので、行為の直後から発生した自らを咎める内心こそが一番意味のない、正確には自分のズルさなのだと思う。
 金を受け取った婆さんは、私の目の前で意味不明のジェスチァーをするのだった。どうやら感謝の気持ちを伝えるものだろうかとえていたが、ところがいつまでもしつこく繰り返しているのでその表情や手元の動作を見ると、どうやらもう少し欲しいとする要求みたいだった。
 どうにも閉口し寸前の罪悪感やらを完全に失い、しかしいまさら文句を言う資格はないのかもと、なんだか付け込まれた側の弱気にもなりつつであった。旅ももう終わりだしこの国の通貨もあまり必要ないかもしれないなどと考え、あくまでも自身の決定であるとしたい最後の抵抗のため改めて少し悩んでみることにする。もちろん日本円に両替も出来るとはいっても、元々10万円分も持ってきていなかったしそれも使い切りそうだったので、帰るまでに全て吐き出すつもりでいたのは以前からまさに思っていたのだ。ただこの老女に金を渡すタイミングが、旅の所持金を使い切る皮切りになっていいのか、どうか。
 実際には迷うほど何かがあるのかはっきりしないまま、まあいいんだと納得する。言葉の通じない相手に目の前で懇願され待ち続けられる圧力に耐え切れず、深く考えることを止めにして二度目の100Bを渡す。ついでにやり取りを始めたあたりから思いついた目的を果たすため、いや今では唯一残された失地回復の交換条件として婆さんに道を尋ねることにした。少しだけ体力の回復した私は、階段から立ち上がりもう一歩きするつもりだった。照明が届いて文字が読める程度に明るい建物の下にまで婆さんを呼びよせ、ガイドブックの該当箇所に指をさすが……。

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思わせり考えな

2016-10-28 09:25:40 | Dream beauty pro ?毛


 しかしその服装を見ると白衣や事務職員用の地味な制服ではなく、襟の大きなクリーム色のブレザーで縁の部分は黒く厚いビロードの生地で装飾され、両胸を肩口から韓國 年糕胴まで横幅十五センチ程度に金糸で蔓草模様が薄く刺繍されている。まるで、東京あたりにでもありそうな高級ホテルで採用されていても不自然でない、瀟洒なデザインだ。
 彼の髪の毛は年齢にしては真っ黒でものすごい量があり、偽物ではないかと思えるほどだったが、質感や生え際、風になびく様子を見ているとどうやら本物のようだ。

 私たちは少しの間宛もなく歩いていました。何分くらいしてからでしょうか、彼はガイドブックに目をやり「バスに乗ろう」と突然口を開いたのです。その場から、歩いてさらに十数分程度になるであろう距離には、かなり大きな高層ビルがあるらしく、地下に併設されたバス乗り場に行こうと提案をしてきたのです。
 確かにビルはありました。すぐに見つかるぐらいの大きさでして見つけた後は歩道橋の上を通り、細く左に折れている道をそのまま進みビルの1階へ。外見は立派そのもので円柱形の造りがひときわ目を引きつけるのでした。
 ですが私はこのビルと周りの景色を見比べ、どうにも統一感というものを感じなかったのですね。
 周りはまだまだ小さい商店や安ホテルが多く、整備されていると言ってもそれは道路を中心としたまさにこれから始まりの状態でした。確かにとっかかりのランドマークとしてはありなのかもしれませんが、言ってみれば現在は町の開発の第一段階を経たに過ぎず、にも関わらず突然高層ビル(コムターという名称)を建てるからバランスがどうにも悪くなるのだと。
 まるで最初から強いカードを使い切ってしまった、後先をあまいボードゲームのプレイヤーのような感じがしたのです。当然初めは良かったのでしょうが、後から相韓國 年糕手に追いつかれたときには打つ手がなくなっているという順序、段取りの悪さをるのです。

