Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

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無知を武器にする人たち

2015-11-17 21:44:13 | コラム

乙武洋匡氏「テロ組織の主張に耳を傾け、対話の扉を」 「話してわかる相手か」「薄っぺらい理想論」と猛反発 (J-CASTニュースの記事より)

よく役所の近くにその自治体の標語みたいのが建っています。
「非核平和宣言都市」とか「差別のない都市づくり」とかそんなのです。

もちろん、そういう標語の内容に反対する人など誰もいません。
ですから、言いっぱなしで済むし、いいことを言った気にもなれます。
たとえ理想主義的でも、初めから諦めてるよりは言ってみるほうがマシです。

しかし、それを具体的に何かに当てはめようとすると、途端に複雑で難しくなります。
子どものイジメのように一方的に善悪を決めつけられるほど、社会は単純でも甘くもありません。
こっちを立てればあっちが立たず、いずれにしても罪のない人まで巻き込む茨の道ばかりです。

こうなれば、誰も反対しない標語を叫んで気持ちよくなってばかりもいられません。
事情を深く知れば知るほど、そうなってしまった必然性みたいなものが分かってきます。

ですから、こういう人たちにとって自分が「無知であること」は何よりの武器になります。
世間を知らなければ知らないほど、何の疑いもなく理想論を論じることができます。
そのうち、無知な自分が俗世に染まらない崇高な存在であるかのように思えてきます。

理想論と批判されている上記事の方も、まず根本的な前提知識にかけています。
そもそもISISはシリアとは全く関係のないのに横槍してきた勢力です。
彼らの主張に耳を傾けても、シリアで得をする人はいませんし、混乱に拍車をかけるだけです。

それに、テロリストはこの方のような主張を増やすために、政治家でなく市民を狙うのです。
そして、市民が自国の政権批判へと矛先を向け、テロにも言い分があるという「良心的な」言論人の登場を待っています。

知識がある方が正しいとは限りませんし、無知だからこそ生まれる行動力やできる指摘は間違いなくあります。
しかし、とくに言論という場でその良さが発揮されることは限定的です。


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