とうちゃんのぷらぷら日記

アウトドア系の日記及びうんちく

安岡章太郎展(神奈川近代文学館)へ行く

2016-10-09 23:41:58 | 本、作家
この時代の人達は、戦争を綱渡りで生き延びている。
安岡さんの部隊もレイテ島で全滅するが、安岡さんは、部隊がレイテ島に移動する直前に、結核のため除隊となり生き延びることが出来たようだ。
それにしたって結核だ。
やはり綱渡りだった。

サーカスの馬は教科書にも載っているので読んだことがある。
あとは、なまけものの思想や、サルが木から下りるときなど、遠藤周作さん的に言えば狐狸庵先生やぐうたらものに相当する作品しか読んでいない。
なので、自分は安岡さんの作品を語る資格はない。
それでも「安岡のおっちゃん」というような親近感を持っている。
展覧会の写真も文豪というよりは、人の好い近所のおっとっちゃんというイメージの顔だ。

慶応大学に通っていたころの、
昭和17年当時の日吉校舎の写真があった。
日吉の駅から延びる名物の銀杏並木が、まだひょろひょろの苗木のようだ。

遠藤周作さんとは大学の同期だ。
卒業してから仲よくなったようだが
安岡さんが晩年にキリスト教に帰依したのは
遠藤周作さんの影響だろう。

展覧会で、遠藤さんがスペインで買い求めたという
素朴な「聖母子像」が展示されている。(なんだか円空仏みたいだ)

なんでも遠藤家と安岡家とで、聖母子像の加護が必要となるような不幸があると、その家に安置され、お互いの家を行き来したとか。
交流の深さを感じさせる。
展示ブースには庄野潤三や小島信夫など、様々な作家との交流を示すコーナーもあり、
この時代の作家の横(あるいは縦)の繋がりの強さを感じる。
作家にとって、刺激し合う友人に恵まれた良き時代であったのかもしれない。
この辺のことを語る「良友・悪友」という作品も、この時代の作家ならではの本だ。






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