 ターミナルがあるビルに辿り着いたはいいんですが、バスに乗るにもナンバーも分かりませんし、適当に乗って知らないところで降りたら帰るに帰れないといった悲喜劇に見舞われかねません。有体に言えば、気分に任せたまま行動していては迷子になるかもしれないのです。バンコク市内ならいざ知らず、ここマレーシアはペナンという未踏の地でございまして、全く土地勘も何もあったものではないのですから。
 彼はカバンのポケットに一時しまっていたガイドブックを取り出し、あらかじめ折り目をつけておいたページの内容をなにやら確認しているようでした。次いで前後数ページもめくられはしたものの、さっと数秒目を通しただけでパタンと閉じてしまいました。やがてこちらに向き直ると妙に人を不安にさせる自信あり気な態度で、このビルの3階にツーリストインフォメーションがあって、そこに行けばおそらく地図もあるだろうと如何にも促すのです。

 早速私たちはコムターに入りましたが、外観やガイドブックの紹介と実際中に入って見るとは全くの大違い。ビルの1階々々ごとの店の数はまださほどに、というよりむしろ少なく、いまだテナントが埋まっていない箇所が目立つ状態でした。
 フロアの中核となるであろう店舗も特に見当たらない感じでしょうか(どんな店が現地の人に特に必要とされているのかはよく分かりませんが、露店の少ないこの土地ではそれらの店がよく取り扱う安価な宝飾品や衣服、もしくは骨董品など?)。立ち寄ったフロアは大体似たようで、ビルの周りには少なくない人がいるのですが内部のやけに閑散とした雰囲気は、まるで閉館間近と間違えてしまいそうなほどなのですね。
 目的の昇りエスカレーターを見つけると、なんとなく心許ない気持ちを抱きつつもともかくインフォメーションセンターへと向かうことにしました。3階も下のフロア同様に少しばかり照明が暗く、エスカレーターを昇った正韓國 年糕面には寂しげに佇む妙に立派な木目調のカウンターがポツリ。そして周囲は相変わらず工事中だったり、入居待ちの空きテナントばかり。
 いつ来るとも知れない観光客をひたすら薄暗いフロア内で一人待ち受けている係員、どうやら20代後半から30代半ばにはまだいかないかくらいの齢のようです。ひっつめ髪に赤色の縁をした眼鏡、体つきで言えば私よりも全体的にかなり横幅が広く、特に腕は丸々と太り例えるなら細めの丸太棒、……と言ったらちょっと失礼ですが。下に向かい厚みを増していく彼女の、カウンターに隠れた部分がどのくらいであるのか。ともかくそんなボリューム感のある女性が待ち構えていたのでした。

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無理だと時間が

2016-10-28 09:24:20 | Dream beauty pro ?毛


 人生で初めて履歴書を書き二人同時に面接を受けた。向こうからすれば友達同士の応募にはリスクを当然感じたのではと、容易に想像がつく。
 一緒に来るとい高麗蔘うのは仲が良いわけで、二人で遊びたいから休む(もちろん、はっきりと正直には言わないのが高校生の狡賢[ズルガシコ]さだ)だとか、まだそれはいいとしても『仲が悪くなったからアイツとは同じところにいたくないです』だったり、『顔を合わせたくないから辞めます』といったいささか身勝手な発言は如何にもありがちだ。偏見だが、女子学生の場合はなおさらその可能性が高いのではないかと思う。
 メリットもあると言えばある。学校帰りの短い時間が店側にとってはちょうどいいくらいだと募集をしても、長時間働きたい人間は敬遠する場合が多い。それはまあ二人連れ特有のメリットではないが、あえて言えば平日のシフトを一気に埋める人材を確保出来るという意味では都合がいい。
 もう一つ、二人で遊びたいから休むのではなく、どちらかがどうしても開けなければならない穴を友だちとして助けるために代わりに働く。といった、やや美しくもあるちょっとした青春シーン。そんなものを多少でも信じられる経営者であるならば、二人同時に雇うことも可能性としては排除しない、かもしれない。
 
 結局彼が平日の週三、残りの二日を僕が担当するシフトになった。面接の際には、休みの日には伝え漏らしがないように二度三度、半ば無遠慮なほどに伝えた。高校生には他にもやることがあるし、まあ仕方ないとでも経営者は思ってくれたのではないか。かかるところから休みに来てもらうまでしなくてもと、都内在住ではな高麗蔘い旨は強調してまでは口に出さなかったが、履歴書を一読して判断したのだろう。
 
 仕事の内容と言えば、注文を受け出来た料理を運び、食べ終わった器を流しに入れ、最後客が帰った後に冷水の入ったコップをレジの手前にある流しで洗う簡単な作業など。なにより忘れてならないメインの仕事はレジスターを担当することだ。
 テーブル三卓にカウンター六席くらいの狭い店だったので、慣れてしまえば別段大変でも難しい仕事でもない。夕食時の掻き入れ時に忙しくなる時間帯があるくらい、それが済めばもうあとは気楽なものだった。店長に聴こえない程度に、有線放送より潜めた音量で下手な鼻歌を奏でながら、適当なリズムを取ってテーブルを拭いたり割り箸の頭を揃えたり。中々上手くいってる。順調だしバイトも悪くないもんだ。

 電話からおかしなアナウンスがして使えない。母に相談してみたがやはりそうだったという。「デジタル電話は回線買取方式だから、旧い電話は使えなくなるとか」と父が落ち着いた口調で説明する。
 元総理K議員が電話をかけ、故障した際強制的に繋がる回線のオペレーターと話をしているが埒が明かないのだとか。さらに彼が近所に頼んで合計十数件の電話からかけたところ、ほとんど専用オペレーター以外には繋がらないようだ。いつの間にかその頭は随分と白髪が増えているように見えた。それでも何件かはまともに外線を使える電話があるとのこと。I議員も別の場所で同じことをしている。

 故人であるはずの某政治家が入院先で無事手術を終え、そこを後にする場面。正面玄高麗蔘関から出てきた彼は少し空を仰ぎ見て、一瞬目を細める。入口付近で立ち止まる姿をこちらは植え込みの隙間から覗き見ている視線だった。
 病院スタッフがずらっと並んで退院を見送るつもりか、全く大袈裟に見せないほど真摯に心からの一糸乱れぬ最敬礼をしている。

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るときに思う

2016-07-12 17:31:20 | Dream beauty pro ?毛

師走の一日、ゆっくりひとりの私は、昔を思い、今年をふりかえ
り、過去を思いだすのです。 むかし、昔を……。
 きっと、今の方々は想像もつかない世界です。 
 静かなむかし。 田舎の家で庭を眺めつつ頂く茶。 亡き両親。
私が小さい頃は、火鉢の時代でしたので、長火鉢には、鉄瓶に
いつもお湯が沸いていました。 そして亡母はご近所さんらが……
玄関の外にはときどき、泥のついた新鮮な季節の野菜など、持ち
て下さり、あがられお抹茶やお煎茶のんで 「一服どうぞ」 楽しげ
に 話していた母の姿が、浮かんできます。 亡母には、それが嬉
しいようでした。 学校から帰ると、ときどき町のお茶店で 「お抹茶
を十匁買ってきて……」 と、老いた母は町まで距離があるから…
車もどの家にもない時代のこと。、 
 わがままなわたし 「もうちょっっと、後で……」 ・・・。とか・・・。
 亡父は、お休みには囲碁を友人とやるのが、なによりの楽しみの
ようで、日曜日は、二人で一日中静かにやっていた姿が浮かぶ。 
 師走の一日に、ふと、私はひとりの過去の世界に浸るのです。
 いよいよ今年もあと、2日ですね。 いつもありがとうございます。

 ★悪口じゃあないのになぁ★

 よく いつも
 本当のことを話してるなかに
 それが悪口なってしまう怖さを
 考えちゃうのです

 聞かれたり して
 気楽に 話すでしょ 
 話していのです
 ときどき あれれ あれっ

 そんなつもりじゃぁないのに
 なんか こりゃぁいかん
 暢気なわたしは いつも
 いくつになっても考えてる

 こんなおばあちゃんになっても
 まだまだ 不思議に思うのです
 本当のことも 悪口だなぁ
 ひとり静かに思う年の瀬

 ああ ああ ああ

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訴えたいことを

2016-03-23 11:17:26 | Dream beauty pro ?毛



 
 メールは、ついで彼女の近況に触れ、長い間目標にしてきたことを、もうすぐ達成できそうだと書いてあった。あれから、『ファントム』君や『憂鬱《ゆううつ》な薔薇《ばら》』おばさんとは、何度かメールを交換しているのだという。二人とも韓國 泡菜非常に元気で、どうやら、上昇機運は、セミナーの会員たち全員の上に等しく訪れているようだった。
「みなさん、自分の目標に向かって、着々と進んでいるんですね。サオリストさんは、どうですか? サオリちゃんのハートは、つかめましたか?」
『美登里ちゃん』が突然メールをくれた理由は、何となく、彼にも理解できた。長い間、辛《つら》いことに耐えてきた人間は、いったんその悩みが解消されて、物事がよい方向へと回転し出すと、誰彼かまわず、その喜びを分かち合いたくなる。気前がよくなり、博愛主義的になり、そして、人の過ちにも寛大になれるのだ。それはそのまま、信一の現在の心境にも当てはまった。
 信一は、すぐに返事を書くことにした。まず、セミナーのアンケートから片づけ、会報の原稿依頼には、多忙なので少し考えさせてくれと答える。それから、いよいよ『美登里ちゃん』への返信だった。
 だが、そこで、ぴたっとキーを打つ手が止まってしまった。
 自分は、目標のために、いったい何をしているだろうか。たしかに、以前よりは生活に張りが出てきたのは、事実である。だが、『美登里ちゃん』と引き比べると、どうしても我が身のふがいなさを感じずにはいられない。
 そうだ。自分は、ライターになるのではな泡菜 食譜かったのか。そのためには、書くしかない。自分が本当に書きたいこと、、文字にするんだ。
 そう決心すると、武者震いのようなものが起きた。
 信一は、正直に、自分がまだ、将来の目標への糸口すら、つかんでいないことを書いた。だが、自分もやはり、合宿以来、すべてが上向いている感じがする。ものを書きたいというのが自分の目標なので、そのために、これから精一杯の努力をするつもりだと。まだ将来の見通しは立たないが、自分では、悲観も楽観もしていない。
「悲観も楽観もしていない」というのは、信一のお得意のセリフだった。ストレートに「何も考えていない」と書くのが恥ずかしい時には、たいへん重宝する。
 最後に、『サオリちゃん』の攻略は完了したと書こうかと思ったが、向こうでは、彼女を実在の人間だと思っているはずなので、あらぬ誤解を与えないために割愛することにした。
 三通のメールへの返信を送ってしまうと、信一は、ワープロソフトを起動した。
 もう、悠長に、構想を練ってからなどと考えている場合ではない。それでは、いつまでたっても、何一つ書けないだろう。今すぐ書くんだ。想いがほとばしるままに。自分が、心の底から表現したいと思っていることを。
 これまでは、そうは思っても、真っ白な救世軍卜維廉中學画面を見ると、つい怖気《おじけ》づいていた。本当は、自分には何一つ書けないことを、はっきりと思い知らされそうで、非常に不安だった。だが、不思議なことに、ひと呼吸すると、もやもやした気持ちは自然に消えていった。だいじょうぶ。書ける。とにかく、キーを叩いてみよう。

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